表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
その目に映るのは  作者: 千代
3/20

君のこえ

『また来て下さったんですね。

お待ちしておりましたよ。』


館の主は前と同じように一冊の本を差し出した。それは淡い桃色をしていて白の文字で「君のこえ」と記されていた。



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


モテ期は3回来ると聞いたことがある。私には関係の無い話だ。これは私の推測にすぎないが、3回というのはモテる女子とモテない女子の合計の

モテ期を平均化したものにすぎないのではないかと思う。現に私にモテ期は来ない。




偶然見てしまった彼の横顔。いつもはそれが見れるだけで幸せだったのに、あの日から何も感じなくなっていき、今は見たくなくなった。



君はあの日、クラスの女子と話していた。

…でも、女子の目が違った。チラッと私は目が合ってしまったのだ。

『奪い取ってやる』って睨んできた。君は気付かずにその子と話していたよね。

日に日にその子との時間の方が長くなって、私の場所が薄れていくのを何も出来ず見ていた。



「もう無理だよ、別れて。」

私は君に告げる。

「え、なんで?」

驚いた顔をして立ち尽くす君。

私は更に告げる。

短い間の幸せの感謝を込めて


「さようなら」


君の大きな手は私の腕を掴もうとする。

「待てよ!!」


パシッ


私の手は自然と君の手をはたいていた。自分でも驚いた。心のどこかで拒絶していたんだね。

なら、もう怖がることはない。

悲しむこともない。




「私は君のことが大嫌……え?」

私の制服はジワリと染みが広がっていく。腹部に痛みが走る。


ねぇ?君の手にあるものは何?

「なんでよ…。俺から離れてくなよ。」

君は下を向いて手に力を込める。

ハサミが私の腹部を抉る様に進んでく。私は意識が朦朧とする中、膝をつき君の腕を掴む。


「俺のことが嫌い?ねぇ、どこが?

約束したじゃん。



ずっと一緒だよ。って」


なんで君は楽しそうに笑ってるの?

あれ?なぜ私も笑っている。


そうだ…忘れてた。





君のくれるこの痛み




そして君のそのこえによって作られるその言葉












「私は大好きだよ。ずっと…」


綺麗な紅の花はいつまでも


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『どうでした?』

声のする方向を向こうと本を閉じ、顔をあげるとそこには館の主の顔があった。

『恋愛は人それぞれですからね。本の題名で印象は決まるものですが、それはあくまで読者の予測への光ではありませんよ。』

ニコリと微笑む館の主。

そしてこの前と同じ様に本は光を放ち消えた。


『やはり本も喜ばれたのでしょう。

あなたとの出会いを。

さて、生憎ながらもうお時間が…。

また来てくださるのをお待ちしていますよ。』


To be contenued

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