疑問。
「お前、僕に対して本当に当たりが強いよね…」
「心配してあげたんじゃないですか。酷いなぁ。こんなのが当たりが強いなんて、庶民だったら死んでますね。子供のうちから免役付けた方が良いですよ?」
「僕はもう10歳だっ。子供じゃないっ。」
「それは失礼。働いてもいない未成年や独り立ち出来ていない人間を、庶民の間では子供と見なしますもので。」
ふふんと鼻で笑うと、歯がみして悔しがる。コンラート殿下、そういう所も子供です。年相応で微笑ましいですが。
「王子様でないなら、リアはどんな方がお好み?」
「え。そうですね…私だって素敵な殿方との恋に憧れが無いわけではありませんが…物語と現実は全くの別物として楽しんでいるので考えたことが…」
「あら。現実、レオンハルト様に好かれてるじゃない」
ちょっと拗ねた口調だけれど、目は笑っている。こんな冗談言える位には元気が出たんだ。よかった。
「レオンハルト殿下のは、なんか違うんですよー。どうにも、幻滅とか迷惑とか、そんな印象しかないです。」
「女の子は兄上みたいなのが好きだと思ってたけど…」
「観賞用としてなら、あのお綺麗な顔やスタイルは良いかもしれませんね。」
「観賞用って!すごい言われようだな…」
そんなびっくりだ!みたいな顔をする辺り、世界が違うと感じざるをえない。貴族の令嬢方は美人さんが多いから、観賞用なんて考えることもないんだろうなぁ。
「そんなもんですよ。考えてみてください。以前シャルル様にはお伝えしましたけれど、本物の王子様、しかも次期国王陛下と結ばれる…なんて貴族でもない娘には苦労が多すぎます。愛さえあれば!とか小説の中だけです。むしろ私には愛すら無いし。愛が無いのであれば、信頼の寄せられる、稼げる男がいいです。私は。」
我ながら、良く言えば実に無駄のない、悪く言えば情緒のない条件だ。「好きになった方が好み」位嘯ければ可愛げが出るのだろうか?
「お前酷いなぁ…今更だけど」
「今更ですね。どれだけ黒歴史をご存じでも、馬鹿王子でも、好きだと言えるシャルル様は、実に寛大かつ希少な女性だと思いますよ。」
ちょっとした冗談として私が含めた毒に気付く様子もなく、シャルル様はポッと頬を赤らめてもじもじと照れてらっしゃる。こういうタイプが、実は一番強いんだよね。素直は強い。
「シャルル様?そんなに殿下がお好きですか?」
どこがいいんだ。あんな馬鹿。
「ええ。どうかと思うんところも最近はありますが…それでも、根底にあるのは、わたくしの存じ上げているあの方だと思うので…支えて差し上げたいの…先程も、あの様に申しましたけれど、わたくしには、全部大切な思い出なのですよ?お手紙はラブレターでしたし、詩だって愛の詩。センスの悪さも、全て完璧より人間味があって好ましく思っていました。」
言ってることはダメ男と別れられない女の言い分なのに、恥じらう愛らしさは天使級とか、ある意味シャルル様も残念だ。
「兄上…そうだよな…」
コンラート殿下が考え込む様に呟いて、私とシャルル様を見比べる。
「何か?」
「僕の知ってる兄上は、シャルを好きだったと思うんだ。直接訊いた事は無いけど、多分、好きだった。」
コンラート殿下の物言いに、シャルル様が痛そうな顔をした。過去形かつ、客観的な意見なんて、恋に悩む乙女は求めていないよっ!
「リア、兄上から手紙もらったことある?」
「ありません」
「詩は?」
「それもありません。」
「プレゼントは?」
「無いですって。」
あ。シャルル様がにやけている。
自分だけ、気遣って貰えていたと感じるのって嬉しいよね。相手が愛する人ならば。
私がやられたら…嫌がらせとしか思えない。
私の返答と嫌そうな顔を見て、コンラート殿下は眉間へしわを寄せて更に難しい顔を作ると、疑問を口にした。
「兄上は…本当にリアを好いてらっしゃるのかな?」
0時更新大幅に無理でした!




