男2女1★名無し君の不始末・番外特別編★瑠璃×夢★その1★40分
名無し君の不始末・番外編
■キャスト 男2女1(※男3女1でも可能)
★黒凪 夢
ヒロイン。黒髪長髪。黒目。心優しいお姉さん。二十~二十五歳。素直で真面目。優等生。
★カズマ・瑠璃
関西弁。二十~二十五歳。灰色の短髪。面倒臭がりだが、基本的には真面目。ぼーっとしていることが多いが、いつでも思考は止まらない。
ほとんど笑わない。素っ気ない。ぶっきらぼう。愛想が無い。
ポーカーフェイス。
地球の海底都市、日本国東京都市にて、飲食業を経営する店長の手伝いをしている。
★店長
オカマ。メイド服を着ている。色白。三十代後半~四十代後半。本名、頼存 裕翔。顔面は濃い。
地球の海底都市、日本国東京都市にて、飲食業を経営している。コスプレが趣味。テンションがいつも高い。ぶりっこ。
(※ジョーカー役と兼ね役可能)
★ジョーカー
本名、ジョルド・ルーティ。黒い狐の面を着けている、黒装束の青年。謎に満ちている。二十五~三十代前半。
(※店長役と兼ね役可能)
※にゃんこたちの声は出演者全員でお願いします。
■役表
夢:
瑠璃:
店長:
ジョーカー:
※店長とジョーカーは兼ね役可能。
【開幕】
ジョーカー:ほとんどの大地が海に沈没した、何千年も先の未来。……それは現実だ。
……地球。人々は、地底で生活していた。発達した科学の力によって、人間たちは、何不自由なく暮らしている――未来。
店長「瑠璃ちゃ~ん。今日から社員研修でこの店舗に配属された、夢ちゃんよ」
夢「はじめまして。黒凪 夢と申します」
瑠璃「っ……」
夢をじっと見つめている瑠璃。一目惚れしてしまう。
夢「?」
店長「じゃあ、夢ちゃん。あたしは買いだしに行ってくるから。基本的なこと瑠璃ちゃんに教わってね」
夢「あ、はいっ」
店長「いってきま~す! 仲良くね~」
手を振って見送る。
夢「……えっと」
瑠璃「襟」
夢「え?」
瑠璃「よれとる」
夢「あっ! あっ」
瑠璃「そっち向き」(直してあげる)
夢「……訛りがあるんですね」
瑠璃「関係ないやろ。これ、マニュアル。時間ある時読み」
夢「あっはい!」
瑠璃「衣装は変なんが多いけど」
夢「え? いや、可愛いですよ! メイド服!」
瑠璃「……営業自体は普通の喫茶店と一緒やから。お客さん第一」
夢「はいっ」
瑠璃「酒も多少売っとるけど」
夢「ビールですか?」
瑠璃「未成年には売らんよう、気ぃつけ」
夢「はい」
瑠璃「キッチンは、あんたがホール慣れるんまで、俺か店長か、他のメイド店員が入るから。とりあえずは接客」
夢「はいっ」(メモ取る)
瑠璃「……メモ取るん?」
夢「え。はいっ」
瑠璃「真面目くさ」
夢「えっ」
瑠璃「ええけど」
夢「メニューは、……これですか?」
瑠璃「ああ。お得意さんは顔覚えてな」
夢「はいっ」
瑠璃「わからんことは何でも聞き」
夢「はい」
瑠璃「これ、インカム」
夢「? つけるんですか?」
瑠璃「ああ。マイクの所のボタンを押しながら、卓番とメニューを正式名称で、個数と一緒に言う」
夢「えっと……」
瑠璃「こう。ここで調節」
夢「あ、はいっ」
瑠璃「やって」
夢「えっと……」
瑠璃「禁煙のエリアはA、喫煙はBでカウンターがC、個室は特別やからS」
夢「この席は……」
瑠璃「Aの3卓」
夢「あ、テーブルの横に書いてあるんですね」
瑠璃「接客、前もやっとったんやろ?」
夢「はい。小さな喫茶店でアルバイトしていたこともあります」
瑠璃「お客さんに呼ばれたら、お伺いします、言うて。席行くときに、このボタン押してすぐに卓番言う」
夢「Aの3卓さん!!」
瑠璃「もっと小声でもええ」
夢「えっ、あ、はいっ」
瑠璃「じゃあ……えーと、お客さんが、ラーメンください言うたら」
夢「ラーメンあるんですか!?」
瑠璃「あるなぁ」
夢「喫茶店なのに?」
瑠璃「意外と何でもあんねん。店長がな、料理まじで好きやから」
夢「あっ。これっ食べたいですっ」
