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30 マリアンナ・ルーシム

コメント、ありがとうございます!


マリアンナ視点になります。

 ヒロインちゃんが「私は太陽です」(あれ?こうだっけ?)と言ってから、ケイチーのヒロインちゃんに対する扱いが雑になった。 ヒロインちゃんがケイチーに何やら話しかけても、ケイチーはヒロインちゃんに真剣に応じない。

 俺はヒロインちゃんがケイチーにしつこく関わろうとしたら口出しするつもりだったんだけど、ケイチーはヒロインちゃんの反応を見て楽しんでるみたいだ。趣味悪いなあいつ。ケイチーが何か言う度にヒロインちゃんが涙目になってんの俺知ってんだからな。

 まあとにかくだ。

 俺がすることは、とりあえずヒロインちゃんに関わらなければそれでいいんだと思う。だから俺はヒロインちゃんを遠くからこっそり見ることにしている。

 最近はジェイダちゃんがヒロインちゃんのそばにいることが多くなったが、美少女二人がいる光景はとても目の保養になる。いいね!

 勿論俺はベティちゃんのことを忘れたりなんかしてないぜ?ただベティちゃんはよくエイデンといるから...思い出したらむかむかしてきた。

 エイデンあの野郎、ベティちゃんにベタベタしやがって...!

 ベティちゃんは俺が守ります。異論は認めねえ。

 あー、俺の癒し、オリヴィア姉さんは元気かねー。ノアは相変わらずオリヴィア姉さんの盗撮してんのかねー。父さんは母さんの盗撮を続けてると思うけどなー。どうかなー。

 あ...れ...これがホームシック...?まだ入学して一ヶ月なのに...。

 いや、頑張れよ俺!俺にはたくさんの女の子達がいるじゃねえか!

 学園に入って思い知ったけど、これぞまさにハーレムという感じだった。だって俺の周りに女の子多いんだもん。あっ、そりゃそうか、俺女だしな。



「お嬢様」

「ちゃーんちゃーんちゃちゃーんちゃーんちゃーんちゃちゃーちゃちゃーん、てーれーれれー、てーれーれれー」

「お嬢様!」

「はいっ?(うわっびっくりした)」

 夜、皆が寝る頃、俺は自分の部屋で体操をしていた。前世であった、あのラジオによる体操だ。BGM(自分で歌う)はそれじゃなくて、自分の記憶にある別の曲だけど。

 いっぱい食べたら運動しないとな。

 で、どうしたんだ?

 侍女のエミリはどこか引きつった顔をしている。

「お嬢様、あの、非常に申し上げにくいのですが...」

「何?(何でも受け止めてやるぜ?)」

「騒音被害届けがきています」

「えっ」



 次の日の放課後。教室。

「ルイス先輩に訓練を?」

 ケイチーの顔が見事に引きつっている。昨日のエミリみたいだ。

「ええ、実は今までお部屋で体操をしていたのですが、少し騒々しくなってしまうので...私も運動したいのですわ。ケイチーは騎士団長様のご子息であられるルイス様と、お知り合いでしょう?」

「...マリュン、ちょっとこっちに」

 ケイチーに引っ張られ、教室の窓から外を見るとそこには、

「何事も鍛練あるのおおおおみ!!さあオレに続けえええ!!」

「おー!」

 校庭(といってもほとんど使われないお飾りだ)を爆走する、ルイスパイセンとヒロインちゃんの姿があった。

 ええ...。

「...あれについていける?」

「無理ですわ」

 何だあの化け物共...速すぎんよ...。目測だけど百メートル十秒くらいで走ってねえ?

「ハイスペック過ぎますわね...」

 ヒロインちゃん、マジぱねぇ。



「えっ?運動...ですか?」

「ええ、マークさんはどのようなことをしておられるの?」

「うーんと、僕は基本的にエイデンと一緒に運動しているので...」

「あっそれならいいですわ。ありがとうございました」

 エイデンの力は借りん。これ大事。



 俺は早朝と放課後に、中庭を歩くことにした。中庭は広いからな、うってつけだわ。

 桜はすっかり散ってしまったが、中庭にはたくさんの人がいる。その中を俺はもくもくと歩く。脳内では「あーるーこー」とメロディが流れている。

 中庭にいる奴ら(先輩もいる)がぎょっとして同じ場所をぐるぐるしてる俺を見てくるが、無視だ無視。

「何ですか貴女!止めてくださいよ!」

 えっ、そんな...そこまで言わなくてもいいじゃないすか、運動は大事っすよ!

 あ、俺に言ってんのじゃないのな。

 見ると、中庭に続くところの渡り廊下に、誰かがいる。

 !?

 ノアじゃねえか!!それと、ヒロインちゃん!?

「ひどい!そこまで言わなくても...!」

「いや、本当に無理ですごめんなさい。初対面の男に気軽に触ってくる人とかボク無理だから!」

 おいノアお前...ヒロインちゃんに結構言ってんじゃねえか...。女の子相手にそれは、お前はシスコンだけどいかんものはいかん!腐っても貴族だろうが!

「案内なら普通にしてくれればいいでしょ!何で手を引こうとしてくるんですか!」

「見失ったら悪いと思って...」

「見失う訳ないだろ!!」

 おおうノアお前、キレのあるツッコミだな。だが女の子相手にそれはあかん。将来結婚出来なくなっちまうぞ。周りの奴らから白い目で見られたくねえだろ?

 これは流石に関わらないと駄目だな。

 俺は、まだ喚き合っている二人の元へ急いで向かった。

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