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 カオスだな。

 美女がアイザックと何やらお話していて、マークはその様子を震えながら見てる。そしてノアが、近付いて来たエイデンに話しかけ、ベティちゃんもそれに加わっている。ヒロインちゃんは変わらず床でぐーすーしてるし、仁王立ちのルイスパイセンは黙ってエイデンの話を聞いている。

 あっエイデンがベティちゃんにベタベタしてる。...が、まあ今だけは、今だけは許してやろう。エイデンも不安だっただろうからな。今だけはな。ぐぬぬぬぬ...我慢。

 さて、俺はケイチーに質問攻めをするかね。

「ケイチー、言い残すことはあります?」

「えっ?ちょっ...マリュン?あれ?何で私教室にいるの...じゃない、いるんだ?」

「そんなのケイチーがアリスさんと一緒に私につっかかってきたからでしょう?」

「はあ?えっ、待って待って、今日は何日?」

 何言ってんだこいつ。

 俺が親切に答えると、ケイチーの顔色が変わった。

「お、覚えてない...」

「はい?(何だって?)」

「アリスに、私はゲームのケインと同じかって、質問されてからの記憶が、一切ないんだけど...」

 何!?

 ケイチー、まさかの記憶喪失だった...?

「えっ、あの、マリュン。私、もしかしてやらかした?意識がない時に、私アリスに何かしてた?」

 俺は丁寧に、一から十まで全てを説明してやった。

 聞き終えたケイチーは、やや顔色が悪かった。

「てことは、私はアリスに魔法をかけられて、ゲームのケインと同じような行動をとらされてた...?」

「魔法ではないですわ」

「えっ?」

「魔法使いイルが言っていましたもの。ケイチーからは魔法による力が感じられないと...」

「それは違う」

 うおっ!

 美女が俺に話しかけてきた!

 美女の傍らには、まるで仏のような顔のアイザックと、ひどく落ち込んだ様子のマークがいる。どっちもここ最近の自分のことを聞いたのかね。

「申し遅れた、私はローレン。魔法使いだ」

「私はマリアンナ・ルーシムと申します」

「マリアンナ嬢、魔法使いイルというのとは、どこで会ったのだ?」

「この学園の保健室ですわ」

「...そうか」

 ローレンはしばらく考えていたが、やがて俺の顔を見た。

「そもそも、魔法にかけられていたのはそこの女の子だ」

「え?」

 ローレンは床で寝ているヒロインちゃんに視線を向ける。

 ヒロインちゃんが?

「洗脳の魔法と考えていいだろう。そこの女の子の欲望を増加し、更にそこの女の子が命じたことは、従わなくてはならなくなる魔法。だからマーク達は、どこかの魔法使いによって直接魔法をかけられた訳ではないのだ。あと、そこの女の子が倒れそうになったのは、魔法に課せられたタブーの、何らかのことをしてしまったせいだろう」

 あぁはぁん?

 えーっと、ヒロインちゃんが欲を増す魔法にかけられて、そんで「ヒロインちゃんの言うことはー?ゼッターイ」の効果を、ヒロインちゃんが命令した相手に及ぼす魔法もヒロインちゃんにかけられて...?

 ええと、

 1.ヒロインちゃんがゲームのタイトルを聞いて倒れる。

 2.三日間寝込む。

 3.ヒロインちゃん、魔法にかけられる。よってヒロインちゃんは強欲になる。ヒロインちゃんに命令された奴は逆らえなくなる。

 4.マーク、ケイチー、アイザック、ノア、ベティちゃんにヒロインちゃんが命令して、ヒロインちゃんの取り巻きと化す。

 5.ヒロインちゃん、ハーレムを謳歌。

 6.今日、ヒロインちゃん、俺につっかかってくる。

 7.ヒロインちゃん、タブーをおかし、苦しそうに咳き込む。ローレンに魔法を解いてもらう。

 ってとこか?

 ...あー、とにかく。

「誰がそんな魔法を彼女に...?」

「それは分からない。そうだ、そこの女の子に、何らかの変化はなかったか?」

 変化、か。

「...そうですね、ある日を境に、性格が変わったような...?」

 あれを見たのは、ヒロインちゃんが授業に復帰した日だった。つまり、魔法使いイルに、回復をしてもらったと思われる日の、次の日。

「誰がそこの女の子に魔法をかけたのか...こちらでも調査してみよう」

「...はい、ありがとうございます」

 はぁ...かっけー人だなー。まさに女騎士って感じだ。魔法使いだけど。え?アイザックがこの人の彼氏?んな訳ねえだろ、あんなヅラ。

 ローレンはくるりと方向転換する。

「...マーク」

「ひぇっ」

 ひぇってマークお前...。

「言われることは、分かっているな?」

「は、はい。僕は...自分の苦手な魔法にも、積極的に取り組むべきでした。そうすれば...」

「分かっているなら、いい。無事で良かった」

「はっ...あ、ありがとうございます、師匠。...ぐすっ」

 おお、これぞ師弟愛、か。つーかおいマーク泣いてねえか?

 ローレンは、そのまま教室を出て行った。

 いやぁ、あの人タイミングよく入って来たけど、魔法使いの勘ってやつなんかね。すげぇわ。

 あ、そうだ、ベティちゃんを補給しなければ。

アリスが相手を洗脳する方法:相手の目をしっかり見て相手の名前をはっきり呼び、「~ですよね?」と問いかけるように声に出す。速効で相手はアリスの言う通りに行動するようになる。その間の記憶は、魔法が解けたあと、なくなる。


マーク編

「マーク君、私のことが何よりも好きだよね?私を傷付ける人は許せないよね?」

婚約者の頬にキスしてる友人ケインがいたので、それを真似したら、ばっちりマリアンナに目撃された。


ケインへの命令は、ゲームのケインと同じだよね、ということだけ。ケインが前世の記憶持ちで「僕の恋を叶えて」を知っていると、三日間寝込む前のやり取りで分かっていたからこそ、そう命令出来た。ゲームでのケインは婚約などしていなかったので、ケインはマリアンナとの婚約を忘れていた。


ノア編

「ノア、私のことが何よりも好きだよね?マリアンナさんは嫌いだよね?」


アイザック編

「アイザック先生は私のことが何よりも好きですよね?」


エリザベス編

「エリザベスさん、ケインさんのことがすごく好きですよね?他の人、特にマリアンナさんのことはどうでもいいですよね?」

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