ドS教官再び
「……は?なんでドS教官……!!」
うっかり言葉に出てしまった
もちろんその人がその言葉を聞き逃す訳もなく……
「ぬぁぁあああああ!!!!痛い痛いいたい死ぬからこれ以上は死ぬって!!」
アイアンクローをかけられてメキメキと骨が軋ませる
「ほぅ……お前は私の事をそう思っておったのかそうかそうか」
彼女は徐々に手に力を入れながらそのままリリィ達の方を見る
「君達がリリィとノワールだね 初めましてクリスティーだよろしく」
「……え あはい よろしくお願いします」
「よろしくです……」
2人とも急の出来事にまだ対応できてないみたいだ
私は私でどうにか外そうとするが全く動かないどんだけ力強いんだよこの人!!
私がジタバタしながら聞く
「てか!!まじで何でいるんですか!!てかこれ外してくださいまじで痛いんですって」
「え?あ 悪い 忘れてた」
そう言って何故か更に力を入れだした
ギルド内に私の声にならない叫びが響き渡る
そのせいで一斉に周りの人達がこっちを見るが誰も止めようとしない
そこでようやく制止の声が入った
「やりすぎですよ トップ」
「その言い方やめろって言ってるだろいつも」
聞きなれない女性の声だそれと同時にアイアンクローが解かれる
「はぁ………はぁ……死ぬ……かと思った」
やっと離されて2人に心配そうに介護される
「トップの知り合いですか?」
その女性が聞く
トップ……どうやらクリスティーの事らしいが
「だから……まぁいいや 私の弟子だよこれ」
クリスティーが私の事を指をさすとその女性が驚く
「弟子……ですか え?良く生きてますね」
あなたにはこれが生きてる様に見えるんですね
見てよ?人がいっぱいいる中で私だけぶっ倒れてるんだよ
恥ずかしくて死にそうだよ!!と叫びたいが我慢する
「……と……とりあえずここから移動したい……」
私が移動を懇願すると
「では私の部屋にいきましょうかあそこなら人も来ないので」
そう言って2階の方に案内される
リリィとノワールが肩を担いで一緒に登ろうとするが武器の重みのせいか上手く登れないでいると
「全く……修行サボってるんじゃないだろうな?」
2人から私を奪い肩に雑に担ぎ部屋まで連れていかれる
「師匠のせいだよ!!動けないのは!!」
「見てよ!!周りを変な目で見られてるからねそれに2人もまだ何が何だが理解してないし」
私がギャーギャー喚くが聞く耳持たずと鼻歌しながら歩いていき
私は諦めて大人しく連れていかれる事にした
そして部屋に着くなりソファに降ろされる
「ふぎゃ!?」
つい変な声が出てしまった
私の両隣りにはリリィとノワール目の前にはクリスティー
そして私達にお茶を用意し終わり女性は個人の椅子に座り
皆でお茶を呑み一息ついたところで女性が口を開く
「まずは自己紹介から私はこの街の冒険者ギルドのマスターをしています カンナと申します御三方以後お見知り置きを」
カンナさんがそうやって丁寧に挨拶をしてくれた為次に繋がやすく
そのまま私 リリィノワールの順に自己紹介をすませ
残り1人となった
「自己紹介いる?私の??」
「えぇ 一応知らない人は居ないでしょうけど」
そう言われると彼女は深いため息をつく
「冒険者ギルド本部のクリスティーだ」
クリスティーがそう言うと横から
「トップ〜〜!!それで良いわけないでしょ!!貴女は仮にも冒険者ギルドの頂点なんですから!!」
「えぇい 良いだろう別に知らない人なんて居ないのだから」
そこで私が口を挟む
「え?師匠ってもしかしてかなり偉い感じ?」
皆の顔を見るがリリィとノワールまでにも引かれていた
当の本人は笑っていた
「そういえば言ってなかったねまぁあの時は言う必要すら無かったからね」
そこでようやく2人が「「なるほど」」と同時に口にした
私が何がと聞くとリリィが
「いや 強い理由だよ」
「あぁなるほど……人より強いってだけでそこまでだよ私」
私がそう言うと2人が顔を覆う
「いやいや あれ見て師匠の方あれが化け物だから本当の」
私がクリスティーを指をさす
正直私なんて1度も傷付けれなかったからねこの人
「……あ そういえば ダンジョン踏破したんだって?こっちまで回ってきたよ」
クリスティーが思い出したかのように言う
「え……あぁまぁ……」
踏破したかと言われたらしただけど最後死んだしなぁ……
私が濁した風の答えが気になったのか
「……負けたな?」
その言葉に汗が吹き出る
クリスティーが顔を覗き込み目を合わせようとしてくるが合わせられない
「……負けたんだな」
2人にどうにか助けてくれないか視線を送るが顔を逸らされる
分かる!!怖いよね顔がこの人
しかしここにはカンナさんがいる……が仕方ない
「言います!!言いますから離れて怖いんだって顔が」
「誰の顔が怖いじゃ!!」
デコピンしながら席に着く
「それで?」
「まず……カンナさんにお願いが」
「……え?私??」
そう横でずっと笑ってた貴女です
「これは他言無用でお願いします」
これにカンナさんは頭にはてなマークを浮かべながらも承諾する
そして私は最後に何があったのかを全て話した
死んだ事もう1人の私の事全て
そして全てを聞き終えるとクリスティーが
「何だ あれに負けたのか」
「あれって……人間が勝てる者じゃないでしょ!!」
「いや 勝ったけど」
貴女かー!!あのダンジョン踏破者はいや薄々思ってたけどね反応的に
でもあれに勝てるってどんだけだよこの人
そういえばあいつも相当強かったとか言ってたな
「まぁ……でもどうであれ生きて帰ってきたなら良い事じゃない?ね」
カンナが手を叩きながら言う
確かにそれもそうだリリィもノワールも生きてるそれが何よりだ
「それも良いけどさその中の奴はどうなの?」
クリスティーが私の胸を指さす
「分からない……あれから一切のアクションが無いもん」
「修行してる時夢がどうこう言ってただろ?そいつじゃないのか?」
わからないと首を振る
確かにそれも思ったけど確証が得られないのだから仕方がない
「まぁ……でも君自身は負けたんだそっか……ふ〜ん」
クリスティーが腕を組みながら私を睨みつける
「私があれだけ稽古つけたのに……」
その瞬間即座に本能でその場に正座してしまった
やばい……めちゃくちゃ怒ってる
カンナさんの方をチラッと見ると2人に手招きし
2人がカンナさんの後ろに隠れる
「おかしいなぁできるだけ最強に仕上げたつもりなんだけどなぁ私」
「いや……あのその……ですね」
「しかも聞く感じまだまだ強くなるはずなんだよねそれなのに負けたんだ」
めちゃくちゃドスの効いた声が部屋に響く
それを聞いてたリリィ達も何故か涙目になっていると
「怖いよねわかるわ…………私も怖い」
カンナさんが震えた手で紅茶を降ろし2人と手を繋ぎ
3人でガタガタと震える
「正直私の事を気にするよりまずは自分の事だよね……?」
「はい……ごもっともです」
「ここに居るって事は闘技大会だよね?」
「まだ始まるまで1ヶ月はあるね」
私はその瞬間クリスティーの顔を見てしまった
その笑顔を見てしまい理解した
…………彼女が何を言いたいのかを
「……頑張ろうね」
それを聞いた瞬間絶望し私は叫んだ
「ちくしょぉぉぉぉぉおおお!!!!またかよぉぉぉおおお!!!!!!」
その叫びが地獄の修行の再開の合図であった