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ブックマークが九百件を越えました!乙女ゲーム転生ものの人気ってやっぱり凄いことを実感。ありがとうございました!

 燃えるような赤髪に、青みがかった黒目のそいつは、躊躇いなく教室に入って来た。

「勝負だ!ケイン・ウィリアクト!」

 もう一度私にびしっと言う。二回言われなくても聞こえてるよ。

「やあ、おはようございますルイス先輩」

「ああ、おはよう」

 律儀に答えてくれるルイス。

 アリスは突然現れたルイスにちょっとびっくりしてるみたいだ。

「さあケイン・ウィリアクト、勝負だ!行くぞ!」

「まあ待ってくださいルイス先輩、こんな朝から勝負も何もないでしょう。放課後また来てくれませんか」

「そんなに待っていられるか!」

「朝は時間が限られるが、いいんですか?それに他の生徒の迷惑にもなりうるかもしれませんよ?」

「む...そうか」

 うん、素直なのはいいことだね。

「貴様が心配することは何もない!行くぞ!」

「話聞けよ」

 この脳筋め。エイデンも馬鹿だけどここまで猪突猛進じゃないよ。

「何か都合の悪いことでもあるのか?」

「さっき言ったでしょう、時間もないし迷惑にもなる」

「貴様が気にすることなどないだろう!今日は久しぶりの勝負だからな、オレも張り切っていくぞ!さて、剣の勝負を...」

 こいつほんっと話聞かないね。どうしよっか。

 あー...何でこうなったんだろ。ゲームではルイスは真面目で恋愛に慣れてないピュアな奴だったのに。

「ケイン・ウィリアクト!何をぼんやりしている?」

「ああ、うん。聞いてる。アリス嬢」

「はいっ?」

「この人のことどう思う?」

「えっ...」

 うん、急にごめんねアリス。

「えっと...ですね。ちょっと、怖い、かな...」

「なっ...!お、オレが、怖い...!?」

 驚愕してるけど、逆に何で怖がられないと思った。

「そ、そんなまさか...オレは親しみやすいはず...」

「聞いたでしょう?ルイス先輩、貴方は人の話を聞かないことが多い。改善すべき点だと思いますよ(お願いだから直して)」

「む...善処する」

 んー...善処か。まあでも良かったよ一歩前進して。

「よし、勝負に行くぞ!」

「だから今は駄目だと何度言えば」



 あいつマジで止めてくんないかな。

 授業が終わって休み時間になる度に私の教室に来て「放課後絶対勝負!」って言ってくるんだけど。

 エイデンは「相変わらずだな」、マークは「頑張れ」、マリュンからは「ケイチーも大変ですわね(何あいつ暑苦しい)」って言われた。そういやマリュンはルイスと話したことなかったね。

 もうやだ、エリザベスに泣きつきたい。

 ていうかあいつとは、私の二番目の兄が騎士団に入ってるから、接点があるってだけなんだけど。

 おかしいな、ゲームでは騎士団長の息子ルイスのライバルは魔法使いマークだったのに、何で私になってんの?

 おかしい、絶対おかしい。

 まあそんな気持ちもアイザックの授業(数学)になった時に吹っ飛んだ。

 アイザックあんた性懲りもなくヅラ被ってきやがって。あんたが教室に入って来た瞬間にクラスがざわついたわ。

 私とマリュンは吹き出すのを堪えるのに必死だったし、マークは気まずそうに目をそらしたのあんた知ってんのか。


 授業はアリスがいるおかげで円滑に進む。アリスは積極的に手を挙げてくれるからね。流石特別枠の生徒だ。

 アリスが分からないらしいところはマークが答える。うん、本当にマークは凄いと思う。

 授業の内容は前世高校生だった私からすると、難しくない。数学なんかは前世で習ったのと同じっぽいし、外国語(どっかちょっと遠い国の言葉らしい)も簡単な英語だ。歴史とか経済とかは頑張って学べばいいし、問題ないね。

 ...ただマリュンがいまいち数学得意ではなさそうなので、言われたら助けようと思う。



 とうとう放課後になった。

 これでようやくルイスのストーキングから逃れられる。食堂での昼ご飯の時なんか勝負連呼されてちょっとイラッとしたからね。

 さて、ルイスが待っているであろう校舎裏に向かおうか。

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