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コメント、ありがとうございます!


アリスの最後らへんの呟き部分は読み飛ばしていただいて何の問題もありません。

 ヒロインちゃんが前世の記憶を取り戻した!

 実際にはケイチーと談話室サロンで会話してた時にゲームって単語言ってたから、その時には前世の記憶を取り戻してたんだろうが、まあその時はヒロインちゃん魔法にかかってたしな。

「...この人、何を言ってるの?」

 ノアが、ヒロインちゃんが狂人か何かであるかのように引き気味に後ずさる。

「...ここは、私に任せてもらおうか」

「でも、ケインさん、危険じゃ...」

「私を誰だと思っているんだ、ノア。女心を誰よりも理解するこのケイン・ウィリアクトだぞ」

 それは流石に言い過ぎだと思うぞ。

 だがノアは納得したようだった。チョロいなお前。いやこいつケイチーには甘いんだった。

「という訳で、アリス嬢。君に魔法をかけたのは一体誰だ?」

「あ...す、すいません。実は、覚えていなくて...気付いたら、ここにいました。で、ですが、私が皆様に迷惑をおかけしたのは分かります!」

「君は、私達に対して罪悪感を抱いているということでいいのかな?」

「は、はい!勿論でございます!私のせいで皆様に不愉快な思いをさせてしまったこと、とても反省しております!と、特に、マリアンナ様...!数々の無礼なふるまい、申し訳ございませんでした!」

 ヒロインちゃんが床に頭をこれでもかとくっつける。

 こっから俺のターン!

「では、貴女はこれからどうするつもりですの?」

「はい!これからは、決して皆様のお邪魔にならないよう、ひっそりと生活していく所存です!」

「...アリスさんもこれまでの自らの態度を反省しているようです。それに、彼女も魔法の被害者なのですから、特に問題はありませんわよね?」

 俺は周りの奴ら(特にエイデン)に向けて告げる。

「...姉さんって、一部の人に対しては甘いよね...」

 おっ、流石弟。よく分かってんな。

「...そうだな、アリス嬢も、あくまで...巻き込まれた、だけだ」

 ん?

 何だエイデンお前その意味深発言。

「ゆ、許してくれるんですか...!?」

 目を真ん丸にするヒロインちゃんに、俺は完璧スマイルを浮かべ、頷いた。

「あ、ありがとうございます!!」

 ははあー、と時代劇的な感じで頭を下げるヒロインちゃん。

 その後、エイデンとマークは共にどっかへ、ノアは学園を出て家に、ベティちゃんは女子寮の部屋に、アイザックは教員室へと、戻って行った。

 俺とケイチー、ヒロインちゃんは教室に残る。

「で、転生者だよね?」

 おおう、いきなりいったなケイチー。

「は、はい!そうです!やっぱりケイン様も同じなんですね!まさか、マリアンナ様も!?」

「ええ、そうですわ」

「はああああ...良かった...!」

「ん?良かった?」

 俺が思わず聞き返すと、ヒロインちゃんは心底ほっとしたように、

「ざまあ回避しました...!」

「ざまあ?」

「はいぃ...よくあるんですよ、創作で。乙女ゲーの悪役令嬢に転生して性悪ヒロインをざまあ(笑)するものが。私も、あのままだったら確実にざまあされてました...」

 何かよく分からんが、ヒロインちゃんが幸せそうだからいいや。

「あなたは前世でどんな人だったの?」

「私ですか?私はしがないOLでしたよ。二次元が好きな。僕の恋を叶えて、もハマってました」

「「とっ、年上...!」」

「えっ?」

「な、舐めた口きいてすいませんでした!何なら今から先輩のためにパン買ってくるっす!」

「ええ!?や、止めてくださいマリアンナ様!」

 ぎょっとするヒロインちゃん。いやヒロインちゃんなんて呼べねえな、ヒロインさんだ。

「あー、えっと...私達は前世高校生で、幼馴染みなんです」

「幼馴染み萌えるっ!?間違えました、そうなんですか!?転生先も同じ世界なんて、いいですね!...あ...前世で、亡くなってしまったんです、よね?」

「あー、そうですね」

「高校生なんて、まだ全然若いのに...」

 悲しそうなヒロインさん。そんな顔しないでくれよ。

「いえ、その...あっそうだ、私達、おかしいんですよ。私なんて前世では女だったのに今は男だし」

 ケイチーが冗談めかして言ったことに、ヒロインさんは瞬きをする。ていうかさっき萌えるって聞こえた気がするんだが。

「...えっ?」

「あっ、私は前世男で今女ですわ」

「...ちょ、ちょっと、すいません...」

 ヒロインさんは俺達に背を向け、教室の端っこに立ち、息を吸った。あの、さっき萌えるって言ってたよね?俺の聞き間違いじゃねえよな?

「...TS転生きた...やばいやばいやばい、いけないとは分かっていても妄想がはかどる...!ごめんなさいマリアンナ様ケイン様...!私には分からないような苦悩を抱えているとは思いますが妄想しちゃうっ...!全部私の背負っているカルマのせいなんです...!...もし仮にマリアンナ様が精神男の場合、精神的薔薇の身体的NL、もしくは精神的NLの身体的百合...!ケイン様もまた同じ...!私的にはケイン様は右...!あっやばい妄想がはかどり過ぎて吐きそう...!メモ、メモしないと...!」

 すっげえ小さい声で何かぶつぶつ言ってるけど、大丈夫か?何、萌えてるんですか?ひょっとして俺の可愛さにやられたん?ヒロインさんがオリヴィア姉さんを見たらあまりの綺麗さに死ぬの?

 ヒロインさんの背中に、ケイチーが声をかける。

「今まで色々嫌味とか言ってしまってたけど、これから仲良くしてもらえますかね...?」

「はっ!はい、ケイン様!マリアンナ様!勿論です!よろしくお願いします!」

 そういう感じで。

 俺達の同志が一人増えたのだった。

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