短編で予想外の評価を頂き、連載することにしました。短編にコメントを下さった方、本当にありがとうございます。連載になり、誤字脱字、意味の分からない文章、設定などあると思われますのでご注意下さい!(作者は頭が良くありません) また、二人が出会う話、学園に入学する話まで時間がかかる可能性があります。
「お久しぶりです、智秋ちゃん」
「...お久しぶり!潤君」
「元気にしてましたか?」
「ええ、勿論!潤君は?」
「元気でしたよ...なあ、そろそろ止めねぇ?」
「あんたが言い出したんでしょうが!」
そんなやり取りをコンビニの前でしているのは、少年と少女である。
少年は高山潤、少女は森崎智秋といった。どちらも高校生だ。
「いきなり敬語きてびっくりしたわ!あんた頭でも打ったのかと思ったじゃん」
「ひ、 ひでぇ!小芝居だろ察しろよ!」
「だから合わせたでしょ!」
言い合いながらも、二人の間に険悪な空気はない。
あくまでふざけ合っているだけなのだ。
二人の関係は、幼馴染みである。家が近所なのに加えて、幼稚園、小学校、中学校と同じだった。高校では、智秋は公立の女子高、潤は私立の共学と、別々になり、一緒にいる時間は少なくなったが、二人の付き合いが途切れることはなかった。
今日は久しぶりに二人の休みが重なったので、どこかに遊びに行こう、ということになっていた。
「大体家近いんだから顔合わすくらいあったじゃん。久しぶりじゃないよ」
「馬鹿、こういうのはふいんきだよふいんき!」
「雰囲気ね」
会話しながら、二人は移動し始める。
「で?どこ行く?」
「テキトーにぶらぶらでいいんじゃねぇか」
「んー、じゃあ最初本屋行こうよ。欲しいのあるし」
「欲しいの?何だよ?」
「...この前あんたに見られた乙女ゲーの、漫画だけど」
「ぶはっ!マジ?そんなん笑うわ!そもそもお前が乙女ってのが理解できなーい」
「あんたの口を縫い付けてやろうか」
軽口を叩きつつ、二人は信号で引っかかった。
「つか、何だっけか?あのホニャララなんとか」
「何?乙女ゲーの話?タイトルは...『僕の恋を叶えて』、だけど?」
「..恋ねぇ...叶えてって他人任せかよ。ずいぶん勝手な奴だな」
「世の中にはそういうのもいるんじゃない?」
「ありえねー...。お前が乙女っていうぐらいない」
「黙れDT」
「はぁんっ!?てめっ喧嘩売ってんのかあぁん!?」
「最初に喧嘩売ったのあんただよね?」
「うるせぇこの年齢=彼氏いない歴!」
「それ完全にブーメランだか...」
智秋が思わず声を張り上げた時、女性の悲鳴が聞こえた。
二人がお互いから視線を外すと、すぐ目の前に、トラックが見えた。
「は」
次いで凄まじい衝撃を受け、二人の意識は途絶えた。