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時を刻む水時計  作者: るりまつ
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その道、左へ


 ハンドルを左に切り、小石の目立つ細い未舗装の道に入って行く。

 両脇にはアシだかヨシだか忘れたけど、とにかく水辺でよく見かける、背の高い細長い草がびっしりと隙間なく生えていて、天然の垣根みたいだ。

 それにしても、もし対向車が来たらすれ違えるのかどうか……と思っていると、10メートル位先に、自転車のゴムチューブの塊りのようなものが落ちていて、オデッセイが近づくと、突然それがほどけて勝手に動き始めた。


「うおっ!!」


 驚いてブレーキを踏むと、それはあっという間に一本の太い紐に姿を変えて、クネクネと地面を這いながら草の中へと消えて行った。


「ヘビじゃんっ、ヘビ、ヘビっ、おぉぉー!デカっ!!長ぁ————っ!!」


 僕の住む船橋市も、ちょっと住宅地を離れたら、まだまだ相当のイナカだけど、それでもヘビを見たのなんてかなり昔だ。

 思わず興奮して叫んでいたら、今度はその声に驚いてか、両脇の薮の中から、脚の長い白サギが群れになって飛び立ち、それが車の前で数羽、交差し、それからまたそれぞれ左右の薮の奥へと消えて行った。


「サギだ、サギ!サギサギ、いっぱい、スゲぇ!!」


 僕は久々に見たスズメとカラスと蛾とゴキブリ以外の野生の生き物に感動し、その感動を、誰もいないから目いっぱい大声をあげて楽しんだ。

 松本さんが今いたら、きっと僕よりもっとはしゃいで喜ぶかも。

 タイヤの泥除けの内側に、小石が当たってポップコーンが弾けるような音がする。

 ラジオなんかそっちのけ。目と耳を研ぎ澄まし、突然の生き物の出現に期待しながら、ゆっくり慎重に進んで行くと、道は明るい雑木林から、国道からも見えたブロッコリーのような森へと入ったようだ。


 光が阻まれ、急に車内が暗く、涼しくなった。


 僕は128号線から、あのラスタカラーの看板に従って、ずっと真っ直ぐ進んでいる。

 脇道は、ここまで一本も見て無い。だから何も間違えていないはず。

 ただその道自体が森に入ってから、いつの間にか木と木の間を走っているだけのような、あやふやな感じに変わってきた。

 地面に残った轍を追って、直進してるつもり。

 けど実は、いつの間にか大きく曲がってたりなんかして。

 僕はバックミラーにチラリと視線を走らせた。

 横長のミラーの中に、10本くらいの木の幹が並んで見え、それが前の方に実際生えてる木と混ぜこぜになって、一瞬、遠近感が狂う。

 その感じが、急に僕を不安にさせた。

 前も後ろも右も左も、どっちもこっちも木。何もかもが木だ。

 そう言えばあれから、あの看板と共通するような目印は何も見当たらない。


 ひょっとして騙されたんだろうか?


 ていうか、大体あれは何の看板だったんだ?


 僕は勝手に、カフェかなんかがあると思って来たけれど……



 そして、どうにも心細くなり、もう引き返そうかと思った頃、車はある場所に辿りついた。











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