瑠璃「あんた肉食なん?」
夢「えっ」
瑠璃「賄いで頼めば何でも作れんで」
夢「あっ、たこわさ!」
瑠璃「……好きなん?」
夢「はいっ! おつまみが好きで……」
瑠璃「ボタン押して、喋る」
夢「ラーメンお一つ!!」
瑠璃「大声でなくても音拾うから」
夢「はっ」
瑠璃「で、注文終わったら耳の近くの……ここ、押し」
夢「はいっ」
瑠璃「すると、厨房のあそこ。オーダーパネルに表示されんねん」
夢「おーっ」
瑠璃「滑舌良く言わな、変な文字出てくんで」
夢「凄い! 私が前居た所は全部手書きオーダーシートでした!」
瑠璃「それは今のこの時代にどうなん? 紙って逆に貴重やろ」
夢「ですよね。でも、店長のこだわりだったんです」
瑠璃「ふぅん」
夢「瑠璃さんって、意外と喋るんですね」
瑠璃「仕事ん時はな」
夢「どこに住んでらっしゃるんですか?」
瑠璃「二番街」
夢「えっ、私九番街です!」
瑠璃「は? むっちゃ遠いやん」
夢「でもテレポーター使ってますから! ばびゅーんって」
瑠璃「雨の日は使えんやろ?」
夢「そこが難点なんですよね……。泳げない距離じゃ無いですけど……」
瑠璃「海ん中瞬間移動すんのやから。雨ぐらいしのげって思うけどな」
夢「ですよね。まあ、管理している衛星の影響だと思いますけど……」
瑠璃「日本、雷多いしな」
店長「たっだいま~! 大変よっ! 大変タイヘ~ンっ!」
瑠璃「店長」
夢「おかえりなさい!」
店長「上。凄い豪雨みたいよ!」
瑠璃&夢「えっ」
店長「やだわぁ~。水位が変わっちゃうと、お家の場所が移動したりしちゃうでしょ?」
夢「ええっ!?」
瑠璃「店長、ダルマ住宅やから」
夢「ああ……。水槽の」
店長「今日はお客さん来ないだろうし。お店閉めちゃうわ。ごめんなさいね、夢ちゃん、折角のデビュー戦がぁ」
夢「いえいえ! お気になさらずっ! 雷だと、お客さんも少ないでしょうし」
瑠璃「店長、庭でいっぱい犬飼っとるしな」
夢「えっ! 犬ですか!?」
店長「そうなの! うち、4番街だから、雷の影響受けやすいのよ!
ごめんね、あがらして貰うわあ! お先に~! また明日ねっ! 明日は晴れるみたいよ~!」
夢「おっお疲れ様です!」
店長「瑠璃ちゃん戸締りしっかり!」
瑠璃「はいはい」
慌ただしく出て行く店長。
瑠璃「……で」
夢「あ~……どうしよう」
瑠璃「今後だってこういう時あんねんで」
夢「わかってますけど……」
瑠璃「店は泊まらんほーがええで」
夢「え?」
瑠璃「幽霊出んねん」
夢「えっ」
瑠璃「あと隣、病院とキャバクラやから」
夢「えっ」
瑠璃「いつもうっさいし夜ここ灯り点けてっと勝手に酔っ払いとか脱走した入院患者やなんや色々入ってくんねん」
夢「ええええ~っ!?」
瑠璃「女一人はやめといたほーがええ」
夢「そ、そうですね」
瑠璃「手持ち、あるん? 二番街にあるホテル、高いで」
夢「えっ!? わわたしきょううううお財布家に忘れちゃってぇええ」
瑠璃「はあ!?」
夢「ど、どうしよう」
瑠璃「っ……」
夢「はぁ……。天気予報見ておけばよかった」
少し間を置いて。
瑠璃「うちくる」
夢「えっ?」
瑠璃「猫が死ぬほどおんねんけど」
夢「え! ねこすきです」
瑠璃「マンションの空き部屋、ベッドとかついとるから。一日だけ借りられへんか聞いてみるわ。多分平気なはず。……とりあえず着替えてき」
夢「ははいっ」
瑠璃「……」
瑠璃が住むマンション。
瑠璃「あかん。大家さんもう寝てるみたいや」
夢「えっ!? まだ七時ですよ!?」
瑠璃「ん~」
夢「ど、どうしよう」
瑠璃「まあしゃあないからとりあえずうち入り。そこ。102」
夢「あっはいっ」
指紋認証と、瑠璃の頭部スキャンをすると、102号室のロックが解除され。ドアが勝手に開く。
瑠璃「ん。どぞ」
夢「お邪魔しますっ」
瑠璃「大家さんに、起きたら連絡くれ送信しといたから。起きたらどっかの部屋貸して貰えるよう言うてみるわ」
