1◇一番の親友がVRMMOを本当に作り上げたんだけど
というわけで押さえられなくなったので投稿しました。
反省も後悔もしていません!
まちかど2期決定により更に予定が前倒しに……
「よっしゃあ!やったぜ!」
そんな感じで全力でドヤる私の名前は片瀬花奈。
そして私の目の前で倒れ伏すのはラスボス……でもなく強大なボス!でもなく、探せばそこら辺に転がってる雑魚敵……もとい、レッサーラビットlv1だ。
『おめでとうございます!』
『お疲れ様です!』
そして空間に表示されてるちょっと固い文は、いわゆる視聴者コメントというやつ。
何でこんなに固いかと言うと、それはこのシステムに着いていけてない……というか馴れてないからだと思う。
え?どういうことだって?
はぁ~しょうがない。
この大天才……はやめとこう。
この大魔法使い、片瀬花奈が懇切丁寧に教えてあげよう!
あれは───1年前。
いや、そんな前じゃないわ。
まあざっと3週間くらい前のこと。
───────
「アリス、VRMMO作れる?というかインターネットシステム作れる?」
人類の作った叡知の結晶、インターネッッッツ!をこの世界でも再現出来れば念願の疑似知識チートが出来る!だからやろうと思ったけど…
うん、残念ながら私にはそんな技能はない。
つまり、アリスに頼むしかないのだ……!
「はぁ……わかった…それじゃあ少し待ってて」
そんな平和なやり取りがあってから、数週間。
アリスとかがあれやこれやして完成したのがこないだ。
何の縁か貴族や裕福な平民にまで格安で広まったパソコンもどきとVR機。
パソコンといっても、配信を見るか……後は配信を見る。
それか配信予定の連絡を確認する、とかも出来るね。
え?ワード?エクセル?パワポ?検索?知らない子ですね。
アリス曰く順次追加らしい。
まあ細かいことは後で考えよう。
◇
というわけで自分の部屋で、アリスにもらったVR機器を付ける。
ちなみにこのVRゲーム機ですが、実は付けているとどんどんmpが減っていきます。
といっても1分に1ぐらいだけど。
まあ実質これがログイン制限みたいなものだよね。
私の場合それが制限になってないわけだけど。
まあいいや。
今日は魔法に生きる人類にVRMMOの素晴らしさを伝えるべく私がアーリーアクセス……もとい宣伝をするわけだ。
そう、一人で。ボッチじゃないよ?人柱でもないよ?
落ち着こう、こういうときは逆に考えるんだ!
よく言えばこのVRゲームの正式リリースは明日で、今日は貸し切りなのです!
つまり、私の楽園になっているのです!
ふっ、この一日分の差でのしあがってみせる!
あ、ちなみに私は色々あって少しだけ有名なので偽名を使う。
『セラス』……それが私のこの中での名前。
え?由来?まあ色々よ、色々。
そんなことより速くあそぼーっと。
電源を付けて、元の世界では体験出来なかった『電脳世界へのダイブ』をする。
……本当に電脳世界か、かは謎。
なにしろアリスの謎技術が由来だからね!
まあでもアリスは信頼してるから死にはしない、と思う。
目を開けるとゲーム選択画面が現れる。
そしてその中心で『我こそがゲームである!』と一つむなしく漂ってるのがアリスメイドのゲーム。
───『テクノリメティック・カリキュレーション』
名前の由来に検討を付けながら、私はそのゲームを選ぶ……選……選…どうやるの?
『これ!これ!テクノリメティックの!アリスのやつ!』
そんな思念を発したり。
『これで遊ぶ!』
ピシッと指差してみたり。
『テクノリメティッッック、カリキュレーーショオオオン!』
あげくの果てには全力で正式タイトルを叫んでみたり。
「はぁ…はぁ…」
仮想世界なのに何故か疲労を感じながらも困り果てる。
え?始められないの?
落胆からか、私は膝から崩れ落ち──
うん?
崩れ落ち?
崩れ落ちれるなら───
うん、やっぱり普通に動けたわ。
腕振り回せるし、足蹴りとかも出来そうだし……もしかして?
まさかね、なんて思いながら足で歩き、腕を伸ばし──
『ゲームスタート!』
ゲームが始まった───
くそう。
これじゃあ私がバカみたいじゃないか。
10分くらい絶叫したり腕を伸ばしたり、思念を送ってた自分を殴り倒したい。
パッと世界が切り替わり、自分のステータス的なものが表示される。
────────────
NAME:
JOB:
SUBJOB:
REST:
HP:100/100
MP:0/0
BP:+100
str:0
vit:0
dex:0
agl:0
【セットスキル】
【控えスキル】
【称号】
【持ち物】
『鑑定鏡-lv1』
────────────
なるほど、ここで初期設定をやっていくのか。
本来ならここでアバター設定みたいのをやるんだろうけど、私の場合既にガワが出来てるからカット。
『初期設定チュートリアルを受けますか?』
『はい/いいえ』
まあなんとなくわかるしパスでいいでしょ。
で、初期設定…もといボーナスポイントを割り振らなきゃいけないわけだ。
さて、どうしたものか。
私は悩みながらもステータス割り振りと職業を完成させる。
ちなみに振れるのは小文字ステータス4つだけ。
hpやmpには振れないっぽい。
そして職業にも色々あるけど……
────────────
NAME:セラス
JOB:【軽戦士】lv1
SUBJOB:
REST:
HP:100/100
MP:0/0
BP:+0
str:0【+5】『-204』
vit:0『-204』
dex:0『-204』
agl:204 (+100)【+2】『×2』
【セットスキル】
『速窮の天覇』
【控えスキル】
【称号】
『極窮の覇者』
【持ち物】
『鑑定鏡-lv1』
────────────
後色々試してみた結果、以下のこともわかった。
HP:5×vit+3str+100
MP:10×dex
……うん、一切関係ないね。この情報。
一応詳しくは下みたいな感じだね。
加えて弁明させてもらうと【称号】と【セットスキル】はこの割り振りをした瞬間に出てきた。
だから私、悪くない。
────
【軽戦士】
己を守る枷など要らぬ。
己を守るのは剣と其の速度のみである。
【JOB補正】:str+(lv×5) agl+(lv×2)
【SUBJOB補正】:str+(lv) agl+(lv)
────
────
『速窮の天覇』
私の理は速度のみ。それ以外全てを捨てて、私は極める。
効果:
agl×2
str、vit、dexを-(agl)(最小は0)
このスキルは【セットスキル】から外せません。
────
────
『極窮の覇者』
極めた先には唯一つ。
其の理以外、私は求めない。
────
【称号】の方は完全にフレーバーだとして……
うん、私が金輪際agl以外に振れなくなった気がするけど気のせい。
わりと始める前からやらかした感はするけど……
まあなんとかなるさ!
私は意気込みながらVRの世界へと向かう─────
『極窮の覇者』
最初のステータス割り振りでどれか一つに全部振ると表示される【称号】。
【セットスキル】に『~窮の天覇』を追加する。
『速窮の天覇』
いわゆる極振りスキル。ちなみに同系統スキルももちろんある。
『豪窮の天覇』(str)
『障窮の天覇』(vit)
『魔窮の天覇』(dex)
……ここから分かる通り、ゲーム内の魔法やら魔術やらにはdexが大きく関係しています。
ところでセラスのdexって何でしたっけ?