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とっもだっち百人でっきるかなー!
ああもう明日入学式だぞおい...。
俺は十六歳となり、学園への入学が決まっていた。
学園の名前が、えーと...確かものすごい名前だったんだが...あ、そうそう、ディスティニー学園。やっべえよな。聞いた時びっくりしたよ。まんまだもん。この俺が新しいの考えてやろうか。まあ名前はどうでもいいか。
別に緊張しなくてもいいんだけど、こういうのはふいんきだふいんき。入学式は皆緊張するって俺の中で決まってんだ。
学園に入学するのは勿論俺だけじゃない。ケイチー、エイデン、マークの攻略対象組に、ベティちゃんも入学する。
皆入学する...んだが...。
俺は、俺の制服を見てにこにこしているオリヴィア姉さんと、その様子をじっと見てるノアをちら見した。
オリヴィア姉さんは今十九歳だ。とてつもない美人に成長している。俺が今まで見てきた女の中で一番美人なのはこのオリヴィア姉さんだ。オリヴィア姉さんは未来の王妃。よって、俺と話す時間なんてほとんどなくなってしまった。でも時折今日みたいに時間を作ってくれる。本当オリヴィア姉さん大好きだわ。
ノアは今十五歳。来年、俺と同じように学園に入学する。ノアは同年代の男共に比べると小柄で、俺とも同じくらいの身長だ。そのせいか、巷では女の子達に可愛い可愛い言われてるらしい。まあ確かにイケメンって言うよりは美少年ってのが合ってるよなあ。ただこいつすげえシスコンだぜ?俺じゃねえよ。オリヴィア姉さんに対してだよ。父さんが撮った母さんの写真の量並みの、オリヴィア姉さんの盗撮写真がこいつの部屋にあんの俺知ってんだぜ?
...この二人とも、しばらく会えなくなる。
学園は寮制で、自室が与えられるのだ。使用人の持ち込み許可されてるから、俺は侍女のエミリを連れて行くことにしている。
長期の休みまで、オリヴィア姉さんとノアに会えなくなるんだな...寂しいわ...。父さんと母さんも達者でな...。
「あ、そうそう、マリアンナ姉さん」
「どうしたの?(ノア、何かあったのか?)」
「ボク、時々学園に行くから、よろしく」
「えっ?(何て?)」
「何か学園の先生から呼ばれたの。見学しに来いって言われてね。流石に授業は受けないけど、学園の中で会うかもしれないから、よろしく」
何で!?
お、おおう...そういやお前いつ頃か学園に呼び出しされてたな...社会見学みたいなことかね...。
「良かったね、ノア。マリアンナと一緒にいられるようになって」
「なっ...別にそんなこと...」
にこにこしてるオリヴィア姉さんに言われ、ノアが慌ててるけど、本当にそんなこと思ってないよね。だってお前俺じゃなくてオリヴィア姉さん大好きだもんね。うん知ってる。
生温かい目でノアを見てやると、ノアはわざとらしく咳払いをした。
「とにかく!よろしくねマリアンナ姉さん!」
「ええ、よろしくねノア(つっても会うなんてそうそうねえだろ)」
...あ。ノアが学園に来るのってもしかしてゲームでもあったことなのか。なら納得だな。ノアだって攻略対象だしな。ただ年下はいいとして癒し系か?こいつは。癒しって俺の中ではオリヴィア姉さんなんだけど...まあノアは美少年だしいいか。
とうとう明日、学園に入学する。
ゲームでは、スタートすることになる。
主人公が入って来るか分かんないし、どんな奴かも分からんが、とにかくだ。
俺は主人公がケイチーにしつこくしない限りは、関わらない。
エイデンやらマークやら他の奴らが攻略されても、そんなん知るか。勝手にやってろ。ノアだって、主人公が真正面から攻略するなら俺は何も言わない。二股とかは良くないけどね。
俺を学園から追い出し、家を没落になんてさせねえからな。俺は主人公に嫌がらせなんかしないし、むしろ応援してやってもいいくらいなんだから。察しろよ主人公。
俺は、自分が楽しければそれでいいんだからな。
覚悟しろよ、主人公。
...何を覚悟するんだろ。ま、まあいいや。
全部は明日から始まる。