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暗めの話があります。苦手な方はご注意ください。

 衝撃の事実。

 エイデンには、双子の兄弟がいた。

「フィリップ様は、ツンデレ属性で、アルビノなんですよ」

 アルビノ...って、何か聞いたことあるけど、何だっけ。

「あー、あれか。白髪赤目の...」

「そうです、ゲームや漫画などではよくありますよね」

 何だ、マリュンは知ってるの。

 んー、そういえば前世の生物の授業の時、余談で先生が言ってたような...?

「でも、そのフィリップって、今学園にいないよね?」

「そうですね、後で学園に編入してきますから。そもそも、フィリップ様がエイデン様と双子っていうのも、後から分かることなんですよ。フィリップ様は、最初はエイデン様と双子っていうことを隠してるんです」

「あれ?ねえ、アリス。フィリップって王子なんだよね?でも、第二王子はエイデンだし、第三王子はフィリップなんて名前じゃないよ?」

「あ、それは...ちょっと、暗い話なんですけど」

 暗い話?何それ怖い。

「この世界では、双子って、あまり良くないと思われているらしいんです。加えて、アルビノもとても珍しい。だから、双子でも王様と似た顔そして金髪碧眼のエイデン様は第二王子に、エイデン様の兄なのにアルビノで生まれたフィリップ様は、その存在を、隠されてしまったんです。家族から、忌まわしいと言われて...お城にずっと閉じ込められて...。双子で生まれたのに、生まれたと国民に知らされたのは、エイデン様ただ一人...そういう、ことなんです。ゲームでフィリップ様にそう話された時は泣きました」

 予想以上に重い話だった。あれ、これケインよりもフィリップの方が人気出るんじゃないの?何でケインなんかが一番人気なの。おかしいよ。

「ふーん、じゃあ今でもそのフィリップってのは引き込もりなのか」

「ちょっと、引き込もりとは訳が違うでしょ。周りに強制的にされてるんだから」

「まあまあ。んで、何でそいつは学園に編入したんだ?」

「今の状態に限界がきたフィリップ様の王様への懇願と、第二王子エイデン様、第一王子リチャード様の必死の説得のおかげで、フィリップ様は学園に行くことを許されたんです。身分を偽ることが条件でしたが」

 何か辛い...。辛いよ...。

「てことは、そいつは後で編入してきて、ヒロインちゃんに攻略されると」

「はい、そうです。きっとこの世界でも、そうだと思います」

 学園にフィリップが編入してきたら、優しくしよう、そうしよう。

 隠しキャラの話が予想以上に重かったせいで、私はその後ぐったりしながら部屋に戻った。

 とはいえ、多分フィリップが編入してくるまでは時間がある。それまではゆっくりしてようと思う。



 ふと思ったことがある。

 アリスは攻略対象共を攻略しないって確かに言ってたけど、でも逆にアリスが攻略対象共から好かれるってことあるよね。実際ルイスはアリスを気に入ってたし。マークもアリスを気にかけてたし。

 アリスは攻略対象共から告白とかされたらどうするのか聞いてみたら、物凄く真面目な顔で、

「それはないです。万が一そんなことが起きても、私は逃亡します。私は、イケメンをなめ回すように眺めるのはいいですが、イケメンと付き合うのは無理です。爆死します」

 ということらしい。なめ回すて。

 てことは、やっぱマリュンの断罪の可能性はなくなったんだね。良かったよ。



 暑い...。

 私は教室の机でへばっていた。授業中だけど、あまりの暑さに集中出来ない。あのアリスだって元気じゃないんだから。

 逆に、最近のルイスはとても元気だ。暑苦しい。一緒に訓練してると嫌になる。マークはそれでも頑張ってる。本当にすごいと思う。

 マリュンは暑さのせいで中庭散歩を止めた。早朝の無音体操に切り替えたらしい。無音体操って何よ。

 エイデンとエリザベスは普段と変わらないけど、やっぱり暑くて少しだけ元気がない。

 アイザックはこの間ヅラが蒸されるってぼやいてた。それは仕方ないことだと思う。

 ノアは本当に学園に来なくなった。あまりの暑さに移動すら面倒になってるそうだ。

 私も何だか全てが面倒になってきた。夏の暑さって恐ろしい。

 ...こんな時はあれしかない。

 私は、皆を集めることを決意した。

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