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死の世界  作者: アキラ
7/7

最終道

「お~い、どこに行きやがったぁ!!」

遠くからあの男の声が鮮明に聞こえてきた。

男は銃を上空に向けて何度も発砲をしながら、

こちらへ一歩ずつ近づいてきていた。


私はもうこのままでは捕まって酷いことをされてしまうという確信を抱いていた。

しかし、先ほどから体力が限界に達してしまったのか一歩も動くことは叶わずに、

木影の裏に隠れているところだった。

このまま気付かないで。と必死に懇願するのだが足音は近付いてくる。

途方もない恐怖が私の体を襲い、ガタガタと震えてしまう。

(もう嫌!!なんで私がこんな目に合わなきゃいけないの?)


すると、突然男の足音が遠ざかっていった。

しかし、不自然なのはそのスピードだった。

どう考えても走って逃げている。そんな音が私の耳に届いてくる。

まるで彼自身も何かに追いかけられているのではと感じてしまうほどだった。


そして私は、この隙に逃げなければもうチャンスはないだろうという確信を抱いた。

しかし疲労困憊の足、それに全身が痙攣しているこの状況下では

立ち上がるのも困難であり、どうにか震える足を思い切り手でたたきながら、

木に手を着きなんとか立ち上がった。

そのままゆっくりと足を踏み出していった。



何時間歩いたことだろうか

途中から足の感覚がなくなって、おそらく座ったら

もう一生立てなくなってしまうのではと思うほどになってしまっていた。

全身の震えもいつの間にか消えてなくなっていた。

というかむしろ全身の感覚すらない。

いま私が感覚を持っていると思えるのは、頭だけだった。

まるで昔映画で見た機械に脳みそだけを埋め込まれたサイボーグのように、

私の体は動いているはずなのに、知覚できない。

(あ、そうか!!私はもう・・・)



「いや~、実験は成功ですね。」

「あー。そうだな!!

人間の脳だけをつないだロボットに身の毛がよだつ映像を

見せたらどういう反応をするのか、知りたかったんだよなぁ。」

「本当にラッキーでしたよね。まさか修学旅行中のバスが崖から転落して、

その結果頭部以外が欠損した死体がこんなにも出てきたんですから。」


研究者らしき2人はそう言いながら、自分たちの周りを見渡した。

するとそこには100個は優に超えるであろう脳そのものが

ロボットの頭部に装着されていたのだ。

そしてそのロボットの頭上にあるスクリーンには

学生らしき男女の色々なシーンが映し出されていた。

あるスクリーンは

恋愛映画のように男子生徒と女子生徒が手を繋いでいるシーンが流され、

他には女子生徒が人の心臓に包丁を刺しているシーンや

仕事で成功しているシーン、子作りに勤しんでいるシーン、

アクションスターのように戦っているシーンなど様々な光景が映し出されていた。

だけどその中でも一番研究者の2人が興味を引いている映像は、

少女が色々な恐怖をその身に味わい、必死に逃げていくものだった。

「あ~。本当に人間という生き物は面白い。

おそらくこの少女はまだ自分が生きている。

そう思いながら自分の命を守るために逃げているのだろう。

好きな人のことまで思い描いちゃって、実に滑稽で哀れだ。

だがこの実験のおかげで人間の様々な感情を分析することが可能になった。

この研究の結果があれば、私は人間の頂点に立つことだって夢ではないかもしれんな」


研究者は不気味な笑い声をあげた。

そこにいる修学旅行に来ていた生徒の脳を嘲笑うように・・・



スクリーンに映し出されている少女はこの先ずっと、

得体のしれない恐怖から逃げ続けなくてはならない。

しかし、本当に怖いのは人間だ。

人間は自分の欲望を叶えるためには他人を何のためらいもなく犠牲にし、

非人道的行為で人を死に追いやることもある。

まさに死によって世界は成り立っていると言えるのではないか。


fin


これにて「死の世界」は終了となります。

今まで読んでくださった方々、どうもありがとうございました。


最後に私はホラー作品が書けないということがよく分かりました。

最終回はあらかじめ決めていたんですが、どうもそこに行きつくまでのホラー描写がうまくいっていなかったと思います。

まあ、だからと言って最終回も最悪と言っても過言ではないと思います( ;∀;)

私自身、ホラーが超苦手なので、しょうがないですけどね!!


本当にこれまでこんな読み苦しい作品を読んでくださった方々には感謝しかありません

ありがとうございました<m(__)m>

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