悪女。
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正式発表ではないにも関わらず、翌日には、婚約破棄の噂が学園内に蔓延していた。
どうやら馬鹿王子、生徒が行き交う廊下で婚約破棄を声高に叩きつけたらしい。本当に馬鹿王子な所業である。シャルル嬢への同情が大多数を占め、原因とされている私、リア•ライナールは針の筵である。現在講堂への移動中なのだが、暴言を吐かれる事二回。突き飛ばされる事一回。脚をかけられそうになる事一回。刺さるような視線、常に。という状況だ。
「リア!」
諸悪の根源、馬鹿王子は今日も元気なご様子だ。
昨日の頭突きはあまりきかなかったのかしら?
「リア、もう知って」
「近寄らないで下さい。」
「何だって?」
「近寄らないで下さいと、申しました。」
「ふふ、照れているのだね?本当に可愛いな、リアは。」
元気な上に、脳みそが沸いているご様子だ。うん。頭突き、きいてたのかな。常春の住人と化すのは勝手だが、どこか私の知らないところでやって頂きたい。
「リア」
芝居がかった様子で、馬鹿王子が私の行く手を塞ぎ、跪く。ちらちらと盗み見ていた周囲の生徒が、ガン見へ変わる。
「もう知っているかもしれないが、私は、シャルルに婚約破棄を言い渡した。やっと自由の身になれた。障害は、もう何も無い!リア•ライナール!君を妃に迎えると宣言しよう!」
周囲から息をのむ鋭い音がいくつも聞こえた。
「お断りします。では。」
慌てず騒がず、私は、キラッキラな笑みと、差し出された両腕を避け講堂へ向かう。
「はっはっは、本当にリアは照れ屋だね。困ったコだ。」
追いすがる馬鹿王子。彼は不死の魔物並に屈強なメンタルをしている。この辺り、第二王子が勝てない所の一つだよね。聖水とかで滅びないかな?
再び私の前へ回りこみ、行く手を阻む馬鹿王子。しかも今度は、私の前を横切って壁へと手が伸びている。端から見ると壁ドン的なポジションだ。うぜぇ。
「殿下、邪魔です。」
馬鹿王子を睨みつけたその時だ。
「貴様っ!昨日の言葉は嘘だったのかッ?!!!」
ものすごい怒鳴り声。振り向けば、肩を怒らせ、顔を真っ赤にし、ものすごい形相で、こちらへ足早に迫る第二王子がいた。
「コンラート?」
不思議そうに名を呼ぶ第一王子を尻目に、第二王子は私の腕を掴んで引き寄せた。
「兄上に気が無い様なことを言っておきながら!嘘だったのか?!」
客観的に見て、この状況どう見える?言い寄る男その1から、女をかっ攫い引き寄せる男その2。私が傍観者であれば、感想は一つだ。
女を巡る三角関係の修羅場。
加えて、男その1とその2が王子サマで、女は悪評が飛び交う様な人物だった場合、その女に対する心象は?
第一王子のみならず、第二王子まで惑わせる悪女。
大勢の生徒が見ている時点で、噂になるのは止められない。私の悪評は更に高まる事だろう。
「聞いているのか!ライナール!!」
「何をするんだコンラート!リアへの無礼は私が許さないぞ?!」
そもそも、私の悪評は誰のせい?馬鹿王子よね?更に悪評を高めたのは?馬鹿王子の馬鹿弟よね?私、被害者だよね?なんで私だけが泥を被らなきゃいけないの??
「舌の根の乾かぬうち、兄上とイチャつくだなんて!」
「誤解です!コンラート様!!」
第二王子の胸へとしな垂れかかり、潤んだ瞳で見上げ、あえて殿下とは呼ばずに親密さを醸し出す。
「私は、レオンハルト殿下を愛してなんておりませんっ!私が愛しているのは…っ!…ごめんなさいっっ!!!」
愕然とした表情の第二王子と、青ざめつつ憤怒の表情をした第一王子を置き去りに、走り出す私。
死なば諸共。
私だけなんて、不平等だもの。まずは私とシャルル嬢の言葉を信用しなかった、コンラート殿下に迷惑を被っていただきましょうか。
なんとか繋げられた…!!




