なれませんか?
どんなに勉強が出来ようが、態度がデカかろうが、王子であろうが、この子は年少者なのだ。全部偽らざる本心だけど、いくらイラっとしたからといって、ちょっと言い過ぎたかもしれない。その後も、ショックを受けている様子の年少者に対して、私は確かに大人げなかった。
「ごめんなさい。」
下げていた顔を上げると、優しく微笑むシャルル嬢と第二王子のきょとんとした顔が目に入った。
「…何か?」
「いや、お前が謝るとは思わなかったから。少し、驚いた。」
「悪いことをしたなぁと思ったら、普通謝りますよ。」
本当、私を何だと思っているんだ。このコは。
「そうか…」
一瞬の逡巡。
そして、
「僕も、すまなかった。」
コンラート殿下が謝った?!
ぺこりと下げられた頭を穴の開くほど見つめていると、そろそろとばつの悪そうな顔が上がってきた。
「なんだ…その顔は。」
「いや、私も驚いて。」
ふんっとそっぽを向いて照れ隠しするコンラート殿下。可愛らしい所もあるのね。意外。
「偉かったですよ、コンラート。ライナールも。」
「はぁ。どうも。」
「子供扱いしないでくれ」
ぶすっとしたコンラート殿下を見つめるシャルル嬢の眼差しは、完全に保護者のそれだった。お姉ちゃんというか、お母さんというか。
お母さんの視線が、ムスコから私へ移る。
「ライナールは、面白い方だったのですね。」
「面白い、ですか?」
「ええ。わたくしにも、コンラートにも、貴女ほど本音で話してくれる者はいません。」
「口が悪いのは分かってるんですが、どうにも直らないんです。素直なもので」
ニャリと笑えば、シャルル嬢は楽しそうに笑ってくれた。それからちょっと控えめに、寂しそうに口を開く。
「貴女とは、もっと前にお話すれば良かった。」
前?
「貴女とは、お友達になりたかったわ…」
えーっと。
「もうなれませんか?」
「え?」
「私がシャルル様のお友達なんて、おこがましいかもしれませんけれど、親しくはなれませんか?今からでも。」
「…誤解ではありますが、わたくし、貴女に婚約者を奪われたのですよ?」
「誤解だったのでしょう?」
「わたくし、貴女に酷いことを言ったわ」
「そうですか?私は覚えがありませんけれど。」
「貴女は、わたくしたちと関わったせいで、悪く言われているんですよ?」
「言いたい人には言わせておけば良いんですよ。」
にっこり笑ってみせると、シャルル様が泣き笑いの顔になる。
「リアと、お呼びしていいかしら?」
「どうぞ、シャルル様」
二人して笑い合うそのそばに、一人取り残され、何とも言えない表情のコンラート殿下に、シャルル様が気付く。
「ねぇ、リア?コンラートともお友達になってくださらない?」
「よ、余計なことを言うなよシャル!なんで僕が!」
「わたくし、リアともコンラートとも仲良く過ごしたいの。ダメかしら?」
「だめ!…じゃないけどさぁ…僕は…」
二人してチラと私を見る。情けない顔に思わず笑ってしまった。
「口の悪さは直らないと思いますけど、それでもよろしければ」
かくて、私は入学以来、初めての友達を得ることとなった。
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ブクマも、本当に本当に嬉しいです!
初心者が今のところ折れずにいられるのは、皆さんのお陰だと心底思います!感謝!




