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「...何か、最近ケインとマリアンナさん、なかがいいよね。何かあったの?」
「ああ、婚約した。言ってなかったか」
「ええぇっ!?ど、どうして!?」
聞こえてますよー、お二人さん。
ていうか何でここにいんのお前ら。おいケイチーとマーク。
ケイチーは俺の婚約者だからまあいいとしても、マーク、お前は何なんだ。ケイチーの付き添い?エイデンが寂しがるぞ。
俺とケイチーは無事婚約を結び、度々ケイチーは俺の家に遊びに来るようになった。今いるのはうちの庭だ。
別に構わないけど、ノアがケイチーを見る度に興奮するので俺としてはちょっと複雑なのだ。
いやいいけどさ、いいけどさあ...ノア、ケイチーを尊敬する前に俺を尊敬してくんない?駄目?無理?
今もノアは会話してるケイチーとマークのそばをうろちょろしてるし...。
いいもん、俺はエリザベスちゃんと至福の時を過ごすもん。
エリザベスちゃんは設置されたベンチに座って、静かに本を読んでいる(家にやって来たケイチーとマークを庭に案内してくるから何かしながら待っててと俺が言ったのだ)。
「何を読んでいるの?(見せてー)」
「あ...これ」
見せてくれたのは、七歳のエリザベスちゃんにはまだ早いと思う、恋愛小説でした。
「お、面白いの?(やっぱ女の子ってませてんだな...)」
「...わたしは、すき。王子様、とか。お姫様、とか...」
王子様か...エイデンはねえな。第一王子は王子様って呼ぶにふさわしいと思うが。
「...マリアンナ様も、見る?」
「あら、いいの?ありがとう!あと、その、エリザベスさん...私のことはマリアンナ、でいいのよ?(ど、どうでしょう)」
「...じゃあ」
じーっと俺を見つめてくるエリザベスちゃん。可愛いわぁ...。
「...わたしのことも、ベティって、よんでほしい...」
!?
えっえっえっえっいいんですか!?いいんですかそんな!!
いいんですか!調子乗りますよ俺いいんですか本当に!!
え、いいの?マジでいいの!?
ぃいやっほおおおおおおおおい!!
「じゃ、じゃあ、ベティって、呼ぶわね(う、うふ、うぶふふふふふ...ベ、ベティちゃん...ふへへ...)」
「...うん、マリアンナ」
ちょっと微笑むベティちゃん。くっそ可愛いなおい!!
天にも昇る気持ちとはまさにこのことだろうな...。
召されかけた俺を現実に引き戻したのは、侍女のエミリだった。
何か誰か来たらしい。誰だ。
「ここにマークとケインがいると聞いたのだが!おじゃまするぞ!」
エイデンお前も結局来んのかーい!
どうしてこうなった。
何で俺の家に第二王子とその腕共がいるんだ。おかしいだろエイデンお前何でここに来たんだよ。王子だろお前。
白目になる俺をよそにエイデンはベティちゃんに自己紹介していた。ベティちゃんはちょっと緊張してるようだ。常に無表情なベティちゃんだけど、そんくらいは俺も分かるようになった。
おうこらエイデンこらぁ、ベティちゃんに手を出したら承知しねえぞ?あんくらぁ。メンチ切んぞ。いや怖いからしないけどさ。
おい何だこの光景。俺の家の庭に第二王子エイデンと魔法使いマークとすけこましケイチーと、その周りをうろちょろする俺の弟ノアと、ちょっと動きがぎこちなくなったベティちゃんがいる。
...何だこれ...。
おい!ベティちゃんとノア以外帰れよ!!ケイチーは許容したけど更に二人ついてくるなんて聞いてねーぞ!
オリヴィア姉さん...俺の癒しよ、帰って来てくれ...!
オリヴィア姉さんは今日城に行っている。何をしてるのかは知らん。でも第一王子関連だろうな。
父親と母親は、ケイチーが家に来ることを歓迎してたし、第二王子が来たなんてことは喜ぶしかねえんだろうな...。ケイチーとの婚約の話も割とあっさり許してくれたし。
...まあ、いいか。よっぽど変なことをしない限りは、ここに来るのも許してやろう。
「ああっ、うえきばちがたおれた!」
エイデンてめええええええええ何やってんだあああああ!!