4◇死闘!vsレッサーラビットlv1!
◇
「どりゃあああああ痛たたた!」
何度目かわからない悲鳴を上げながらウサギにフルスイングアタックをかます!
ちなみに敵の現在hpはこんな感じ。
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種族:レッサーラビット
レベル1
hp:80/120
─────
「よおし、三分の一削れたぁ」
このことからもわかるようにあれから時間はかなり経過してる。
雑談配信から徐々にラジオに変わって来てる気がしなくもないけど、この世界ではラジオすらないのでリスナー数は減らない。
ありがたや~
『セラス様って現実では何してるの?』
お、初見リスナーかな。
何を思ってこの作業配信もといラジオ番組を見に来たのかはわからないけど、新規リスナーは囲めって婆っちゃが言ってた。ついでに古事記にも書いてあったからダブル信頼パッワで100%事実だということが証明された。
Q.E.D.!証明終了だね。
さてさて、それはそうとして答えないと。
本来はVの者の現実を訊くなんてあれだけど、ここはV……もとい配信者っていう概念が初めてだから仕方ないよね。
「現実では第二王女様の小間使いをやってますね」
まあこれに関してはあながち間違ってない気がするから問題ないでしょ。
『おうじょさま:……まあ、間違ってない』
『もしかしてセラス様ってエリート?』
『まあ、確かにエリートではあるなぁ…』
私が花奈だってわかってる勢とわかってない勢で盛大にすれ違いモドキが起きてる。
まあ私から自分の正体を明かすことはないから実質シュレディンガーの花奈ってことよ。
《新スキル『忍耐』を獲得!》
お、新スキル!どんな効果かなぁ。
───
『忍耐』
耐え、耐え、耐え抜くのだ。何れ届く勝利の星まで……
効果:
同一対象との戦闘が1時間以上継続した場合、その戦闘中のみvitが5割上昇
───
『あっ』
『良かったね!新スキル()』
「……」
多分今の私の顔はVR補正がかかってるという事を考慮しても般若のようは表情になってるんだろうね。
多分だけど習得条件は同一の敵と~時間戦闘とかそんな感じでしょ。
普通のプレイスタイルでも強いボス敵と戦ってたら習得出来そうなスキルだなぁ。
それにデメリットもないし、使い勝手も良さそう。
……普通の人なら、という注釈は入るけど。
「喰らえ憂さ晴らしぃぃ!」
ちゃんとhpが71になっているのを確認してから憂さ晴らしパンチをする。
まあ倒すまでに時間はある。それも死ぬほどある。
だから焦ることはない、はず。
……何に焦ってるんだっけ?
そんな感じで安心仕切って戦闘継続体勢を整えようとしたその時。
「ぴいっっ」
そんな鳴き声が横から聞こえてくる。
え?横から?
私の知ってるウサギは目の前に……あっ。
「ぴいっ」「ぴいっっ!」
…なるほどぉ、二匹いるのかぁ。
どうしよ、これ。
「ぴいっ?」
うん?聞きなれない声がするぞぉ。
嫌な予感の赴くままに周りを見渡すと合計5匹のウサギ……もとい、レッサーラビットがいる。
『これいける?』
『集中力が持たなそう』
『微妙なところじゃね?』
「ところでいたい人達、知ってるかい?」
『何を?』
『?』
「命尽きない限り、敵に喰らい付く英雄を!」
『名言が汚れた瞬間である』
『英雄に謝れ』
だってここで死んだらふわっとした感じで配信が終わるじゃん?
それ即ち私がアリスにさっきくらいのことで怒られるまでのタイムリミットが短くなるわけよ。
おけ?
「まだ、まだ私は生きてやるぞー!」
◇
「はぁ……はぁ…やったった…」
『すごい』
『すげえ』
『本当にできるとは思わなかった』
『有言実行偉い』
ちなみにだけど、別にレッサーラビットを倒したわけじゃない。
ただ最初から真剣勝負してた1匹以外を撒くことができただけだ。
その最中でウサギ同士がフレンドリーファイアしてたのは予想外だけど。
ともかく、これで元の一対一に戻ってきた!
