金髪は、夕日に煌めき。
「それは………」
答えられない馬鹿王子の代わりに、言ってみる。
「私に勝てないと、思い始めてからではありませんか?」
シャルル様に責められた時、反応したのはコレだった。リアに勝てない。そこだ。
「ちがっ」
「わないですよね?」
「そんな、事はっ」
「有りますよね?」
震える唇が、誰かの名前を刻んだ。私の知らない誰かだったが、今追求すべきはそこでは無い。
「殿下、私の事が好きですか?」
真っ青な顔が私を見つめる。無言で、ただ、じっと。第一王子は、もう分かっているはずだ。彼は言い訳にしていたのだ。自分が一番優秀だと信じたかったのか、他に理由があるのかは分からないけれど、私より評価が劣る言い訳を、リアにしたのだ。つまり、彼は私を………
「男女としての好きでは、無いかもしれない。」
「かもしれない、なんですか?以前好きだった筈の方へと、想いが似ていますか?」
「違うっ、あ、れは…特別なんだっ」
ほほう?あれは特別?ふーん?
「では、もう一度。お答え下さい。殿下は私が好きですか?」
最早真っ白な顔で第一王子は告げた。
「私が好きなのは、君ではない。」
いっっっよぉおおおおしっ!キタコレ!!!!!
沈痛な面持ちで、天を見上げる馬鹿王子。
堪らず茂みから飛び出すシャルル様。
シャルル様を止めようと、飛び出すコンラート殿下。
鋭く、しゃがみ込むように右腕を引く私。
一瞬一瞬が、ゆっくりと流れていく。
馬鹿王子の視線が、私に戻ったその瞬間。
「レオンハルト様あぁあっ!!!!!!」
シャルル様の叫び声と共に、私の拳が馬鹿王子の顎へヒットした。弧を描いて吹っ飛ぶ金髪は、夕日に煌めき、たいそう綺麗なものだった。実に清々しい気分である。
「レオンハルト様っ?!レオンハルト様っ!!!目をお開けになって!」
私の想像では、駆け寄るシャルル様の顔は悲しみに歪んでいた。が、事実とは思いも寄らぬものである。
「どういうことですか?!リアが好きではないですって?!!!リアがどれだけ嫌がっていたとお思いですか?!どれだけ迷惑を掛けていた分かりますかっ?!わたくしは、何のために婚約破棄されたと言うのですか!!どういうおつもりですか!レオンハルト様っ!!!」
もうね、めっちゃ怒ってらっしゃる。顔を真っ赤にして怒ってらっしゃる。
「レっオっンっハっルっト、様あぁあっ!!」
首、締まってるんじゃないかな。それ。通常、倒れている人の襟首を掴んで揺すってはいけない。以外と苦しい。ただし第一王子は除く。
「落ち着け!シャル!!落ち着いて!!!兄上もひっくり返ってないで!起きて下さいっ!」
「こ…コンラー…助けっ…!!!」
私の拳で飛んだ分の意識は戻ったものの、シャルル様の御手で再び意識を手放しかけている第一王子。そのまま死出の旅路へ旅だってしまえ。
「シャル!頼むから!!一回離してやって!落ち着いてっ!!!」
侯爵令嬢を羽交い締めにする第二王子の図。斬新だなぁ。
「リア!見てないで手伝え!!」
「えー。馬鹿は痛い目にあえば良いと思ってるので、止めたくないです。」
「リアっ!頼むからっ!」
必死の形相のコンラート殿下。男とはいえ、まだ子供。か弱い侯爵令嬢とはいえ5歳も年上が、本気かつ全力で抗うのを止めるのは難しい。ちぇ。仕方ないなあ。
気は進まないものの、投げやり気味にシャルル様へ声をかける。
「シャルル様?とりあえず、シャルル様の問いに答えさせましょう?そのままだと喋ることが難しいみたいですよ?」




