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魔法世界で親友にVRMMOを作らせたので全力エンジョイしてみた!  作者: けゆの民
【世界初】VRMMO系配信者セラス爆誕!【誰だお前】
3/5

3◇丁寧語ロールが吹っ飛ぶ配信2日目


「ロッッグイーーン!」


 高いテンションを維持しながらも私はゲーム内に入り込む。

あ、今日はスムーズにログイン出来たよ。

わたしは学ぶ生物だからね。二度も同じ手品には引っかからないんだよ!

え?あんなの手品でも罠でもない?

あ、あの悪辣非道の塊を……やめよう、これはテンションが上がってるんじゃなくて頭がおかしいだけだわ。


「よっ、と」


 特に意味もない掛け声的なサムシングを発しながらも、電脳の世界に降り立つ。

それじゃあ今日もやっていきますか。


「おはようございます!いたい人!」


 自分で言ってて奇妙だと思う挨拶をしながらもカメラに向かっておじぎする。


『待ってた』

『(あ)いたかった』

『それいいね』


 お?なんか始まりの挨拶が決まりそう?

まあいいか。こういうのは自然の流れに任せたほうがいいらしいし。


「いやぁ、今日から一般解放ということで……見て下さいよ!」


そういって私は人がわちゃわちゃとひしめく広場を見る。


「この人の多さ!昨日の過疎が嘘みたいですね!」


 昨日はNPC以外いなかったからある意味不気味だったけど、今日は逆に人が居すぎて不気味ってレベル。


『はやくやってみたい』

『でも配信も見たいよね』


「機器を買ってない人は……まあ、頑張って下さいとしかいいようがないですけど、ゲームを遊びながら配信を見る、というのは出来ますのでそこら辺は各自の事情にあわせてくださいね」


 そう!このゲームはプレイ中にも別サイトを見れるのだ。

つまり、wiki的なものを開きながらプレイもできるわけだ。まあ、まだそんな便利なサイトはないんだけど。


「昨日は戦闘出来なかったので、今日は戦闘をしてみたいと思います!」


『aglしか振ってないけど戦えるの?』

『どうやって戦うつもり?』


「戦い方……まあ、近付いて殴れば解決するでしょ。私に付いてくれば全部よゆーだから」


『ほんとに?』

『ほんとのほんとに?』


「まあまあ、見てなさいって」


 適当に意気込んでから街から出ようと……うん?

これどこ行けばいいんだ?


「有識者の方~どこに行けばいいか教えてくれませんか?」


『よゆー(笑)』

『皆、セラス様についていこう^ ^』


「ぐぬぬ……」


 そんなマンガチックな擬音語を出しながら、私は唸る。

くそう、自分で言ったことに殴られてる。

あ、今気付いたけど、私武器持ってない……

 というかアリス!初期装備として武器の一つや二つ配ってよ!

確かにゲーム作成なんて初めてだろうから色々わからないかも知れないけどさぁ……

まあ叶わない願いを叫んでも仕方ない。


「よし!いたい人が教えてくれないから、私の独断&偏見で決めよう!」


 そう言って私は目をつぶってからその場でぐるぐると回転する。


「……すちゃっ!」


『自家製効果音お疲れ』

『すちゃっ(発声)』

『セラス流効果音再現魔法』


 なんかコメントで散々に言われてる気がするけど気のせい気のせい。

というか待って。


「うっ、気持ち悪……」


 周り過ぎて気持ち悪い……くっ、全世界に配信してるから吐くことは私のゴミクズみたいな尊厳を投げ捨てるのと同義だから出来ない……!


「乙女の尊厳は維持してやる……!」


『乙女(笑)』

『尊厳とは(哲学)』


 うっせ。

よし、気持ち悪さも薄れてきたし向いてる方向に行くか。


「よし、じゃあ今向いてる方向に行きますか」


『北…あっ(察し)』

『お疲れ様でした』


この様子だと北ステージって難しいのかな?

まあでもどこ行っても最初のステージだし、大した難易度差ないでしょ。


「まあ私の実力ならよゆーよ、余裕」


 なんてったってあれよ?

私……セラスのほうじゃなくて片瀬花奈はこれでも色んな死線を潜り抜けてきたんだよ?

アリス達の助力ありありではあるけど。

それに我、宮廷魔術師ぞ?

こんなんでも一国の魔術師の中でも最上級ぞ?

