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時を刻む水時計  作者: るりまつ
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GOOD2GO!!!!



 ……どれくらい真っ直ぐ走っていたのだろう。


 停止した赤信号の上の標識は、ここが『勝浦』だと言う事を示している。

 勝浦は御宿の先。

 朝市が有名な漁師町で、小学生のころ遠足で、海の中を覗ける海中展望室のある『鵜原(うばら)理想郷』とかいう、

大層な名前の付いた所に行った記憶がある。

 松本さんは、東浪見というさっきの場所から御宿までは、車でだいたい30分と言っていた。

 てことは、僕はかれこれ30分以上も、ボーっとしながら走っていたわけだ。

 我ながら驚いた。まさかここに至るまで、信号無視とかしてないだろうか……。

 いまいち自信は無かったけれど、取りあえず、事故らなくて良かった。


 停止しながら辺りを見渡すと、景色もすっかり変わっていた。

 防砂林も、明るい色の店も無くなり、心なしか幅の狭くなった道の両脇には、セイタカアワダチソウが丈を競い合うようにうっそうと生えていて、そこから奥は、ブロッコリーのように身の詰まった感じの深い森になっていた。

 明らかに海辺ではなく山の道っぽく、前方には古めかしいトンネルがぽっかり口を開いている。


 さてどうしよう。このままもう少し行って見るか。

 それとも引き返して、どこかコンビニの駐車場で単語帳でもめくっていようか。

 そう思った時、信号の左先に、立て看板があるのが見えた。


 ん……?


 それは路肩に生い茂る雑草の中に、半ば埋もれるように置いてあったのだけど、グリーンとイエローとレッドという、派手なラスタカラーで僕の注意を惹きつけた。


 何だ……?


 僕はその看板をじっと見た。

 イエローの部分に、黒い文字が浮き立つように書かれている。



 『GOOD2GO』



 その文字を見て、僕の頭に、中学のクラスメイトの声が蘇る。



 グッ・トゥ・ゴー



 頭のいかれたレゲエかぶれ。

 昼休みになると、ペンケースをマイクに見立てて手に持って、教壇をステージ代わりに、ピョコピョコとヒザでリズムを取りながら、ボブ・マーリーの真似してた。

 けど、うんざりするほど下手クソで、みんなからはピシャリと無視され、それでも時折、僕らに向かって手招きしながら呼びかけた。

 その言葉が「 グッ・トゥ・ゴー 」


 看板の少し先に、左に曲がる、細い未舗装道路が見えた。


 後ろから、軽くクラクションを鳴らされる。


 信号は、青に変わっていた。



 GOOD 2 GO



 その言葉に吸い寄せられるように僕は左ウィンカーを出した。


 そう。


 アイツは馬鹿みたいに、しつこく叫んでた。


 グッ・トゥ・ゴー! さあ、ついて来い!! 









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