第3道
これでやっと帰れる。そう思うがどうしても安心できない。
運転手さんは私をトラックに載せてくれたけど、何も言ってはくれない。
私の脳裏にはある言葉がどんどん濃く浮かんできていた。
もしかしてこれは「誘拐」なのでは?いやもしかしたらこのまま人身売買されるかもしれない。
突然、自分がこのトラックに乗ってしまったことが怖くなってきて
降りないと、降りないとと感じるようになった。
私は意を決して運転手さんに声をかけた。
「あ、あのすみません!!やっぱり降ろしてください!お願いです」
運転手さんはそのまま無言で運転を続ける。
次第に私の中に恐怖が募っていった。もうこうなったら。そう思い
近くにあった運転手さんのペットボトルを取り、すぐにふたを開けると、そのまま運転手
さんに浴びせかけた。そしてその隙にドアをこじ開け、外に飛び出した。
走っているトラックからいきなり道路に飛び出したせいか、足を擦りむいたが
トラックが少し進んだ後、いきなり止まり、中から顔を真っ赤にした運転手さんがこちら
を視界に入れたのが分かったから、痛かったけど、立ち上がって道路わきに茂る森へと
飛びこんだ。
坂になっていたみたいで、私はすごいスピードで落ちて行った。