乙女の憧れ。
「全く!何を考えてらっしゃるのかしら!!腹立たしい!」
私に文句を言いに来た時以上の怒りっぷりを見せるシャルル様。怒髪、天をつくとは正にこの事だと思える程の勢いだ。
「何ですの?あれは!弟を信用なさらないだなんて、どうかしてらっしゃるわ!!だいたい、悪し様に仰るけれど、ご自分はどうなの?!人の話に耳を傾けないなんて、それこそ王子失格ではありませんか!」
ダンッ!と効果音を付けたくなる勢いで地面を踏むシャルル様に、コンラート殿下が引きつった表情で、静かに私の隣へと逃げてくる。実際は、タシン。と微かに聞こえる程度だけど、立ち上る怒気が見えそうな様子なのでツッコめない。
「…あんなシャル、初めて見た…怖っ」
だよね。私も怖い。
「リアのことだって!あんなに愛おしいと仰っておいて、ちっともご存じない様子でしたわ!お友達になったばかりのわたくしにだって分かるのにっ。あの程度で愛する女性の隣に立てると本気で思っていらっしゃるのかしら?!」
何だか怒りのベクトルが不思議なのは気のせい?
「でも…言い過ぎてしまったかしら。昔のことまで言い立てて…少し卑怯だったかもしれないわ…」
おや。しばらく怒っているだろうなぁと思ってたけど、冷静さを取り戻したご様子。さすがシャルル様。コンラート殿下もあからさまにほっとしている。
「シャルル様は悪くないです。気にしない方が良いですよ」
「そうかしら…」
「そうです。悪いのはレオンハルト殿下ですよ!」
「まぁ、確かに。兄上ちょっと酷かったよね。」
賛同してくれるコンラート殿下。本当に激変したなぁ、このコの私に対する態度。ちょっと嬉しい。
「レオンハルト殿下は、どうしてああも残念ですかね?シャルル様を泣かせてばかり。」
「残念…」
「…その通りかもしれないけど、もうちょっと何か無いかな?一応僕の兄上なんだけど…」
「残念なものは残念なんですっ!これでも遠慮してるんですよ?!」
ふんす!と鼻息も荒く断言する。
実は、私もかつて、第一王子レオンハルト殿下に少なからず幻想を抱いていた。そのお綺麗な外見が、恋愛小説の王子様達と似通っていて、きっと、中身も素敵な方なのだろうと、安易な妄想を持っていた。今は、そんなわけ無いだろと、当時の自分をぶん殴ってやりたい気持ちでいっぱいだけど。
「王子サマって、乙女の憧れる生き物なんですよ?素敵な殿方の代名詞なんですよ!その本家本元本物の王子サマがアレじゃあ…世の乙女はがっかりです。」
「ここに来る前は、ああでは無かったのですが…そう言われても仕方が無いかもしれません…」
しょんぼりなシャルル様を見ていて、思い出す。小説の王子に似ているって、言ってたもんね。今は、ヒロインに言い寄って王子に蹴散らされる物語の三流脇役そっくりだ。
「前がどうであれ、シャルル様を泣かせてる時点でアウトです。王子が姫を泣かせるとか、ありえませんよ!!敵認定ですよ!」
「リアは…いつか自分にも白馬の王子様が!みたいな希望、ないのか?」
小首をかしげ、とても不思議そうに問うコンラート殿下。むしろそれが不思議な私。
「そんなの待ってるように見えますか?目は大丈夫ですか?頭に異常はありませんか?」
行間を変えてみました。
少しは読みやすく…なってると良いなぁ。




