誓い
「終わったぁぁあぁぁ………」
そう言って頭から煙あげながらベッドに飛び込むリリィ
「……ごめん 箱詰め宜しく少し休む」
そのまま動かなくなった
まぁこの量となると確かにちょっとね……
部屋の中は辛うじて人が座って作業できるスペースしかなく
廊下には大量の箱詰めされたポーション更に部屋中にも空の箱がたくさんに
出来上がったポーションポーションポーションがずらりと並んでた
「これはちょっと多いよね」
「まぁボヤいてたって仕方ない 明日にはこの街出なきゃ何だから今日中に終わらせないと」
せっせとポーションを箱詰めに入れていく
1つの箱に20本2人が持てる大きさと重さになっちゃうと
これが限界らしい
まぁそんな箱が合計50箱近くあるんだけどね
誰が運ぶんだろうね嫌な気がするね
そんな事を思いながらまだまだ詰めるどんどん詰めてった結果
昼過ぎにようやく全ての箱詰めが完了した
途中からリリィも復活して効率が上がったから想像より早く終わった
「おつかれ〜2人とも」
「うへ〜もう当分は作りたくない」
「だろうね〜この量だもん」
3人とも床にへたり込む
2日ぶりにまともな床を見た気がする
しかしまったり休憩してる時間はないである
これを今から納品しないといけないからだ
「台車借りてくる待ってて」
2人とも手だけあげて返事すらしない
疲れきって死にかけているから仕方ない
ギルドに急いで行く
「ごめんナタリーさん 台車って借りれる?」
「お疲れ様です 台車です?大きさはどの位が良いです?」
「出来ればそこそこ大きめで」
「なら裏手の解体場から借りると良いです」
「分かった ありがとう〜ナタリーさん」
手を振りその場を後にして裏手の解体場に向かう
「すいませ〜ん 台車って借りれます〜?」
「おぅどうした 嬢ちゃん」
「あの台車貸して下さい」
そう言って指を指す
「あれか?良いが何に使うんだ?」
「ちょっと大量に作りすぎたポーションを納品するためです」
「あの大きさの台車がいる程なのか?」
「ですね〜バカみたいにあるので」
「おぅ なら今暇だから俺も手伝ってやるよ」
なんとここで予想もしない助け舟がきた
なら台車を2台借り宿屋まで持っていく事にする
2階に上がって扉の前にある荷物を見て唖然とする解体場の人
「お前さんら まじかこれ何箱あんだよ」
「知ってる限り50ですね〜戻ったよ〜2人とも」
そのまま扉を開け2人に声を掛けると
寝落ちしかけてたというか1人は落ちてた
「おかえり……」
「寝てた……あぶないあぶない」
「そちらは?」
「お手伝いの人ほら2人とも運び出すよ〜」
台車に均等に積み込む
ポーションだけでも50箱あるのに
更に魔除の香箱が10箱と閃光玉も10箱計70箱もあった
上から布を被せロープで動かない様に固定してギルドまで引っ張っていく
「おっもいな おい!!」
ムキムキの解体場の人でも重いらしい
「何でこんなに納品するんだギルド内にまだ在庫あるだろ」
「知りませんよ 頼まれたのでこっちは」
「口より足動かしてくださいよ」
「わーってるよ!!」
いそいそと引っ張ること数十分ようやくギルド前までたどり着いた
「やーっと着いた それじゃ台車は用が済んだら元の所に戻しとけよ」
そう言って解体場に消えてった
お礼だけしてギルド内に入る
「ナタリーさん納品で〜す」
「お疲れ様です 納品です?なるほど 台車はその為ですか」
「では確認作業に移りますので少々お待ちくださいです」
ナタリーさんとあと数人の職員が外に出ていって確認作業を始めた
一瞬驚いた様な声が聞こえたが気にしない
とりあえず見張りの2人に任せるとふと
……ギルマスにも手伝わせよ
そう思いギルマスの部屋に行く
「お疲れ 納品しにきたけど手伝わない?数もあるからさ」
「お疲れ様です 意外と持ってくるの早かったですねもう少し後かと思いました」
そう言い一緒に階段を降りていく
「いや〜リリィさんには頭が上がりませんね本当にお金も事前に用意はしてるので確認次第お渡ししますよ」
「ポーション4桁は流石に頼みすぎじゃない?」
「私も最初はそう思ったのですが二つ返事で帰ってきましたよ大丈夫ですかリリィさん?」
「大丈夫ではないかな死にかけてる」
「悪いことをしましたね少し」
そんな会話をしながら荷物の前までやってくる
道行く人たちもなんだろう?と思いながら通り過ぎたりたまに立ち止まったりしてる
そして私達3人は階段の隅で座ってると
「えーと……これも数は合ってると……」
「はい 納品ありがとうございます」
ようやく確認作業が終わったようだ
「こちら今回の納品分の料金です 確認しますか?」
