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 人通りの少ない校舎裏。

 前世では校舎裏に呼び出されたら大抵告白されるかぼこぼこにされるかだけど、これはどっちでもない。

 一対一の、勝負だから。

「来たな!ケイン・ウィリアクト!」

 ルイスが仁王立ちで、私を貫くように見た。

「これからするのは剣による勝負だ!覚悟しておけ!」

「はい」

 ルイスが私に木刀を渡してくる。ああ、こういうの持つと緊張するね。

「ルールは簡単だ!木刀が体に触れた時点で負けとなる!」

 ...怖いなあ...。

「準備はいいか、ケイン・ウィリアクト!」

「......」

 ...うん、大丈夫。

 怖くない方が、おかしいんだから。

「...ルイス先輩」

「準備はいいな?」

「...ああ」

 さあ、真剣勝負を始めようか。

 まあすぐに負けたんだけどね。



「たるんでいるぞ!ケイン・ウィリアクト!」

 そんなこと言われてもね...。

 勝負が始まりつばぜり合いになった後、私が打ち込んでルイスにカウンターで返され、普通に負けた。

「失望したぞ、貴様!さては訓練を怠っていたな!」

「あー...うん」

「何て奴だ!」

 うん...これはごめんね。最近体動かしてなかったんだよね...。いやでも私別に騎士団員とかじゃないし、許してほしいかな。

「よし、ケイン・ウィリアクト!また後日勝負だ!今の貴様では相手にならん!修業して出直してくるがいい!」

「ああ...分かりましたよ」

「何なら一緒に騎士団専用の訓練でも」

「それじゃあルイス先輩、私は修業に励むとします。では」

 退散退散。



 はあ...何でこうなったんだろ。本当におかしいよね。だってルイスはゲームでは真面目、ピュア、常に真顔だから笑った時の破壊力が凄い奴だったのに、この世界ではただの脳筋だもんね。

 どうしてこうなった。

 というか他の攻略対象もそうだよ。エイデンは馬鹿だしマークは泣き虫だしマリュンの弟ノアはシスコン(オリヴィアさんに対して)らしい(マリュンからノアがしたことを一部聞いて軽く引いた)しアイザックはハゲだしルイスは脳筋だし。

 何なんだろほんと。ここはゲームじゃなくて現実だよってことを表したいのかな。

 まあいいか。確かにゲームとは違うけど、嫌いではないからね。



「...あれ」

 何やってんのあいつ。

 校舎裏から男子寮に向かおうとしていたところに、マークの姿を見つけた私は、話しかけようと早足になる。

「マーク!」

「うわっ...ケイン?ルイスさんとの勝負は?」

「終わった。負けたよ」

「そうか、お疲れ」

「お前はこんなところで何をしてたんだ?」

「僕は寮に戻ろうとしてたんだ」

「エイデンは?」

「マリアンナさんとエリザベスさんと一緒だよ。多分また中庭でサクラでも見てるんじゃないかな」

「そばにいなくていいの?」

「それなんだけど...」

 困った顔のマーク。どうしたの?

「マリアンナさんから、大丈夫だからって言われて追い出されて...」

「...何を企んでるんだ、マリュンは」

「分からない」

 何をする気なんだろう、マリュンは。

 これは中庭に行った方がいいよね。

「行くよ、マーク」

「...うん、そうだね」

 私とマークは中庭に向かう。

 何するのか知らないけど、エイデンは第二王子なんだから無茶なことしないでよね、マリュン。

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