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44.5 アイザック

記念すべき五十話目!見てくださっている皆様、本当にありがとうございます!


アイザックのお話。ある日のケインとの会話で、アイザックの台詞のみです。

 これは、先生が学園の生徒だった頃の話だ。

 ...え?アリスについて聞きたいんだって?

 だから、アリスについて話すためには学園にいた頃の話から始めなきゃならないんだ。

 時間がないなら止めてもいいが...大丈夫?

 なら、話すとしようか。



 俺は、兄弟の五番目として生まれた。

 えっ?そこからかって?まあ安心しなさい、ここはそう長くないから。

 俺の兄弟は、皆自由人だった。

 兄四人は上から、おおらか、人の話を聞かないせっかち、天然、無口、弟と妹はどっちも明るいけどちょっと抜けてる奴らだっだ。

 どうしてそうなったか、それは父親が見事な自由人だったからだ。

 悪く言うつもりはないが、型破りで見てるとハラハラする人だった。

 母親は真面目で、いつも父親の世話を焼いてた。俺は母親似なんだ。

 だから、あいつのことも放っておけなかったんだな。

 ん?あいつって誰かって?

 それはな...今先生とお付き合いしてる人だ。



 あいつと出会ったのは先生が学園の生徒だった時。そうそう、ここからが本題だよ。さっきまでのは前置きだ。え?...髪のことはいいじゃないか。その頃はちゃんとふさふさだったよ。

 同級生のあいつは、とにかくだらしなかった。

 忘れ物なんてしょっちゅうというか、当たり前だし、整理整頓なんて言葉とは無縁な生活を送ってた。驚くべきことに、食事や睡眠さえ忘れることがあったくらいだ。

 真面目な母親似の俺は、あいつの世話を焼くようになった。...まあ、だらしないあいつのことで胃を痛めることも多くてね...髪はその頃から...ああ、それはどうでもいいな、うん。

 そもそも、あいつと会ったきっかけは...ん?それも別にいい?

 そうだね、先生も生徒には、下着を拾った話をあまり聞かせたくないな。

 ...え?絶対に聞きたい?そんなに言うなら話そうか。

 入学式の日の放課後だった。

 教室から寮への道の途中で、俺は女性物の下着を見付けてしまったんだ。すごく驚いたよ。

 真面目な俺は、教員室に届けようと思って、その下着を拾った。

 ちょうどその時、俺に、「それは私のだ」って、話しかけてきたのが、先生の今お付き合いしてる人だ。

 ...出会い最悪?そうだな、俺もそう思う。

 だが、彼女は気にしなかったんだ、本当だよ。

 何で彼女は下着を落としたのかって?女子寮に向かって荷物を運んでいたら、着るものを入れていた袋が破れていたらしい。全く、その時からだらしなさの片鱗は見えていたんだ。



 それからは、まあ、彼女の世話を焼いて過ごしていたんだが、そのうちに彼女は俺を気に入ってくれたようで、しばらく彼女と会わなかったりすると、少し拗ねる様子を見せるようになったんだ。

 その時心外にもときめいてしまってね、そこから俺は彼女のことを更に気にするようになった。

 そして、付き合うに至ったんだ。

 家にもそれを報告したんだが、さっき言った通り、自由な人達だからね。あっさり許してくれたよ。先生が五番目の子供なのも関係あったかもしれないけどな。



 ああ、それで、だから。

 先生にはお付き合いしてる人がいるから、心配しなくとも、俺はアリスをそういう目で見ることはないです。

 ...え?そういうことじゃないのか?

 てっきり、お前がアリスを気になってるから、俺に釘を刺しに来たんだと思ってたんだが...ああ、そうだ、お前には仲の良い婚約者がいるんだったな、本当にすまない。思わず勘違いしてしまった。

 アリスは先生にとって、ただの生徒だ。生徒であるお前と同じようにな。勿論アリスの境遇は特殊だから、気にかけているところはあるがね。

 ...え?本当に俺の彼女は存在しているのかって?

 流石に俺も頭の中でお付き合いする女性を作り上げたりはしないぞ。

 あー、そうだな、最近彼女と連絡をとっていないから...ちゃんと彼女に構わないとね。思い出させてくれてありがとう。最近忙しくてな...。

 え?結婚?うーん...勿論考えてはいるが...。一般的に、結婚してしばらくしたら冷めるとか、言うだろう?俺はそれが不安でな...。って、生徒に何言ってるんだろうな。

 ん?聞きたい?うーん...俺は彼女を本当に好きなんだ。だから、放したくない。仮に結婚したとして、彼女に嫌われたら、なんて考えると...。でも、そうだな、いつかはちゃんと結婚、する。

 ...俺は本当に生徒に何を言っているんだろうか...。

 あまり面白い話でもなかっただろう、出来れば忘れてくれ。



 ああ、そうだ、お前の婚約を決めたのは親御さんか?違う?そうか、じゃあ自分で決めたんだね。それは良かった。自分で決めるのは大事だからな。

 ...ん?彼女は俺の髪をどう思っているのかって?

 ...お前は、何か...あれだな、はっきり言ってくるな...。いや大丈夫、傷付いてなんかない...。

 彼女は特に気にしていないみたいだ。まあ俺のこの原因は彼女にあるからかもしれないが...見かけは気にしない人だからね。

 ...え?俺からして彼女の見た目はどうかって?

 そりゃあ、すごく綺麗だと思うよ。惚気てすまないな。えっ?今までのも惚気?そういえば、そうだな。

 でもお前だって婚約者の彼女に対してはそうだろう?...ち、違う?そうか...。

 あ、あと聞きたいことはないかな?大丈夫か?分かった、それじゃあ、先生は仕事に戻ります。

 また聞きたいことがあったら、来なさい。あまりにも私的なことは話せないがね。

 ...えっ?今のも十分私的?いや、俺は決して彼女を特定出来るような情報は出していないぞ?

 ああ、大丈夫、彼女には羞恥心なんてないからな。お前に色々話したってのがばれても、何の問題もない。

 ああ、それじゃ、また明日教室で。

この後アイザックはローレンに連絡をする前に、アリスに「アイザック先生は私のことが何よりも好きですよね?」で洗脳されます。

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