「あってるんでしょ?」
「えぇ それはもちろん」
ならばギルマスを信じることにして確認はしない
だって袋いっぱいにあるんだもんヤダヤダ
「それでは確かにお渡ししました こちら納品の証明書になります」
紙を渡されるそこには今回納品した物の数とそれらの金額がびっしり書かれてあった
ギルマスは紙をこちらに渡すとすぐさま中に入っていき暇そうな職員を呼び出し荷物を中にせっせと運び込んでいく
「あ この台車ってうちのですよね?」
そうだと頷く
「なら これはうちで戻しときますので帰っても構いませんよ」
そう言うのであればお言葉に甘えて帰路に着く
その最中色んな屋台からの匂いで3人のお腹が鳴り響く
そういえば朝から何も食ってないその事を思い出す
「何か食わない?せっかくの最後の滞在だし屋台でさ」
とりあえず提案する
もしかしたら寝たいかもしれないそう思ったけど
睡眠より飯だそうだ
みんなで屋台を回る
串ものから麺類等焼き物が沢山並んでいた
皆でどれがいいか選び回って両手が塞がるぐらいの量を購入
適当にベンチに座り
買ったものを口に入れる
「うっま!!そういえば屋台のって初めてじゃない?」
「そういえばそうよね いつもちゃんとした店とか酒場だね」
「こんなに美味いならもっと食っとけば良かったね」
3人仲良く食べてると声を掛けられる
それは現状とても嫌いな人物からだ
「おや 皆さん お揃いで」
それは領主だった
「どうした?貴族がこんな所に」
私が嫌味ったらしく言うと隣から睨まれる
リーナからだ
それをまぁまぁとなだめる領主
「いえ これから自分の家に帰ろうかと思いましてね最後にギルドマスターに挨拶をと思いまして」
確かに遠くにはギルド方面に行く馬車が待っていた
どうやらたまたま目に入ったらしく降りてきたらしい
「まぁついでみたいなものですよ」
「それに皆さんには期待もしてますからね色々と」
何を期待されようが困るんだがな……
「あ この串もの貰っても?」
急にリリィが持ってた物と同じ物を欲しがる
リリィが慌てて新しいのを手渡す
「仮にも貴族では?庶民の食べ物だぜ?」
「良いんですよ たまにはそれに昔は良く親に黙って食いに来たもんですよ」
そう笑いながら口に頬張る
「やはり 昔と変わらず美味い いい事です」
「……時間は良いのかい?」
そう言われ懐中時計を見る
「おっと流石に長居がすぎましたそれは何時かまたお会いしましょう」
そう言って馬車の方に歩いていくが途中でリーナが振り向き
こちらに駆け寄ると急に抱きついてくる
流石に慌てると耳元で
「気をつけて……」
そう言って襟に何かを隠して戻っていき
領主に頭を下げ場所に乗りそのままどこかに消えてった
そして2人はというとそれに驚いて固まってたと思いきや
急に抱きついてきた
可愛いかな?と思いながら頭を撫で落ち着いた頃に
襟にある紙を取り開くとこう書かれてた
めんどくさいことは省く
本来なら領主様を裏切ることは出来ない
だが君も命の恩人であるから今回は特別だ
領主様の方から『禁忌』の件で確実に国王の耳に入る
君は貴族に自分たちの情報を行くのは嫌うだろうが『禁忌』に関してはどうしようもない
君は限定的であったとはいえ仮にもあの『禁忌』と普通に喋ったのだから
それだけでも十分の力は証明されるし
君の力を証明しようとする
領主様と違い国王や他の貴族は簡単に引かない
下手をすると暗殺者まで来る羽目になるだろう
2人を守りたいなら少しは頭を使う事をオススメする
そんな事が書かれてた
2人も読んでたか少し無言になると裏腹に
「どうしよかな〜」
呑気に言う
「どうしよかなってだってこれ……」
リリィが心配そうにこちらを見る
正直言うとやりようはいくらでもある
まずは国を出ることこれが多分手っ取り早い気がするが
負けた気がするのでパス
あとは強行突破する貴族がいた場合その首を国王に献上する
これも時間がかかりそうなのでパス
最後は国王その者を脅す死ぬ寸前までやればどうにでもなりそうだけど
2人がそれらを許さないだろう
悩んでいると
ノワールが裏面を見て言う
「裏になにか書いてる」
それを読むと
冒険者ギルドの特級位は貴族同等の権限を持ってる
そう書かれてた
特級位って余程の偉業をしないとなれないって言ってた様な……
それはもう伝説の勇者ほどの
まぁ今考えてしかないと思い気持ちを切り替える
「まぁまぁ 今はとりあえずあっちも何かするって決まったわけじゃないんだから」
「今はとりあえず考えないでおこう」
心配そうな顔をしながら抱きつく2人の頭を撫でながら
2人は絶対に守ると誓いを立てるのだった




