むしがいい。
「すまないの一言で済ますのは、無責任過ぎますよ?貴方は、この国の王子なんです。望んで王家に生まれたわけでは無いかもしれないけれど、そんな子どもみたいなこと、この上言いませんよね?流石に。」
じろりと睨むと若干気まずそうにはするが、分かっているんだろうか、コイツ。
「大体、先程から何やら盛り上がってますけど、まずは目の前の事から一つずつ対象すべきでしょ?従兄弟殿が悪かろうが、屑だろうが、レオンハルト殿下が迷惑だった事実は消えないんです。唆したヤツが一番悪いのは当然ですが、自分の言動に責任を持たなくても良いという話ではありませんよ?判断ミスは殿下の罪です。その判断ミスが迷惑をかけたのは、私だけではありません。今、清算すべきはここに居ない人の罪ではなく、レオンハルト殿下の責任だと思うのですが、異論はありますか?」
有るなどと言えるわけが無い。言ったらぶん殴る。勿論三人とも黙っている。よろしい。
「では殿下?ご自分が何をしでかしたか、言ってみてください。」
「え。」
「え、じゃありませんよ。え、じゃ。自覚しなければ責任をとる意味が無いでしょ?はい、言って下さい。ほら、早く!」
本当に子どもかコイツ。近所のマシューくん4歳児が、同じようにお母さんに怒られているのを思い出す。怒られた意味がわからなければ意味はないのだ。
「君に迷惑を…」
「何が原因ですか?」
「…意地から…君を好きだと思い込んで…」
「そうですね。クっソつまんない意地ですね。そのクソつまんない意地が迷惑をかけたのは私だけですか?」
「君、と………」
たっぷり黙り込む馬鹿王子。おいおい。ちょっとちょっと!
「分かりませんか?!シャルル様、コンラート様、他の生徒、下手したらこの国全体ですよ?分からないとか、嘘でしょ?!!馬鹿だと思ってますけど、それは無いですよ!???」
「シャルルはそうかもしれないが…大袈裟な…」
呆れた!勉強は出来るけど馬鹿なタイプだコイツ!!しかもムッとしてやがる!
「おっまえ!ふざけんなよ?」
思わず漏れた言葉に、レオンハルト殿下だけではなく、シャルル様とコンラート様も目を丸くする。むしろ言葉づかいだけでも、今まで良く頑張ったと褒めて欲しい位なのに!
「シャルル様との婚約は、国政に絡んだ話でしょっ!国が傾く可能性があるのに、軽く婚約破棄とか、馬鹿にも程があるわ大馬鹿がっ!あんた自分の立場に自覚が足りなすぎるんじゃないの?!あんたみたいな大馬鹿の、クソつまんない意地の為に!シャルル様がどれだけ泣いたと思ってるの?コンラート様がどれだけ振り回されたと?ほんっと最低!」
ぽかんとした顔のまま青ざめるという、非常に器用な真似をする馬鹿王子。
「大袈裟だあ?冗談じゃ無い!…ねぇ、シャルル様!シャルル様はこんなのでもまだ好きですか?見捨てましょうよ。」
話を急に振られ、シャルル様は驚いた後、困ったように微笑んだ。
「そうね…」
「待ってくれ!」
「何よ?シャルル様を手放したのはあんたでしょう?今更何を言う気?これ以上泣かすつもり?」
冷ややかな視線を送っても、馬鹿王子は怯まなかった。
「ち、違う!シャルル、聞いてくれ!私は本当に馬鹿だった!間違えていた!!本当にすまない!気付いたんだ!私が愛している女性はシャルルだ!…むしがいいのは承知しているが……また、そばに居てはもらえないだろうか…?」