そして有象無象に乱入されにくいようにエリアの端まで来た。
そう、基本的に敵MOBはエリアをまたげないからね。
それをフルに活用させてもらうわけよ!
「はい、じゃあ雑談ラジオを続けていきましょうかね…ってうん?」
『また耐久が始まるのか』
『各自作業にもどれー』
『どうしたの?』
《新スキル『逃走』を獲得!》
名前的に今使えそうなスキルではなさそうだけど、プレイスタイル的には使えそうなスキルが出てきた。
───
『逃走』
己の力で抗えぬ災悪から生き延びる手段は唯一である。それ即ち勝利のための逃走である。
効果:
戦闘離脱時のみagl×2
───
……まあいざとなったら使えるかなって感じ。
どちらにせよ現時点では微塵も役に立たないのはどっからどう見ても事実だ。
『まあ…御愁傷様でした』
『使えるけど使えない』
『絶妙に現状とかみあわない』
───────
そして一連の悲惨なあれそれから数時間。
「よっしゃあ!やったぜ!」
こんな感じで今に至るわけだ。
いやぁ、長い長い回想だったなぁ。
「皆との楽しかった思い出の数々…忘れないよ…」
『まるで最終回』
『最終回だぞ、泣けよ』
『ラスボス(レッサーラビット)』
さて、お楽しみの報酬タイムといこうか。
このゲームはとても親切だから…かはわからないけど、インベントリ的なものが自由に使える。
まあ流石に使用制限はあるけどね。
《レベルアップ!【軽戦士】のレベルが上昇しました!》
これのナレーションは誰が声当てしてるんだろう、とか思いながらその他もろもろをステータス割り振りをしつつ整理する。
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NAME:セラス
JOB:【軽戦士】lv2
SUBJOB:
REST:
HP:1/100
MP:0/0
BP:+0
str:0【+10】『-228』
vit:0『-228』
dex:0『-228』
agl:228 (+110)【+4】『×2』
【セットスキル】
『速窮の天覇』『忍耐』『逃走』
【控えスキル】
【称号】
『極窮の覇者』
【持ち物】
『鑑定鏡-lv1』
レッサーラビットの革×2
レッサーラビットの肉×1
レッサーラビットの心臓×1
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レッサーラビットの革
推奨加工ランク:1
推奨自由操作ランク:2
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レッサーラビットの肉
推奨加工ランク:1
推奨自由操作ランク:2
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レッサーラビットの心臓
推奨加工ランク:2
推奨自由操作ランク:3
『心臓』は生命の根幹を司る象徴である。
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もしかしてランクが高いとある程度鑑定した時の情報が増えるのかな?
それと、なんとなく疑問に思って角度を上手い感じに調整して『鑑定鏡-lv1』自身を鑑定してみる。
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『鑑定鏡-lv1』
推奨加工ランク:0
推奨自由操作ランク:10
万物の根幹を定め定義する現世の鏡。
望む機能を念じ、相応しい素材を近付けることで自動的に改良が行われる。
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…下手したら今日一番の厄物では?
まあ最初から気にしたら負けか。
後で『推奨加工ランク』と『推奨自由操作ランク』の違いを考えるとして……
「さて、超長時間配信に突き当ってくれた異世界探検隊の皆さん!ありがとうございます!皆さんのおかげでここまでがんばれました!」
『こっちも助かった』
『またやって』
『次の配信いつ?』
「次は…多分明日だと思いますよ?流石に今日は疲れましたし」
『丁寧語取り繕うのやめたら?』
『配信からあふれでる素の口調』
「っ、まあいいけどね。いいの?清楚丁寧語の方がよくない?」
『素じゃないと続かないよ』
『それに快活なのも良いと思う』
「いたい人達……」
『いい話が『いたい人』で台無しになった』
『俺らのいい話を返せ』
『やっぱり清楚丁寧語でやれ』
「……ありがとね。それじゃあ今日はここまで!また明日にでも」