事情聴取
遅れてすいません!
そして昇級試験の次の日、その試験に参加していた隊の隊員全員が事情聴取を受けることになった。
これに対して悠たち、主に蒼は正直意味がわからない、と思っていた。おそらくこの事情聴取は当時の状況を知ることが目的であり、状況は誰の目で見ても明らかで不可知怪物の最も近くにいた人達で間に合うはず、ましてやそもそもそこに居なかった人達にもに聞くなど時間の無駄であった。
そもそも不可知怪物とその他の怪物数体がいて、数人が殺され、そいつはゲートで逃げたということだけを説明すればよく、スパイがいるなんていうことも起これないし全くの意味不明であった。
そしてついに蒼達の順番がやってきた。
蒼達はS級の人に連れられ、とある部屋に通された。
そうするとS級の人が、
「少しの間、ここで待っていてください」
そういった後、彼女は部屋から出ていった。鍵を締めて。
部屋は質素なもので、パイプ椅子6つと折りたたみ式のテーブル2つしかなかった。
シーンと静まり返っている部屋。すると突然、誰かが口を開いた、藍香だった。
「ねぇ、この部屋さ、入ってくるときに見たんだけど『尋問室』って書いてあったんだけど。単なる聞き込みなのにこんな部屋に入んないと行けないのかな」
「まあそうだよね」
「あと鍵締めたしな」
そう彼らが話していると、扉が開く音がした。するとさっきS級の人ともうひとりのS級が部屋に入り、また鍵を締めた。
すると藍香がS級の人へこういった。
「なんで鍵閉めるんですか?単なる聞き込みにこんな頑丈なことやらなくてもよくないですか」
こういうのって言わないほうが良いのでは...蒼はそう思った。
「.........いいや必要だ。さあ、始めるぞ」
少しの間をおいてS級の人が喋った。
「まず、その時の状況を説明して貰えますか」
案内してもらった女の人が言った。
四人は目を合わせ、会話をした。
『蒼、あんたが行きなさいよ』
『は?嫌だ。じゃあ悠、どうぞ』
『...わかった。私が行く』
「...他の方から聞いているかもしれませんが、スライムみたいな見た目の不可知怪物と、爆発型怪物が試験に乱入してきました。そのうち、不可知怪物だけが5人ほどの隊員を自分のスライム状の体に包み込むと、ゲートが開き、その怪物だけが中へ戻っていきました。その後、私たちと他の隊が爆発型怪物達を倒しました」
「......そうか、情報提供感謝する」
すると案内した方のS級隊員が扉を開け、外へと促した。
しかし、
「あの」
藍香が帰り際にS級隊員をそう呼び止めた。
「なんで不可知怪物が5人さらったあとにゲートが開き、そいつだけ戻ったんですか」
「...............わからない」
「そうですか」
藍香はその回答に対して不服そうな思いを含ませ、そう返した。
そして部屋から出た瞬間、扉が音を立てて施錠された。
「ねぇ、なんかさっき間がなかった?何かを隠すような。あとやっぱりこんな聞かなくたって良かったんじゃん」
「いつのこと」
悠が尋ねた。
それに対して藍香が、
「わからないのとこ。ちょっと怪しくない」
「怪しいったって何も疚しいことないだろ。確かに尋問に関しては疑問はあったけど」
「じゃあちょっと盗聴してみよ」
「盗聴って...そんなかる~く言えることじゃないでしょう」
「人が来たらやめるって。まあ、なんにもなかったらそれでいいんだけど」
そういうなり藍香は扉に耳を澄ました。すると跡切れ跡切れだが声が聞こえてきた。
『......ゲート...ばれ...包み込ん..まで......幸い........ばれ..ない.....』
「なにか聞こえたのか」
「なんかゲートに関すること?に関して話してた。包み込んだとかバレてないとか」
「ゲートってあのゲートだろ?あ、人来たぞ。とりあえず雑談室ではなそう」
******
「で、ゲートに関することと、包み込んだとかバレてないとか。言ってたんだろ?十中八九怪物のことだろうな。でもバレてないということはなにか隠してる.....」
「でも隠すことってなんかある.....? あ!怪物の正体とか」
「藍香,,,隠してなんの得になるんだ?だって彼奴等を倒したりするのが役目だからわかってるならさっさと言っちゃえばいいだろ」
「確かにそうだけど」
「その狙撃手の人が言っていることも可能性としてはあるんじゃない」
いきなり後ろから声をかけられた。そしてそこにいたのはいつだかの三上兄妹、司と翼だった。
更新ペース半年に一回にしたい...もうめんどくさい...チーズ蒸しパンになりたい