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その目に映るのは  作者: 千代
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四角

『また来てくださったんですね。嬉しい限りです。』

ニコリと微笑む館の主。その笑顔は心からのではなく、作られたものだが不覚にも可愛らしいと思ってしまう。

寝顔を見てからというもの自分よりも年下として見え仕方がない。


『どうかいたしましたか?』


顔が笑っていても目だけが笑っていないことに怖さを感じ、逃げるようにして準備されていた本を読み始めた。

館の主は心でも読めているのだろうか。


「四角」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


クラスで一番背が低い女子の茅依。

そして背がとても高い衣希。


「隣歩くな!うちが小さく見えるだろうが!!」


「大丈夫だ。誰の隣でもお前はチビだ。」


廊下にまで響き渡るふたつの声。

それを聞いて肩をすくめる者もいれば、腹を抱えて茅依を笑う者もいる。

勉強の邪魔だと不快な視線を送る者もいた。


「は?チビじゃねぇし!!

うちが平均身長でみんながデカすぎるだけだから!」


「結局はチビだな。」


「だから違うし!!」


毎日のようにケンカをしている2人。

本人達はケンカではないと言っているが、それならば一体なんなのだろうか。


チャイムが鳴り、生徒達の動きが増していく。その中を茅依はスローモーションで動く。

謎だ。


「衣希!うち滑らかな動きしてね?」


「は?お前の目は節穴か?ロボットみてぇww」


たしかに周りから見たら滑らかとは言い難い動きである。

それよりもクラスメイトはなぜ毎回、昼休みになるとスローモーションで移動するのかと眉間にシワを寄せていた。


「いいか!こうだ!!」


バッと立ち上がり、衣希もスローモーションで歩き始めた。

その瞬間、クラスメイトは即座に口を手で覆う。


「ブハッwwwwww衣希の動きが滑らかすぎてキモイwwww」


盛大に笑う茅依。そして必死に蹲り小刻みに肩を揺らしているクラスメイト。

茅依とは真逆で滑らかさMAXの動きなのだが、滑らかすぎて謎の生命体になっているのだ。



やっと歩みを止めて目標の位置へ座る。お弁当を広げながらこんな会話を始めた。


「そういえばさ、よく衣希みたいにでかい奴が『ああ、小さくなりたいよ。身長分けてあげたい!』とか言ってくるじゃん。」


「まぁ、あげたいからな。」


「なら、よこせや」


「出来るならな」


「削ぎ落としてやろう」


「かかってこいや!このゾウリムシ」


「そこはミジンコにしろよ!全国のゾウリムシファンに謝れ!!」


「茅依、ミジンコの方がゾウリムシより大きいんだぞ?」


「それはうちがミジンコよりチビって意味?イラっと来たわ。」



いつも2人はケンカしてる。ふざけ合ってるだけなのかもしれないが顔がマジなのは気にしないでおこう。

仲が良いのか悪いのやら。

いつも一緒にいる2人はクラスでこう呼ばれている。


『四角』


小さくて凹の茅依


大きくて凸の衣希


一緒いるから合わせて四角



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『どうでしたか?』

向かいの椅子に足を組みこちらを見る館の主。

そういえば館の主も小さい。

『平均です。』

ムスッと頬を膨らます。まさに子供みたいな顔をしていた。

館の主は何かブツブツ言っていたが、読みを終えた本を閉じる。またいつものように光って無くなった。


『はぁ、またのお越しをお待ちしております。次に小さいとか言ったらただじゃおきませんから。』


怒りマークが見えた気がしたので苦笑いを返して館を出た。



あれ?小さいなんて口に出したっけ?



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