選択。
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馬鹿というのは、時に最強で最凶な武器となる。その上、馬鹿王子は相も変わらず、不死の魔物並みの屈強なメンタルを保持している。よくもまぁぬけぬけと…と思う反面、ここまで面の皮が厚いというのも凄いなと、感心している私も居る。恐るべし。馬鹿王子。
「…わたくしへの愛が…真実の愛では無かったと…おっしゃったのは、レオンハルト様ですよ?」
険しく眉根を寄せ、絞り出すようにシャルル様が言葉を口にする。握りしめた小さな手は、力が入りすぎて白くなっていた。
「間違っていた。」
「簡単に、捨てられる程度の、婚約者だったのでしょう?」
「リアに恋をしたと思い込んでいたんだ。」
「わたくしより、意地が、大切、なのでしょう?」
縋りつく様な顔の馬鹿王子を睨んでいたシャルル様の目が、貯水量ギリギリまで涙を溜めている。
「シャルルを失うなんて、思わなかったんだ。」
…ん?
「ちょっと。今、なんて言った?」
「シャルルを失うなんて思わなかった、と。」
待て待て待て。え。
「最終的に二股狙い?」
「兄上…最低です…。」
側室文化が無いわけでも無いのが、現国王陛下も先王陛下も側室は持っていない。つまりは、ここ最近の感覚としては受け入れがたいわけである。
「ちがっ!待て!話を聞いてくれ!!そんな目で見るなコンラート!シャルルへの愛は、妹の様な存在への気持ちではないかとマクシ…じゃない。私が、思い込もうとしたんだ。妹だから、失わないと思っていたんだ。」
「シャルは侯爵家の娘だから、婚約破棄したら他人ですよ…妹じゃないでしょ…」
「妹に詩をプレゼント…?まさか弟君のコンラート様にも恋の詩を?うわぁ…」
「兄上、僕はいらないです。詩。」
「当たり前だ!だから!言ってるだろ?間違っていたんだって!シャルルは妹なんかじゃなかったっ。リアを好きなら、シャルルを遠ざけなくてはと思ったが、辛く当たると、何故か私も辛くて、リアには、シャルルに感じるような気持ちが…無かった…なのに私は……」
「摘んでしまった花は、枯れるしか無いんですよ。兄上。」
コンラート殿下がぽつりと言う。本当にその通りだ。しかしながら、私は知っている、
「…わたくしは…今もレオンハルト様を、お慕いする気持ちがあります」
シャルル様の恋は、枯れたりしていない事を。シャルル様にとって、彼は馬鹿王子な所を含め、レオンハルトなのだという事を。知っている上で見捨てろと言ったのは、
「では!」
「けれど、我ながら愚かしいとも思っています。」
枯れかけているのは、勇気とか、信頼とか、そういうやつだから。
「貴方の言葉が嬉しいとも、疑わしいとも、もう、傷つきたくないとも…思うのです。貴方を忘れてしまえれば、こんな気持ちにならずとも済むと、分かっているのに。わたくしも馬鹿なのでしょうね。」
選択するのは、シャルル様。
何とか、更新出来ました。。。ヤバい。




