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その目に映るのは  作者: 千代
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ソラシド

『お待ちしておりましたよ。今回は少し明るいお話にしましょうか?2冊とも少し暗かったですからね。』


館の主は本棚に向かって人差し指を立てながら探す。すると指がぴたっと止まり1冊の本取り出した。

それは空色の表紙に青い文字で「空シド」と書かれていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


俺の名前は笹野 熊猫。え?名前が読めない。しょうがない!教えてあげよう。ささの ……ぱんだです。

おい!そこ笑うなよ。両親が流行りのキラキラネームに挑戦したらこうなっちゃったんだ。パンダは可愛いけどさ…、キラキラしてねぇだろ…。


「おい、見ろよあれ。なんか1人で自己紹介してる変なパンダがいる〜。」

「俺、あんな奴とは関わりたくないわ〜。」



ちょっと待て。変なパンダってなんだ。パンダじゃないよ、ぱんだだよ。


「そこの2人待てや!このお菓子やらねぇぞ!」


先ほどコンビニで買ったスナック菓子を印籠の様に俺は掲げて見せる。


「ぱんだ様!」


はい、1名釣れました。目が輝いちゃってるよ。あ、あいつらの紹介してなかったな。お菓子に釣られたこのちっさいのは平城 真。


「まことおおおおおおお!クソ、お前の敵は俺が討つからな。」

「いや、俺生きてるし。勝手に殺すな。」


叫んでるのが鈴井 希弥斗。こいつは俺と同じ被害を受けた。名前をよく読んでみてください。なんということでしょう!

希弥斗→きやと→キヤト→キャト

両親は「っ」も入れたかったそうだ。catだな。猫だな。ฅ•ω•ฅニャー

しかも猫目なので更に猫っぽい。


「誰が猫だ!」

「お前以外いないだろ…。」

「真!生きていたのか!!」

「だから死んでねぇえええ!!」


今日も元気そうだな。てか、元気すぎてうるさい。俺は2人を見ながらため息をつく。


「なになになに?恋の悩みですか?」


急に食いついてきた希弥斗。そうだ、こいつモテるんだった。もう目がアドバイスしてやるぞって言ってるよ。ドヤ顔だよ。

イラつくな。


「どうせ希弥斗のせいだろ。

それにぱんだに限って恋とか無いな。」


真さんや。当たってるけど、一言余計だったね。俺でも恋するし!!少しぐらいモテるもん。


「うわ、もんとか…。」

「そうだよな、お前はモテるよな。動物園じゃ人気者だもんな。」

「ねぇ、泣くよ?パンダじゃない…」


その時、遠くでよく耳にする音がした。平日に毎日のように聞いてる音。真は気付いたようで俺と同じように仏のような顔をした。あ、悟りをひらけそう。

忘れていたが俺達は登校なうだったのだ。希弥斗は首を傾げる。

……分かってねぇだと!?


「終わったな…」

「だな…」

「え?なに?」


もう走っても間に合わなさそうだ。朝から先生に怒られるとかめんどくさいなぁ。しょうがないか。俺はある1つの計画が思い浮かんだ。


もし自分より遅刻した人がいたら先生はどうするだろう…。結論、俺が怒られる時間がそいつにいく!!

俺は真とアイコンタクトをする。どうやら、俺の考えてることは伝わったようだ。


「なあ、希弥斗。今日の空見てみろよ。」

「そういや雪降るらしいぞ。」


希弥斗は空を見上げる。雲一つ無い快晴。その瞬間を俺と真は逃さなかった。学校へ猛ダッシュ。


「え?まじで?!ん?晴れてんじゃん。

って、待てやあああああ。しかも今は夏じゃねぇか!!」


この方法は希弥斗になら何度でも使えます。これで10回目です。馬鹿だな。結局、希弥斗の足が速すぎて3人ともめっちゃ怒られました。


しかし放課後、空からは白いふわふわしたものが降っていたとか…。


「う、うそだろ…。」

「嘘だよ☆」

「何回引っかかるんだよ、馬鹿希弥斗」


空嘘





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


裏表紙には少年が3人が笑いあってる絵が描かれていた。

『読み終わりましたか?』

顔をあげると近くの机にハーブティーが置かれていた。湯気はゆらりと揺れている。部屋がハーブの香りに包まれていく。


『1杯どうですか?今日はお時間が少しあるので…。』


お言葉に甘え、ハーブティーを1口、口に含む。リラックスしてしまったからか、本に集中したからか、睡魔が襲ってきた。重たいまぶたに逆らえず、そのまま眠り落ちた。


『……さい。…きてください。』


いつの間にか眠ってしまっていたらしい。館の主に肩を叩かれ目を開ける。机の上に置いてあった本はなくなっていた。


『そろそろお時間ですよ。ここで寝ては風邪をひいてしまいますよ。』


まだ冴えてない頭を動かし、足を扉へと進める。扉を開け、振り向くと館の主と本が無くなっていた。


おそらく寝起きでぼんやりしてたから見間違えたのだろう。再び見てみると、そこには微笑む館の主とたくさんの本があった。


『またのお越しを。』




To be contenued









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