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愛情には限りがあるの?

作者: 七瀬




ぼくのママは、いつもぼくにこう言っていたんだよ!


『ねえ、よく聞いて良太郎! “愛情には限りがあるの!” だからママは

良太郎に、最後の最後まで私の愛情をあなたに注ぎ続けるわ!』

『___ママ!』

『私が、もっと体が丈夫ならね! 無限にあなたに愛情を注げるのに...。』

『・・・ママが悪いんじゃないよ。』

『___貴方は、なんていい子なの! 私の愛する息子。』

『出来るだけ! ぼくはママの傍にいるからね!』

『___えぇ! 私の傍にいて。』

『___うん!』






___そうやって、ぼくのママは3年前に亡くなってしまったんだ。

ぼくには、初めから“パパ”はいないんだよ!


ママが、パパはぼくが産まれる前に事故で亡くなったと言っていたから。




【___ぼく、ひとりぼっちになっちゃった。】





___ママは、こういう事もあろうかとママの妹にぼくの事をお願いして

いたんだよ。


ママの妹は、ママにそっくりの綺麗な女性ひとなんだ!

性格も、ママみたいに優しいんだよ!



・・・ただね?

ママの妹は、独身でぼくを引き取るか?

・・・凄く悩んだらしいんだ。


結婚も、子供も産んだこともない女性が本当にぼくを育てていけるのか?

ぼくのおじいちゃんおばあちゃんにも言われていたらしいよ。


『なあ、暁美! 本当に良太郎をお前が引き取るのか? 別に俺たちが

あの子の面倒を見てもいいんだぞ! お前はまだ結婚もしてないんだ!

いい男性ひとができたら? 良太郎はどうなるんだ?』

『・・・お父さん! それもわたしなりによく考えたの! これは姉さん

との約束だから、絶対にわたしは考えを変えないわよ!』

『___この子ったら? 本当に誰に似たのか? 貴女の好きなように

しなさい!』

『___お母さん、ありがとう!』




___ぼくは、ママの妹の暁美おばさんと二人暮らしをはじめたんだよ。

おばさんは、ママと違って体育会系というか?


シャキンシャキンした人なんだ。

自分で決めた事は、絶対に曲げないしね!


『___ねえ、おばさん、ぼくココに居ていいの?』

『何を言ってるのよ! 良太郎はわたしとこれから一緒に住むんでしょ!

ココに居ていいに決まってるじゃないの!!!』

『・・・でもさ、おばさん!』

『___良太郎、わたしのこと“おばさん”って呼ぶのやめようか! せめて

暁美お姉ちゃんとか、ねえ?』

『___分かったよ、暁美おばさん。』

『___うーん、やっぱりおばさんになっちゃうよね? まあ、いいか!

良太郎、お腹空いた? なんか作ろうか?』

『___うん。』

『・・・何が食べたい?』

『うーん? ハンバーグかな? ママがよく作ってくれたんだよ。』

『じゃあ、“おばさん”が作ってあげるね! おばさんのハンバーグもママの

ハンバーグに負けないぐらい美味しいだから!』

『___ううん。』





___それから、おばさんはぼくにたくさんの愛情を注いでくれたよ。

ママの分もいっぱいね!



・・・でもおばさんは、悩んでいたみたい。

ぼくに対して、まだまだ愛情が足りてないんじゃないかって。


【___本当のママじゃないから。】



___おばさんがそんな風に想ってくれてるなんて知らなかったから。

反抗期の時は、喧嘩もしたんだ。



___おばさんをたくさん、悲しませてしまった。

それでも、ぼくに愛情を注いでくれたおばさん。



・・・ある時ね?

おばさんがこんな事をぼくに言ったんだよ。


『・・・どんなに頑張っても! わたしは良太郎の本当のママじゃない!

だから、良太郎にどんなに愛情を注いでもまだ足りないと思うの。

おばさんの愛情は、良太郎に届いている?』

『___お、おばさん、』

『わたしは、あなたのママみたいになれてるのかな? 姉さんは凄く優しい

女性ひとでね! わたしの憧れの女性ひとでもあったのよ。

そんな女性ひとに、わたしはなれてるのかな?』

『・・・ママも、そんな事を言っていたよ。』

『___姉さんが!?』

『うん! “愛情には限りがあるの!” だから最後の最後までぼくに愛情を

注いであげるんだって! そう、言ってた。』

『・・・そう、』

『おばさんは、ぼくにたくさんの愛情を注いでくれているよ。ぼくは知ってる!

だからね! ぼくもおばさんの期待に応えたいんだ!』

『___良太郎!』

『もう、一人で悩まんなくてもいいんだよ、おばさん!』

【グッ!? うっっ、】



___おばさんが、泣いちゃったんだ。

ずっと、悩んでいたのかな?



___でもね?

ぼくとおばさんとの“絆が深く繋がった”感じがしたんだよ。


おばさんは、ぼくの【もう一人のママ】なんだとぼくが気づいた

瞬間だったんだ!



【いつも、ありがとうおばさん!】






最後までお読みいただきありがとうございます。

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