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 マークの手招きに応じて、私はマークの席の近くに行った。

 どうしたのマーク、あんたもアイザックハゲ事件にやられた?

「あのさ、ケイン。どうしよう」

「何が?」

 マーク?何でそんな真剣な顔してんの。

「僕、エイデンとケイン以外に友達いない...」

「...何言ってるんだ...まだ初日だぞ」

 確かにマークは庶民だしちょっと微妙な立ち位置にいるけど、初日でそんなこと言ってどうすんの。

 まあ私はパーティーやら何やらでクラス全員(アリスを除く)の名前知ってるけどさ。

「というか、エイデンと私以外にもいるだろう。マリュンとか、エリザベス嬢とか」

「で、でも女の子じゃないか...僕、エイデンとケインに見捨てられたら一人になる自信があるよ」

 そんな自信持ってどうすんの。頑張れよ。

「何とかなるだろう。お前はいい奴だしな」

「ケ...ケイン...!」

 マークの目が潤んでいる。あんたほんと泣き虫だね...。いや、涙もろいのかな?ゲームでは泣き虫なんて設定なかったのに。

 でも、こいつを舐めてはいけない。泣き虫なところはあるけど、こいつの能力は本物だ。魔法を使えるのもそうだけど、こいつは状況把握が異常に早い。そしてその場で最善と思われる行動をとれる。

 だからマークは庶民であってもエイデンのそばにいることを許される。エイデンの身を守るのはマークが適任なのだ。ここはゲームと同じだね。私の役割?んなもんないよ。私はただ小さい頃エイデンを助けたことがあるってだけだから(エイデンの落とし物を拾っただけだ。単に運が良かっただけだね)。

 基本的に私はエイデンとマークのそばにいるだけ。世間では私をエイデンの左腕って言ってるらしいけど、不相応にも程がある。マークが右腕なら、私はせいぜい左手の小指くらいじゃない?

 と、不意に、私の視界にあるものが映った。

 あ、あれは...。

「マーク!」

「何!」

 鋭く言うとマークも切り替わって鋭く答える。

 私は無言で視線をそっちに送った。マークもそっちを見る。

 そっち、には。

「それにしても晴れていて良かったな!サクラがよく見える!そういえば昔マリアンナ嬢の庭でサクラを見ながらお茶会をしたな!とても旨かった!」

「すごく、綺麗でしたね。また、マリアンナのお庭に、行きたいです」

「マリアンナ嬢の庭で食べたものは全て旨かったな!」

「マリアンナのお庭、素敵ですよね」

「そうだ、エリザベス、また共にマリアンナ嬢の庭に行こうではないか!」

「はい...」

 窓際で会話をしている、エイデンとエリザベス。

 ここから見てもエイデンの機嫌がとてもいいのが分かる。

 エリザベスもいつもの無表情ではない。ちょっとだけ微笑んでいて、彼女も楽しくなくはなさそう。

 うん、微笑ましいね。ただ、

「あら、何のお話をなさっているの?私にも聞かせてくださいな(あ゛あエイデンくらあ、ベティちゃんに何ベタベタしてんだあ?)」

 マリュンの機嫌が悪くなるってことだよね。

 マリュンあんたさっきまで女の子達に囲まれてたくせに...女の子達も突然マリュンが立ち上がってびっくりしてるよ。

「おおマリアンナ嬢!今お前の庭の話をしていたのだ!」

「また、行きたいな」

 まあマリュンが割って入っても、二人は気にしないんだけどね。エイデンも気にしないし、エリザベスはむしろマリュンをウェルカムしてるから、マリュンは邪魔者扱いされない。

 そしてエリザベスに微笑まれたマリュンも機嫌良くなると。

 全く、いつもの光景だよ。


「マリアンナさんのお庭には、サクラがあるんですか!?」


 ...忘れてた。

 そうだよね、あんた、主人公だもんね。攻略対象のエイデンと悪役令嬢のマリュンが話してんだから、そりゃ来るよね。

「自分のお庭にサクラがあるなんて、素敵...!」

 そう言いながら、アリスは窓際のエイデン、エリザベス、マリュンの元へ近付いて行った。

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