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怖い話大会。作中の怖い話は全て作者の作り話です。また、怖い話が入ったせいで通常より長いです。
「第一回、怖い話大会!!わーぱちぱちぱちー」
「ケイン...最近の暑さのせいで...」
「止めろマークそんな目で私を見るな」
酷い、せっかく皆を涼しくしようと思ってるのに。
黄昏時の教室。いるのは私、マリュン、エリザベス、エイデンとマーク、そしてアリスとジェイダ。
アリスを誘ったのは、「怖い話?夏の風物詩ですね。え?エイデン様とマーク様とケインさんが並んでやる?是非見学させてください!!」と懇願されたから。ジェイダは嫌がったらしいけど、結局アリスに押し負けた。
「それで、怖い話とは?私はよく分からんのだが...」
「エイデン、怖い話とは素晴らしいものなんだ」
「そ、そうなのか?」
「ああ、暑いといえば怖い話。怖い話といえば暑い。怖い話は私達を涼しくしてくれる」
「涼しくなるのかい?それはいいね」
「だろう?マーク、お前もすぐに暑くなくなるぞ」
「別の意味で、ですけれどね...」
ぼそっとマリュンが言う。いいじゃん涼しくなるんだから。
「あ、あの、私、あまり怖い話というものが得意ではありませんので、お見苦しいところを見せてしまうかと...」
勇気を出して言ったジェイダに、私は微笑む。
「大丈夫、ジェイダ嬢。それは皆同じだ(逃がさないよー)」
「そっ...そう、ですか...」
「大丈夫ですよ、ジェイダさん。私が隣にいるから」
「うう...ありがとうございます、アリスさん...」
「...ベティ!怖かったら、いつでも私に言うのよ?(抱きついても、いいんだぜ...?)」
「うん、ありがとうマリアンナ」
緊張した感じで頷くエリザベス。その様子にエイデンが「うぐぐ...」とうめく。エリザベスに頼られたいんだね。
それじゃあ、
「さて、始めよう」
最初は、私だ。
ある田舎の、暑い夜のことだった。
一人の男性が、酔っぱらいながら、道をふらふらと歩いていた。
男性は飲み会の後で、家に帰る途中だった。
意識も朧気なその男性は、ふと、声を聞く。近くの公園からだ。
こんな夜遅くに、誰かがいるのかと、不思議に思って、男性は公園に入っていった。
公園の中には、誰もいなかった。
ただ、無人のブランコが、揺れていた。
キイキイと音を立てて、揺れていた。
声は、そこから聞こえていた。誰もいないのに、楽しげな、小さな女の子の声が、ずっとしていた。
男性はぞっとした。酔いは冷めてしまった。
慌てて、男性は公園から出ようとした。だがおかしなことに、いくら走っても公園の外に出られない。
走り疲れて止まった男性の背中を、誰かが叩いた。
男性は振り向く。
そこには、誰もいない。ただ、笑い声が、男性のすぐ隣で、ずうっとしていた。
それから、男性の姿を見た者はいない。
「......」
ジェイダがマジで頭を抱えている。アリスはそんな彼女をなだめている。そんなに怖かったかなあ?
