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 俺は焦っていた。

 まずい、これは本当にまずい。

 精神年齢二十歳越えのくせに迷子とかマジでやばい。しかも俺の隣にはエリザベスちゃんと不安そうなノアが立っている。

 俺達は今、町にいます。それも、庶民の皆が住む町に。

 理由は簡単。俺が言い出したのだ。せっかくエリザベスちゃんが遊びに来て、ノアも勉強を休んでいる時間なのだから、探検僕の町しようと。いや前世のテレビでやってたらしいのとは関係ない。単に家の近くを探検しようとしただけだ。

 だが好奇心ってのは恐ろしいもんだな。あれなんだ、これなんだですぐに迷子になってしまったよ。しかもいつの間にか行き交う人が皆庶民の服装になっていることから、ここは前世で俺がいたみたいなところだと判断した。

 いやぁ...どうしよう。侍女(エミリではない)も最初はついてこようとしたけど俺が道すがらで巧妙にまいちゃったし...やっちまったわ...。

 エリザベスちゃんはいつも通りの無表情だけど、ノアは今にも泣きそうだ。男だろしっかりしろよ。あ、ごめんお前まだ六歳だったわ。

「ど、どうするの、マリアンナ姉さん」

「落ち着きなさいな、大丈夫よ、道を聞けばいいだけの話よ(だだだだ大丈夫、大丈夫だ!)」

「...でも、わたしたちのこと、ねらう人もいそう」

 うん、エリザベスちゃん、敬語を使わないでいてくれるのは嬉しいけど(俺が強要しました。エリザベスちゃんと出会って早一週間、打ち解けてきているのが分かって超嬉しい)、不安になることを言うのは止めようぜ。ノアが叫びそうだ。

「落ち着きましょう、こんな人通りの多い場所で、そんな馬鹿なことをする人なんて...」

「あの、君達」

 ぎゃああああああああああああ!!?

 おそるおそる振り返ると、そこには黒髪の少年と、

「ケ...ケイン...様」

 パーティーで出会ったすけこまし野郎、ケインがいたのだった。



「こんなところに、貴族の人たちがいるなんて...」

 そう驚いているのは、ケインと共にいた、黒髪に赤い目の少年だ。こいつも俺と同い年くらいで、美少年。くそっ、何でこんな大量発生してんだよイケメン共が...!

「あ、ぼくはマーク。平民なんだけど、今はお城で生活しています」

 ...ん?あ、こいつが、第二王子エイデンの右腕と呼ばれてる奴か。パーティーでケインが言ってた。

 そうだこいつ魔法使いじゃねえか!すげぇ!魔法見せてくんねえかな!

「それで、マリアンナ嬢と弟君おとうとぎみ?そちらはエリザベス・フリアーテ嬢ですよね。何故貴女達がここにいるのですか?」

 ...何かケインがちょっと冷たいんだけど。何で?

「...道に迷ってしまったのです(何か文句あっか)」

「...はあ」

 ケインが眉間に皺を寄せる。どうしたお前何でそんな変顔してんの。イケメンめ、もげろ。

「貴方こそ、何故ここにいらっしゃるの?(お前だって貴族だよな?)」

「私はマークに付き合っただけです」

「そうなんです、ぼくに無理につきあってもらっただけで...」

 慌てたようにマークが付け加えた。

「迷ったのでしたら、私が案内いたしましょう。マーク、お前はどうする?」

「あ、ぼくはししょうがもどって来てからししょうといっしょに帰るから...」

「分かった。では、参りましょうか?」

 ケインがさっさと歩き始めたので、俺はマークに一礼した後ケインについて行った。

 エリザベスちゃんは無表情だが、ノアはきらきらした眼差しでケインを見ている。おい、まさか憧れてんのか。止めとけってこいつすけこましだぞ。

 ていうかケイン、お前さっきから何ぶつぶつ言ってんだよ。怖いわ。

 ちょっと聞き耳を立ててやろうか。うわこいつの声小さい。負けてたまるか!

「全く...迷子とか...どこの初めてのお使いだよ...てかほんと悪役令嬢じゃないじゃん...」

 ...えっ?

 初めての...お使い...?

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