船上
KP:5人は船に乗っていた。
KP:研究室の教授が予約したというホラーツアーは2泊3日、無人島で行われる島内探検のようなもの。そこまでは全員の知るところだった。しかし、ホラーツアーの参加者が自分達だけだとは、提案者である教授でさえ夢にも思わなかっただろう。
KP:……ってことで君たちは船の上にいるよ。
越後:えっ大学からとかじゃないの
KP:本当はそのつもりだったけど、誰かさんが、キャラシを、忘れてきたからな。
土居:(苦笑)それで、どんな船なの? 船首の方で抱き合ってる二人とかいられると困るんだけど、ほかに誰もいないんだ?
熊野:つまり……船は一人でに動いているということか!
KP:船員はいるよ。普通の船、船についてとかそのへんはよく知らないけど。
越後:じゃあ越後は「なんだーもっと人が多いと思ってたよ」とか言いながら海を眺めてようかな。
長沼:「まあいいんじゃない? 5人だけで旅行しに来たみたいで、ね?」
土居:水沢は?
越後:誰だっけ。
KP:お前、お前、お前……。
熊野:怒るな……俺たち探索者の友人だろ、阿胡ちゃんは。
KP:阿胡ちゃんとか気安く呼んでんじゃねえ!
熊野:なんでぇ!?
KP:まあいいんだけど。水沢阿胡は君達の近くで島の方を見てぼーっとしてるみたいよ。
土居:お、じゃあ声でもかけるか。「おい水沢、ぼーっとしてると熊野に尻触られるぞ」
熊野:やらねーよ!?
水沢:「まいったな……島に警察はいるんだろうか」
長沼:あれ?阿胡ちゃんって男?
KP:いや、こういう話し方の女。「だわ」とか「わよ」とか付けるの好きじゃないし聞いたことないし。
熊野:「俺の名誉のために言っておくけどやらないからな? それにこんな男みたいな喋りの女、俺の好みじゃないし」
越後:「そういうデリカシーのないこと言ってるから彼女できないんだよ」
土居:待て、水沢のAPP(外見的容貌。Appearanceの略。高いと美人。)はいくつだ!?
KP:……(コロコロ)
熊野:無言でダイスふったぞ。
長沼:まってそれD100+D10。
KP:89
越後:化物じゃねえか!!!!(APPの最大値は18。20以上は神話生物であることが多い)
長沼:3D6でふってよ……。
KP:(コロコロ)17
長沼:私より高い!
土居:つかこいつ出目高いな……。
熊野:戦闘が怖いな。
長沼:なんの話してたっけ……。
土居:熊野が痴漢魔って話。
熊野:絶対違う。
水沢:「まあ熊野には熊野の魅力がある。そう言ってやるなよ越後」
越後:「水沢がそう言うなら」
熊野:「俺の味方はお前だけだ阿胡……」
越後:「通報しようとしてたけどね」
長沼:「そういえば、泊まる所とか決まってるんだよね?」
水沢:「ああ、予約を取ってあるらしい。島にあるホテルだそうだ」
越後:パンフレットとかある?
KP:水沢は持ってない
土居:ないのか。船員とか知ってないかな。
KP:じゃあここで全員《聞き耳》。
(コロコロ……)
成功:熊野
KP:熊野は船員の話し声を聞ける
船員:「あの島……大丈夫なんですかね?」
船長:「さあな。まあツアーが企画されてるくらいだし大丈夫なんだろう。無駄話は禁止だ」
KP:船長の言葉で船員は黙ってしまう。以上。
熊野:……これだけか。なんだろ?
長沼:島で“何かがあった”、って感じなのかな。
土居:“何かが起こってる”って言い方じゃなかったな。
越後:「えーなになに熊野、難しい顔してるけどどうしたん? 水沢を口説く算段でも考えてる?」
熊野:「ちげーよ。……船員の話が聞こえたんだ」そう言って、小声で全員に今の話を共有しよう。
KP:うむ。
土居:直接聞いてみるのが早いか。
長沼:え、聞くの?
越後:んー。
土居:もしこのツアーになんらかの問題があって、俺らの身に何かが起こるんだとして、船員達の会話から察するに船員達はツアーのことも詳しくは知ってないっぽい。加えて島の現状をしっかり把握してないところから鑑みるに多分明白な敵対関係とかじゃないと思う。
越後:んー?
土居:というかこんな序盤からそんな警戒するもんじゃない。どうしても不安ならスマホで調べるとかどうだよ。
熊野:それがあったな。KP、《図書館》とかで調べられる?
KP:いいよ。なんて調べるの?
熊野:えっと…………島の名前ってなんだ?
越後:あれ? HOに書いてないんだっけ。
KP:ないよ。
越後:え、じゃあ……。
KP:君達は島の名前を知らない。先に言っておくけど、このツアーの名前もね。