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 辺りを見回す。

 男子寮の、私の部屋のベッドに、私は寝ていた。いるのは、マリュン、エイデンとマーク、エリザベス、白髪赤目...アルビノのイケメン。フィリップかな?...あれ、コーディがいない。

 マリュンとフィリップを除いて、それぞれがほっとしたような顔をしている。

「...一体何が起きたんだ?」

 体を起こしながら尋ねる。

 もしかして、皆でフィリップをシメたのかな?

「ケイチー、貴方五日も眠っていましたのよ(合計百...何時間だな!)」

 何で合計を求めるんだろ。

「ケイン、無事に目覚めて良かった...」

 エイデンが何とも情けない表情をしている。ごめん、折角忠告してくれたのに、心配かけたね。

「私が説明しますわね。つまり、かくかくしかじかシキジカちゃんですの(ケイチーが寝た後、フィリップの野郎がベティちゃんにも魔法かけやがってな。胸騒ぎがした俺がフィリップの部屋を訪れたら時既に遅く、床には横たわるベティちゃんの姿...思わずフィリップにつめよって指を折るぞと脅したんだよ。んで、フィリップは俺の圧倒的超パワーにおののき、ベティちゃんの魔法を解いた。そして俺はフィリップをエイデンの元へ連行し、まずはケイチーの魔法を解かせようってなったんだ。ちなみに騒ぎを聞き付けたジェイダちゃんがフィリップの真の姿を見てしまったんだが、フィリップの都合のいい魔法でジェイダちゃんのフィリップについての記憶を消したんだ。今頃ジェイダちゃんは自分の部屋で寝てる筈だ)」

「な、成程...」

 説明ありがとう、マリュン。ていうかフィリップって王子なのに、普通指折るなんて発想出てくるかな...。

「かくかくしかじかで分かるのかい?やっぱりケインとマリアンナさんって凄いね...」

 マークが感心してる。まあ、あながち間違ってないか。

 コーディがいないのは、フィリップを見せる訳にはいかなかったからなんだね。だとしたら今はパシりにでもされてるのかな。

「...それでは、改めて、兄上の話を聞くことにしよう」

 おお、エイデンが今までで一番真面目だ。

「...話すことなど」

 サッ

 ビクッ

 何、マリュンが手を挙げたらフィリップが怯えたんだけど。指折られかけたのがトラウマになってるのかな。

「...私はただ、エイデン、お前が...羨ましかっただけだ」

 ぽつりぽつりと、フィリップは話し始めた。

「お前は、小さい頃はよく私の元へ足を運んだ。私はそれを...悪くは思っていなかった。だが、そこのケインと出会い、更にエリザベスと出会ってから、お前は...私の元へは、あまり来なくなった」

「......」

 エイデンが何か言おうとして、止めた。

「私は、お前を憎んだ。お前を外に連れ出したケインと、お前の想いび」

「わーわーわーー!!」

「...お前が気にいったエリザベス、もな」

 エイデンの誤魔化し方が下手過ぎるんだけど。

「...だから嫌がらせをしようと思い立った。それだけだ」

 フィリップは大きく息を吐いた。

「ケインを眠らせ、エリザベスにもそうしようとしたのは、俺への嫌がらせ、ですか?」

「それと、私自身のケイン、エリザベスへの憎しみ故だ。アリスとかいう平民を操ったりもしたが...無駄だったな」

「えっまさか」

 ん?マリュンどしたの?

「...ああ、お前は気付いてなかったか。魔法使いイルは私だ」

「うええ...」

 何て声出すんだマリュン。魔法使いイルって誰よ。後で聞こ。

「...エイデン」

「はい、兄上」

「お前は私をどうでもいい存在だと思っているか?」

「いえ、そんなことはないです。確かに、俺は兄上が分からなくなったりしましたが...兄上は、俺の兄なので。どうでもいいなどとは、思いません。これまでも、これからも」

「...そうか」

 あれ、フィリップ何だか...肩の荷が下りたような顔してる。

「...エイデン」

「はい、兄上」

「最後に...一つだけ聞かせろ」


「マリアンナは男なのか?」


 ...マリュン、あんた指折る以外に何かやらかしたの。




 その後、フィリップはお城に戻っていった。外面のフィリッパとしては、かなり短い留学だったということになる。

 フィリップは、私欲の為に貴重な魔法の力を使い、更に、能力の高い平民の生徒(アリス)だけでなく侯爵の息子(私)、伯爵の娘(エリザベス)にも危ない魔法をかけたということで、罰せられることになった。

 それなりに遠くの地で、その魔法を生かせる仕事をすることになったらしい。

 フィリップは、それを了承した。

 けれど、エイデンの嘆願のおかげか、一年に数度は、この地に戻って休息を与えられることになった。

 フィリップは、そんなエイデンに苦笑しつつ、礼を言ったそうだ。何だか、フィリップは憑き物が落ちたように、清々しい顔をするようになった。

 マリュンが男とか言われてちょっとびっくりしたけど、「そんな訳ないじゃないですかやだー」と、マリュンが誤魔化していた。そしてフィリップも「そ、そうだよな」と納得していた。良かった。



 私は、五日も眠っていたことを皆に心配されていた。お見舞いに来てくれた皆に挨拶していってるうちに、思ったことがある。

 もう前世には戻れない。だから、私はこの世界で、皆と共に生きていく。

 改めて、私は決意した。

次回、最終回。

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