簡単に負けるわけ────


「あ、ウサギだ!」


鑑定しようと、『鑑定鏡-lv1』を相手に向ける。

お、出てきた出てきた。


─────

種族:レッサーラビット

レベル1

hp:120/120

─────


 理解理解。

 レッサーってことはそのうち上位個体が出てくるんだろうね。


 おーけーおーけー。

 相手の出方を全力で伺いつつ隙を探す。

 一触即発の緊張感がこの場を支配し、明鏡止水という言葉が───


「ぴぃっ!」


───来た!


 ウサギが飛んでくるのに、合わせ膨大な……レベル1にしては膨大なaglをフル活用して横によける。

 すると、私のすぐ横に向かってウサギさんが飛び込んでくるので────


「今だああああいったあああ!痛たたたたっ」


 殴ったと思ったら死ぬほど痛かった。

いや、死ぬほど痛かったっていうのは流石に盛ったわ。

タンスの角に小指をフルスイングした時ぐらいの痛みを拳全体に感じながらもウサギをもう一度鑑定する。


─────

種族:レッサーラビット

レベル1

hp:119/120

─────


そして一方これがマイステータスである。


─────

NAME(名前):セラス

HP:30/100

MP:0/0

─────


 さーて、本格的にどうしようか。

腕フルスイング1ダメージの代償が70ダメージ……

控えめに言って詰みでは?


『あっ』

『これは……』

『(敵が)圧倒的攻撃力』


「ま、まだ戦えるはず……」


 そう思い……というかそう思いたい願望にかられながら、再度構える。


「ぴぃっっ」


 もう一度ウサギが飛び込んできたので、今回はなにも反撃せずに避ける。

ふっ、余裕だぜ。

これぐらいなら何度でも繰り返せる……!




だいたい5分後。

ウサギの飛び込みを避けながら時間を潰していると、hpが80まで回復している。

まあそれが目的だったんだから良いんだけど、ね!


「よっしゃ、おらぁ!」


もう一度反撃全力フルスイング!(反動70ダメ)


「痛っった!」


─────

種族:レッサーラビット

レベル1

hp:118/120

─────


「よしよしよし、とても順調だね」


『順、調?』

『単純計算で後13時間50分ぐらいかかるもよう』

『倒せる気がしない(うさぎ)


「というわけで今日の予定は変更で、14時間弱耐久合戦スタート!」


『正気で狂気に突っ込むセラス様』

『正気ドコ…ココ?』

『長時間耐久(2回目配信)』


「といっても、流石に14時間無言っていうのはあれだから適当に雑談するけどね、っと!」


 突っ込んできたウサギを軽くいなす……と反動を受けるので、適当に避ける。


『まじで14時間やるのか』

『どうして配信始めたの?』


 あ、14時間はまじでやるよ。私がミスるかウサギが突然変な行動をしない限りはだけど。


「配信始めた理由ですか……」


 私がアリスにVRMMO作って!!って頼んだっていうと私が片瀬花奈だってことがバレるから事実は言えない……!

 まあ最早私が花奈だってことは公然の事実になってる気がしなくもないけど、まだいける。今回の配信からのリスナーにはまだバレてないかもだしまだいける、はず。


「第二王女様にやれって言われてたからですね」


 というわけでアリスに責任の全てを擦り付ける。

後が若干怖いけど許してくれる、はず……許してくれるよね?

 うん、対策(ほてん)は考えておこう。



『第二王女様……』

『第二王女様ェ…』



 流石に王族兼権力者であるアリスを糾弾できる人はいないようで安心。これで責任追及からは逃れられるね。



『セラス、後で話がある』

『おはようございます?第二王女様』

『御愁傷様です』


 さて、私の人生の詰みが確定したところでまだ14時間くらい猶予があるから、そんなに焦る時間じゃあない。


あ、アリスにスパナ(コメント編集権限)付けとこ。

 へぇ、アリスメイドインターネッツだとスパナを付けた人の名前は私が決められるのか、なるほど。

 よし、じゃあ名前は~っと。

カタカタカタカタ、ッターン!(天才ハッカー風味)


『|おうじょさま:前言撤回、後で部屋に来て』


 おっと、火に油を、アリスに魔法を注いだ気がするけど私の命は後14時間もある!だから無敵なんだよ!


「よっしゃあ14時間耐久やったるで!……20時間くらいに引き伸ばしていい?」


『ダメですね』

『おうじょさま:ダメ』

『ダメ』


 くそう、私の味方はどこにいるんだ……



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