苦笑い。
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オレンジ色の夕日が差し込み出したサンルームは人気が絶え、一休みにはちょうど良さそうだった。片隅のソファへそっとシャルル嬢を下ろす。
「ありがとう、運んで下さって。重かったでしょう?」
「そんなわけないだろ?シャルはもっと食べて良いくらいだ。」
なんであんたが返事をするかな?その通りだけど。
第二王子は案の定私たちに着いて来ていた。
「コンラート?わたくしライナールにお話しているのよ?」
「シャルル様、お気になさらないで下さい。殿下の仰るように私も思いますから。」
「そう、ですか?」
「はい。」
「なんで貴様とシャルが普通に会話している?」
私とシャルル嬢を訝しげに見る第二王子。
「おい、さっきの話だが、兄上がどうしたと言うんだ?」
シャルル嬢の表情が曇る。ああもう!せっかく気がそれていたのに思い出させやがって、ポンコツめ!!
「コンラート…ラインハルト様は、わたくしとの婚約を解消なさるって…」
「何だって?!貴様の差し金か!リア•ライナール?!」
ギッと私を睨み、私から庇うようにシャルル嬢の前に立つ第二王子。
「違いますよ。」
「信じられるわけがない!」
「本当に違うと思うわ…」
「シャル?」
「だってライナールは…頭突きって言うのかしら?初めて見たけれど、それを、したの。レオンハルト様に。」
「は?えぇ??」
「そうよね、ライナール?」
「はい。あれは頭突きですね。」
あからさまに困惑する第二王子。我が国の王子はどちらも腹芸が出来るタイプではないらしい。未来は暗いな…
「えっ…と、で、あの、兄上は?」
「散策路の奥にまだいらっしゃるんじゃないかしら…」
「白目向いてましたからね。しばらく気絶してるんじゃないですか?」
「ええええぇっ?!」
そのまま土に還ればいいのに。
「貴様っ、何故そんなことを!」
「腹が立ったので。」
「なっ!なんだそれは!そんな理由で?!」
「いや、だって迷惑でしたし。何より婚約者を泣かしたんですよ?許せます??」
「いや、まぁ、そこは僕も許せないけど…しかし王族だぞ?そんなことをして、ただで済むと思うか?」
ふむ。
「そうですねぇ。大丈夫じゃないですか?多分。確かに不敬罪とか、王族暴行罪とかってチラッと浮かびましたけど、殿下は言わないと思うんです。女の私に沈められたとか、言えないし、認めすらし無いかもしれませんよ。」
「確かに…それはあるかもしれないが…可能性はどちらもあるだろう?どうするんだ?言い出したら。」
「一族郎党、亡命でもしますよ。うちの店はあちこちからお誘いがあるみたいですし。というか、ラインハルト殿下があのまま王座につく場合も亡命したいですね!国が滅ぶ前に。」
唖然とする第二王子。
「ね?コンラート。わかったでしょう?リア•ライナールはこういう女性だったのよ。」
苦笑い気味のシャルル嬢。どんな女だと思われて…って、想像つかないわけでもないか。
「兄上は、この女のどこが良いと言うんだろう…」
呟くように口にして私を凝視する第二王子も、さっきのシャルル嬢と同じく珍しい生き物でも見るような目だった。




