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商家のムスメ。  作者: MKS
3/33

頭突き。

読んで下さって、ありがとうございます!

ブクマ、すごくすごく嬉しかったです!!

「わたくし、思い違いをしていたようですね。」


 気丈に微笑むシャルル様。笑顔が儚げで可憐で、痛々しい。


「シャルル様?」

「貴女がレオンハルト様を籠絡したのだとばかり、思っていましたが、あれ、は、レオン、ハルト様、のご意志、だ、た」

「シャルル様?!」


 ぼろぼろと大粒の涙をこぼしながら、その場にへたり込む。


「ぅ、うぅ、あ、あああぁっ」


 からの、本気泣き。

 淑女の鑑とまで言われる侯爵令嬢の本気泣きという緊急事態!


「シャルル様っ?!え、どうしよう!だ、大丈夫ですか?!」

「大、丈夫、で、は、ないですうううう」

「です、よね、あぁどうしよう…とりあえず、あの、これ」


 私が差し出すハンカチ受け取ったものの、握りしめて更に号泣するシャルル様。どうしよう。どうしたらいいの?!てかなんで泣き出した?!!

 

「なんだ、聞き覚えのある声だと思ったら。お前か。」

「?!」


 突然の声に振り向けば、件の馬鹿王子が茂みをかき分けているところだった。


「あ。リア!こんな所にいたんだね!まさかこいつに酷いことをされたりしてないか?!」

 

 へたり込んで泣いているシャルル嬢と、それを見下ろす私。この立ち位置を見たら、普通出てこないであろう台詞。


「さぁ、リア、もう大丈夫!私が君を守ってあげるから。こちらへおいで。」


 どこまでも空気の読めない馬鹿王子は、満面の笑みで私の手を取る。こいつ本当に気持ち悪い。

 摑まれた手を振り払い、ついでに突き飛ばして転ばせる。不敬罪でも王族暴行罪でも受けて立つ!


「リア?!」

「殿下、シャルル様が泣いているのが見えませんか?」

「え?あぁ。泣いているな。それより」

「殿下っ!!!!」


 言葉を遮られてきょとんとする。


「シャルル様が泣いているんですよ?」

「そいつは泣き虫なんだ」

「淑女が泣いていたらお慰めなさるのが殿方の、シャルル様が泣いていたら、お慰めなさるのが婚約者の役目では?」


「そいつはいいんだ。もう婚約者でもないし。」


 はぁ?!

 シャルル様の泣き声が大きくなる。


「私は、そいつとは結婚しない。君を妃に望んでいる。」

 

 尻餅をついたまま、蕩けるような笑みを浮かべる馬鹿王子。一層激しく泣くシャルル嬢。


 もう、我慢の限界。

 

「…そう、ですか。そんなにも私を求めていらっしゃるんですね?」

「あぁ、ああ!そうだ!やっと分かってくれたのか!!」


 喜色満面ですり寄る王子と抱擁-…


 …-するかのように側頭部に手を添え、そのままがっちりホールドする。



 せーの。



「がっ!!!!?」

 


 短い叫び声。

 ゴリッという感触。

 パタパタと音を立てて枯れ葉に落ちる鮮血。


 私の頭突きは、見事、馬鹿王子の鼻面に炸裂した。


「恐れながら、殿下?私は貴方を必要とはしておりません。」


 白目をむいて倒れている軟弱馬鹿王子には、聞こえていないかもしれない。そのまま起きてこなければ良いのに。


 振り返れば、いつの間にかシャルル嬢は泣き止み、ぽかんとした表情でこちらを見ていた。


「シャルル様、この様なところにいてはお体が冷えてしまいます。立てますか?学園に戻りましょう?」


 日が傾いてきている。いかにふかふかな落ち葉の上とはいえ、へたり込んでいるシャルル嬢はお尻がさぞ冷えている事だろう。女の子に冷えは大敵である。


「え?あ…ええ。あの、その…」


 シャルル嬢の視点が右へ左へ定まらない。

 

 しまった。驚かせてしまったかしら?

サブタイ、「せーの」と迷いました。

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