見つからなきゃいいんです。
コンラート殿下が仰るには、第一王子がシャルル様へ取っていた態度と、私への態度が余りにも違うのが不自然ということだった。
以前の第一王子は、とにかくシャルル様を喜ばせたい様子で、毎日のように会うくせに手紙や贈り物を送りまくっていたと。しょっちゅう送るくせに、その度、喜んでくれたかどうか、反応があるまでそわそわしていて、一度など、落ち着きが無さすぎる!と陛下直々にお説教があった程だったと。
で、今は?と考えると、違いは顕著だ。けれど、婚約破棄まで宣言して、好きでも無い相手に言い寄る目的は?シャルル様を傷つけてまでリアに近づくことに、何の利益がある?
私達は、あーでもない、こーでもない、と三日ほど考え込んだ。講義と課題の合間を縫って三日間も。
が、そもそも分かる筈なんて無いのである。
首席入学と飛び級首席入学に加え、シャルル様の頭だって悪くは無いのだが、分かる筈なんて無かった。私達は第一王子ではないのだから。馬鹿が考える事なんて分かる筈が無い。
誰も気付かない辺り、三人とも些か残念ではある。しかし、私達は頭の良い“残念”なのである。三日間も、講義や課題をこなしながら、悩む余裕があったのだから。紙一重で天才寄りなのだ。冷静になれば、どうかしているとしか思えない自負の元、今後の行動について、素晴らしい提案をしてみる。
「もう、本人に訊きましょう。時間の無駄です。」
シンプルかつベストな提案だ。
「そんなの訊いてどうする気だよ。」
「好きでも無いのに纏わり付いていたとしたら殴ります。それから迷惑料を取ります。」
「リア?落ち着いて?そうじゃない場合もあるでしょう?」
「そうじゃない場合も迷惑なので迷惑料を取ります。その上で腹立たしいので殴ります。」
「どっちにしても殴るんじゃん!」
「どっちにしても迷惑なんですもん!」
「お前さ、割と普通に暴言吐くし、頭突きしたとか言うけど、誰かに見咎められたら確実に捕まるよ?!分かってる??」
あら。心配してくださってたんだ?なっさけない顔して、まだお兄ちゃんの肩持つの?とか思ってごめんねと、胸の中で謝る。
「大丈夫ですよぉ」
パタパタと手振って見せると、射貫く様な視線で睨まれた。やだ、怖い。
「この脳天気!」
「見つからなきゃいいんです。仮に見つかったとしても、庇ってくれるでしょう?お二人は。」
あきれ果てた顔で私を見てから、お二人揃って吹き出す。変なこと言った?
「本当に脳天気だなぁ…」
「こうまで言われてしまっては、何としても守らざるを得ませんね」
そんなに心配し無くてもいいのに。見つからなきゃいいんだから。ね?