エイデンは口をぽかんと開け、マークは青ざめてる。
エリザベスは無表情ながら、隣のマリュンの服の裾を握っていて、マリュンはとても幸せそうだ。
「ベティ、大丈夫?」
「...うん」
「心配しないで、これは作り話よ。だって、それから男の姿を見た人がいないのに、どうして男が体験したことが分かるの?」
「...あ」
こらマリュン、そういうこと言わないで。
「そういえば、そうだね...」
「なっ、ケイン、今のは作り話だったのか!?」
「当たり前だろう」
マークとエイデンは、なーんだ、という顔をした。
だが、まだ怖い話大会は始まったばかりだ。
「では、次は私がしましょうか」
マリュンが名乗りを上げる。
エリザベスが不安そうにマリュンの裾を握り締めた。
とある学校で、クラスの皆から苛められている女の子がいました。彼女は、酷い苛めに耐えられず、ついに学校の屋上から飛び降り、命を絶ってしまいました。
さて、女の子のクラスの人達は一時は罪悪感を抱きましたが、だんだんと、苛められる原因のある女の子の方が悪いと、そう考えるようになりました。
女の子は、可愛い子でした。なので、それに嫉妬した女の子達がその女の子の根も葉もない噂を流し、男の子からも嫌われるようになってしまったのでした。
その後、クラスの皆は、成長して大人になっていきました。
しかし、女の子を苛めた女の子達は、成人して一年ごとに、一人ずつ事故で、亡くなっていってしまったのです。それも、苛められていた女の子の、命日に。
最後に残った女性は、苛められていた女の子に、初めて嫌がらせをした子でした。
女性は震えて、苛めていた女の子のお墓に必死で謝りました。
ですが、苛めていた女の子の命日になっても、家にいた女性は事故にあいませんでした。
安心した女性は、苛めていた女の子を激しく罵りました。
しかし、です。女性が寝ようと思って横になった時、ふと、天井を見ると、
「許さない」
苛めていた女の子が、恐ろしい形相で、天井に張り付いていました。
その翌朝、女性は遺体となって発見されました。
「生々しいな...(ていうかそれ前世っぽい作り話だね)」
マリュンは真顔で話してたけど、それが逆に怖かったらしく、エリザベスはマリュンからちょっと離れてた。マリュンはそれに気付いてショックを受けてるわ。
「...そ、それも作り話だよな?」
「ええ、そうですわ」
「だ、だよな...」
エイデンは震え声だ。マークは作り話ということで平気な顔をしている。あんた強いね。
ジェイダは瀕死になってて、アリスはそんなジェイダを元気づけてる。まあこの後アリスが怖い話するんだけど。アリス、怖い話知ってるって言うから、私が結構強引に「じゃあ話して!」って言ったんだよね。
「じゃあ私が話しますね!」
ジェイダがびくっとアリスから離れた。
友達から聞いた話です。
一人暮らしのその子は、一匹の猫を飼っていました。ある夜、その子が部屋にいると、ドアをひっかく音がしました。
猫が入ってこようとしているのだ、とその子は分かりましたが、ちょうどしていた作業がいいところだったので、少しの間放っていました。
不意に、猫の鳴き声がその子のすぐ隣からしました。
猫は、初めからその部屋の中にいたのです。
その子は、じゃあ今ドアをひっかいているのは誰なのかと、恐怖で震えながら猫を抱えました。
しばらく後、ドアをひっかく音は止みました。
おそるおそるドアの外を見ても、そこには誰もいませんでした。
「終わり?」
「はい、終わりです」
「そうか、ありがとうアリス嬢(あっさりだったね)」
顔色が悪いのはエイデン、エリザベス、ジェイダ。変わらないのはマリュンとマーク、そしてアリス。
...これは一回、夜の学校で肝試しをしてみるのもいいかもしれないね。何とかしてエイデンとエリザベスをペアにすれば吊り橋効果で何やかんやなるかも...。
正直な話、私は早くエイデンとエリザベスがくっつけばいいと思ってる。だってエイデンほんっと一途で見てられないんだもん。それにエイデンとエリザベスの間にマリュンが割って入ることが多いから、エイデンがたまーに愚痴ってきたりするし。エイデンはマリュンが邪魔してきてもほとんど気にしないんだけど、やっぱり好きな子と二人っきりってのは特別だもんね。
「さて、第二回の開催予定だが...」
「もう止めないか?!」
ガラッ
「こら、いつまで...」
「ぬわあっ!」
「きゃああっ!!」
アイザックが入って来たのに合わせて、エイデンとジェイダは叫び、エリザベスは跳ねた。
あー、このエイデンのヘタレっぷりはちょっとあれか、引かれるかな...。仕方ない、肝試しはエイデンがもっと進化してからにしよう。




