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時を刻む水時計  作者: るりまつ
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アントニオ猪木が引退し、X-ジャパンのhideが死んだ1998年の五月の朝


 中学時代、優等生と呼ばれていた僕と、落ちこぼれの底辺にいた松本さんは、それぞれの学力に見合った高校へと進学したことで、互いの接点は全く無くなった。


 僕は船橋市内の、天文台のある公立高校に約20分の自転車通学。

 松本さんは、八街市のピーナッツ畑の中にあるという私立高校に、電車とバスを乗り継ぎ、延々と一時間半ほどかけて通っていたようだ。

 家は細い道を隔てて向かい合わせだったけれど、交友関係も行動範囲もまるで違くなったので、高校を卒業するまでの三年間、朝も夜も休日も、顔を合わせた覚えが一度も無い。


 その三年の間に、僕と松本さんの身に起こった変化といえば、僕自身はすっかり進学校で落ちこぼれ、受験にことごとく失敗して浪人生になった事。

 そして松本さんは、その私立高校の付属の短大に推薦で合格し、女子大生になった事。


 それを確認し合ったのは忘れもしない、アントニオ猪木が引退し、X-ジャパンのhideが死んだ1998年の五月。


 賑やかなゴールデンウィークが虚しく横を通り過ぎ、灰色の浪人生活を送る僕にとって、唯一の息抜きであり娯楽であったエロビデオを、隣町のレンタルビデオ店まで返しに行こうとした18歳のある日の朝だ。




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