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コメントをいただきました!ブックマークが四百件を越えていました!叫びました。もっと励みたいと思います。ありがとうございました!

 すけこまし野郎改めケインは、エイデンがこっちに来るのに視線を向け、にっこりと笑った。うわ何このイケメン、まだ七歳くらいのくせに!

「ケイン、マリアンナじょうはあぶない人ではなかったのか?」

 は?

 ケインの笑顔が見事に引きつった。

 え、何?危ない人?俺が?何で?何言ってんの?

「...殿下?」

「ん?あっ、これないしょだったな!わすれてた!」

 エイデンは非常に元気よく言った。えぇ...何だよそれ...。

 ケインの顔は相変わらず引きつっている。

「...危ない人とは、 どういうことでしょうか?(あ゛あこらぁ、言い訳あんのかくらぁ)」

「...申し訳ありません、先程申したように、私は少々勘違いをしておりまして...」

 いやいやいや、おかしいだろ。

 勘違いで俺王子に危ない人認定されてるとかたまったもんじゃねぇぞ。どうしてくれる。

「それでは、誤解を解いていただいても?(拒否権はねぇぞ)」

「はい、勿論」

 ケインは強張った表情で頷くと、エイデンに何やら説明し始めた。

 マジかよ...俺王子に危ない人だと思われてたんだ...。確かに木登りはしてたけど...いいじゃねぇかよそんくらい...。

 そもそも俺の噂なんてほとんど流れてないだろ。ルーシム公爵家の娘と言えばオリヴィア姉さんだし。第一王子の婚約者だし。

 ケインは何で俺を警戒してたんだよ...。というか精神が俺じゃなかったら場合によってはケイン俺のパパに潰されるぞ。ケインは侯爵家でうちは公爵家だから身分的にはケイン下になるらしいし。俺はそんなことしないけどさ。

「そうか!マリアンナじょうはいい人だったのだな!」

 んん?

 いや待て王子、確かに俺は危ない人ではないけどそんな簡単に俺を信じていいの?危ない人じゃなかったらお前の中では皆いい人になんのか?ほらケインがまた慌てて説明開始してんじゃねえか。

 もうっ失礼しちゃう!俺は早く美味しいものを食べたいんだよ!挨拶ばっかでまだ食べてないんだよ!

「そうか!ではこれからもよろしくな、マリアンナじょう!」

 おう、終わったか。ケインの顔色悪いけど大丈夫ですか。

「はい、姉共々、よろしくお願いしますわ」

 優雅に一礼。どうじゃ!俺のお嬢様っぷりは!

 どや顔をして俺は去っていくエイデンとケインを見送った。

 よし、エイデンは馬鹿、ケインはすけこましで俺を何故か警戒してる奴、と覚えておこう。


 俺は第一王子と会話を終えたらしいノアの元へ向かい、ノアを連れ回して美味しいものを食べることに専念した。

 時折他の貴族のお子様達に挨拶をすることも忘れはしなかった。偉いだろ。

 一通りのものを食べ終わった俺はとても満足だった。家で出てくる食事も美味しいけど量が少ないからなー。俺お嬢様だからセーブしないといけないしなー。パーティーでは母親の目を掻い潜れるからなー。他の貴族にずっと見られてたらちょっとやばいけど。

 ノアは途中で俺の食欲に恐れをなし、オリヴィア姉さんのところへ逃げていった。何だよ、別にそんなに食べてないだろ。色んな種類を我慢してちょっとずつ食べていったんだぞ俺は。

 ノアにぷんすかしながらも俺はるんるん気分でオリヴィア姉さんとノアの元へ向かっていた。

 いやぁそれにしても天井のシャンデリアすげぇな。キラッキラしてるぞ。目が痛いわ。あれ落ちたら大変なことになるな。

 上を見ながら歩いていたのが悪かった。

 俺は、料理の置かれたテーブルの近くにひっそりと佇んでいた子どもに、ぶつかってしまった。

「あ...」

 ばっちり目が合う。

 え...何だこいつかわいっ!?

 ふわっふわな、ワインレッド?つーのか?そんな感じの赤髪に、紫色の目のそいつは、オリヴィア姉さんには及ばないとしても、可愛らしい顔立ちの女の子だった。これまた俺と同い年っぽいぞ。

 あ...れ...これが、恋...?

 まあ冗談はさておき。

「ごめんなさい、ぶつかってしまいましたわね」

「あ...や、だいじょうぶ、です。わたしが、よけられなかったから...」

 何回か瞬きをする。睫毛長ぇ。人形みてぇ。

 俺は他の公爵家、侯爵家のお子様達には大体挨拶したが、こいつはどこの子どもなのかね。

「名前を教えてくださる?」

「あ、えっと...エリザベス。家族からは、ベティって、よばれてます...」

 エリザベスちゃんか。くそ可愛いな。ただずっと無表情なんだけど。怒ってるのか?

「どこのお家なの?(名字を!名字を...!)」

「え...あ、エリザベス・フリアーテです...はくしゃく家です...」

 あ、ごめん知らねぇわ。

 聞いたことあるところの人かなーと思ったけど知りませんでしたごめんなさい。でも伯爵家のエリザベス・フリアーテだな。覚えたぞ。

「そう、初めましてフリアーテさん。私はマリアンナ・ルーシム。公爵家の者ですわ(お、覚えてくれると、う、嬉しいなっ)」

「あ...知ってます」

 知ってんのかーい!

 マジか、ええ、俺知られてたわ!

 あれか?オリヴィア姉さんの妹としてか?オリヴィア姉さんのついでに覚えられたのかな?

「リチャード様のこんやくしゃの、オリヴィア様の妹さんですよね...」

 あ、やっぱりー?

 そうだよな!そりゃオリヴィア姉さんのついでだよな知ってた!

 ちなみにリチャードとは第一王子の名前だ。

「ええ、そうですわ。本当にごめんなさいね、私としたことが、余所見をしてぶつかってしまうなんて...(マジサーセンっした)」

「いや、ほんとに...だいじょうぶなので...そんなにあやまらなくても...おこるようなことじゃないので...」

 そう言いつつも無表情なのちょっと怖いと思います。

 まあ表情変わらなくても可愛いがな!それにぶつかったの許してくれたし。

 可愛い可愛い言ってるけど俺はロリコンじゃねえぞ。いやマジで。

 その日、俺はエリザベスちゃんに恋をしたのだ。多分。いやしてないか、してないな、うん。恋はしてないけど、エリザベスに出会い、好感を抱いたのだった。

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