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コメント、ありがとうございました!おかげさまで段落の最初の一文字をあけることが出来ました!
「...成程、状況は把握致しました」
俺は、魔法使いイルにケイチー達のことを話した。
前世だの何だののことは勿論話してねえけど、ヒロインちゃんが何らかの方法で魔法を使い、皆をメロメロにしたんじゃねえかって俺の推測は話した。
魔法使いイルが信用出来る奴なのかは、正直分からんが、それでも魔法使いのこいつに頼る以外に方法はない!多分!俺他に魔法使いの知り合いなんていねえしな!
「しかし、昨日私はケイン殿とルイス殿の姿を拝見致しましたが...魔法による力は感じませんでしたね」
何ですと!?
「では...魔法にはかかっていないと?(マジかよ!)」
ええー、嘘だろ?そんじゃ何なんだよあの変わりようは!
「その可能性が高いと思われますね」
「そう、ですか...分かりました」
「また、いつでもいらしてくださいね、マリアンナ様」
「ええ、ありがとうございました」
くっそ、収穫無しか...いや、魔法じゃねえって分かっただけでもいいか...あー、どうしよう。
保健室を出て、俺は考え込む。
魔法じゃねえってことは、あれか?洗脳の類いか?よくあるよな、そういうの漫画とかで。かつての仲間が敵に洗脳されて敵対して主人公が何やかんやして助けるっての。俺達の場合、ヒロインちゃんが主人公なのに洗脳したのかもしれんのだが。
...あれ、エイデンどこ行った。何だあいつまだ保健室の中にいるのか?放っとくか。
俺はエイデンを置いて、その場を離れた。
うーん...考え過ぎて髪抜けるかもしれねえな。気分転換しよ。
俺は中庭に向かい、そしてヒロインちゃんとその取り巻き共の姿を見つけた。
うわぁ...すげえ、あれが本当のハーレムか...。
ヒロインちゃんを、マークとケイチーとノアとアイザックが囲んでいる。かごめかごめかな?
「全く、ケイン・ウィリアクトめ!たるんでいるぞ!」
そうそう、ケイチーはたるんで...るん?
ルっ、ルイスパイセン!?
あれっ、こいつ取り巻きだよな!?何で俺の隣にいんの!?
「あら、ごきげんよう、ルイス様」
「ああ、ごきげんよう。マリアンナ嬢は、確かケイン・ウィリアクトの婚約者だったな?奴にがつんと言ってはくれないか」
「今のケイチーは、私の言うことなど聞いてくれませんもの...。ルイス様は、あちらに行かなくてもよろしいのかしら?」
「む、オレは鍛練もせずに喋るだけの者達とは違うぞ!全く、鍛練を怠るとは何て奴だ!」
「...ルイス様は、アリスさんに好意を抱いてお」
「あっ、ルイス先輩」
何でエイデンといいヒロインちゃんといい俺の台詞を遮るのかね。
ヒロインちゃんは取り巻きを引き連れてこっちに来る。全然俺の方を見ないんですが。こりゃ俺が話しかけても無視するだろな。
「ルイス先輩、探していたんですよ?どこにいたんですか?」
「決まっているだろう、オレは鍛練をしていた!」
「...鍛練よりも、大事なものがありますよね?ルイス先輩」
「ない!」
「...は?」
「何事も鍛練を怠ることなく続けていれば出来るものだ!前にも言っただろう!」
ルイスパイセンはキッパリと言い切った。
ヒロインちゃんが唖然とした顔をしている。
「...嘘、何で?おかしいおかしいおかしい...」
ブツブツと何やら言った後、ヒロインちゃんはルイスパイセンを睨むように見る。完全に俺は空気なんだが。
「...ルイス先輩は、私を好きです」
「ああ、そうだ!そうだった!先日まではな!まさかオレ特製の訓練をやすやすとこなす者が存在するとは思っていなかったからな!貴様の潜在能力は素晴らしい!だが!」
ルイスパイセンは、ヒロインちゃんを鋭い目で見つめる。
「貴様はオレの思うような素晴らしい者ではなかった!」
「...なっ」
「ケイン・ウィリアクト!貴様、随分と腑抜けたものだな!オレは失望したぞ!」
だがしかし、ケイチーはルイスパイセンを睨み付ける。
「アリスに、何を言うんだ...!」
「女性に対して失礼だと思わないんですか?」
「やはり駄目だね、騎士などという野蛮な輩は...」
「言い方を考えなさい」
ノアもマークもアイザックも、揃ってルイスパイセンに罵声?を浴びせる。何これ、何か俺笑えてきたんだけど。だって俺完全に蚊帳の外よ?
「皆...!」
おぉ、ヒロインちゃんが、喜んだ声のわりにはすっげー怖い目でルイスパイセンを見てる。
「文句があるなら勝負をするか」
「そんな野蛮なこと、誰がするか」
いやケイチーお前結構ルイスパイセンと勝負してたよな。
ヒロインちゃんと取り巻き共は、ぞろぞろと中庭を去って行った。
「ふん、軟弱者が!」
ルイスパイセンお怒りですか。
でも、何でルイスパイセンは洗脳されなかったんだろうな?




