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その目に映るのは  作者: 千代
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すれちがい

ギィ

扉を開けると館の主が微笑む。

そして用意されている赤い本「すれちがい」を手に取り、小さな世界へと旅行に


出かけた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


例え、あなたの眼中に私がいなくても構わない。

そう思って告白をした。返事は嬉しさのあまりポケットに忍ばせておいたボイスレコーダーに録音して…。


その日から何度も何度も聞いた


でも、満足出来なくなってしまった




あなたの眼中に私がいないことが許せなくって、憎くて、気持ち悪くなったのはいつからなのかしら。

私だけのあなたにしたい

誰にも見せたくない

触らせたくない

喋らせたくない





そして行動に移すことにした。


「ねぇ、こんなところに呼び出して何?どうしたの?」


コテっとあざとく首を傾げるあなた。

男女構わず人気者。だからすぐに誰かにさらわれそうで怖い。


「あのね…私だけの人形になって?」


私は後ろで隠していたロープをあなたの首にかけながら伝える。


「え?………………なんていうと思ったかこのメスの分際で命令?お前にそんな資格ねぇっつーの!!」


ロープはいつのまにか私の手首に巻きついてて、腹部に痛みがズキズキと走り回る。


「お前と付き合ってたのはこのため。」


目の前に投げ放たれたのは数枚の四角い紙。その中央には私の顔や姿がたくさん載っていた。


「いや〜、意外と高値で売れてさ!!アハハッ、お前がなかなか使えるメスでよかったよ!

あ、この姿もいいんじゃん。」


シャッター音が聞こえ、嘲笑するあなた。

私の知らない姿だった

こんな人だなんて知らなかった

私のことを見下して、蹴りを入れ続けてくる








やっぱり……












「人形にして観察したいです。」

「せいぜい俺の手の上で転がってろ。」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『…zzzz』

本を閉じ、視線を上へと移動させていくと館の主が座りながら船を漕いでいた。

口調の大人っぽさとは裏腹に顔は幼く小柄。まさに子供だ。


『人の寝顔を観察するなんていい趣味してらっしゃいますね。』


パチッと目線が重なった。いつも以上に微笑み方に恐怖を感じ、一目散に今日は館から飛び出す。


『またのお越しを』


そして一冊の本は消えた。

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