夢「すみません……」
にゃんこたち「にゃあ~」 にゃんこ「にゃあ~」
夢「わあ!」
瑠璃「おい邪魔や。通れへんやろ」 にゃんこたち「にゃお~? にゃ~」
夢「ふふっ。可愛い~」
瑠璃「珈琲紅茶緑茶ハーブティ」
夢「えっ」
瑠璃「どれ好き?」
夢「瑠璃さんと同じものがいいです」
瑠璃「そか。俺緑茶」
夢「あっ、私がやります!」
瑠璃「ん。水は冷蔵庫」
夢「コンロシステムのコマンドは」
瑠璃「LLDB23」
夢「あ、出てきました。ロック解除……と」
瑠璃「お茶葉……」
夢「は、これですね」
瑠璃「風呂どうする?」
夢「あ、お先にどうぞ!」
瑠璃「ん。貰うわ」 夢「はいっ」
数時間後。
たっぷり間を取って。
瑠璃「……いつもはこのぐらいの時間に一回起きるんやけどな」
夢「大家さんですか?」
瑠璃「ああ」
夢「気長に待ちます」
瑠璃「飯まで作ってもろて、悪かったな」
夢「え、いえ。雨宿りさせていただいてますからっ。なんちゃって」
瑠璃「雨宿りか……。店長あかんかな」
夢「四番地と七番地は、水位が変わるとずらされちゃうから大変ですよね」
瑠璃「まあアトラクションや思えば楽しそうやけどな」
夢「ふぁぁ……」
瑠璃「風呂入り」
夢「あっ、すみません」
夢を脱衣所に連れて行く瑠璃。
瑠璃「仕事慣れるまでは疲れるやろうけど」
夢「大丈夫です! おおふろっいただきますっ!」
瑠璃「ん。着替えとか適当に、……そこ。好きなん取り。タオルとかくし、何使ってもええから」
にゃんこたち「にゃあ~」
夢「ふふ。はいっ。え~と、温度の……ダイアル……。あ、これ、か。えーと、お風呂っ! ……ヘッ!?!?」
瑠璃「なん?」
夢「凄い大浴場じゃないですか!」
瑠璃「あー」
夢「レンタルですよね?」
瑠璃「ん、勿論」
夢「へえ~。いいなあ。私もお風呂のプログラミング、ちょっといじってみようかなぁ」
瑠璃「効能いいやつやとちょっと金かかんねんけどな」
夢「あ、やっぱり。まぁそうですよね」
玄関のチャイムが鳴る。
店長役「ピンポーン!」
瑠璃「ん」
夢「大家さんでしょうか?」
瑠璃「……はい」(玄関を開けながら)
店長役(配達員のお兄ちゃん)「コンバンハ! カズマ・ルリさん
ですか! お荷物お持ちしました! サインお願いします!」
瑠璃「ああ、はい」(サインして)
瑠璃「……どうも」
店長役(配達員のお兄ちゃん)「ありがとうございます~」
夢「?」
瑠璃「なんやろ。宛名書いとらん」
夢「何が入ってるかも書いてないんですか?」
瑠璃「せやな」
夢「重たそうですね」
瑠璃「やや重いな」
夢「カズマ……」
瑠璃「ん?」
夢「カズマが名前ですか?」
瑠璃「なんで?」
夢「えっ。あ、いや、瑠璃もカズマもどっちもファーストネームっぽいので」
瑠璃「お前は?」
夢「えっ?」
瑠璃「名前ちゃうやろ」
夢「……ち、がう?」
瑠璃「ごめん。なんもない」
夢「瑠璃さん……」
瑠璃「あっ。開いた」
夢「ワイン?」
瑠璃「マルゴーとムートンか」
夢「わあ。私、五大シャトーってオー・ブリオンしか飲んだことないです!」
瑠璃「飲む?」
夢「えっ!? いあいあいあ! こんな貴重なもの!」
瑠璃「居合わせたんやから。運が良かったな。はよ風呂入ってき。あけとくわ。ブショネやったら笑えんけどな」
夢「は、はいっ! いってきますっ!」
夢、大浴場へ走っていく。
瑠璃「転ぶで。……ん、手紙? ったくどいつもこいつも、紙好きやな。……と思ったら。なんや、音声プログラム? えーと、再生……」
店長『大好きな瑠璃ちゃんへ! ん~まっ!! ちゅっ!』
瑠璃「やっぱ店長からか」
店長『お誕生日おめでとう!』
瑠璃「ありがと」
夢「たっ誕生日なんですか!?」(慌てて出てくる)
瑠璃「ブッ!! お、おま。タオルちゃんと巻けや!! 俺一応男やぞ!!」
夢「ハッ! す、すみませぇん……っ!」
瑠璃「風邪ひくやろ!」
夢「はいぃ」
瑠璃「ったく……」
店長『瑠璃ちゃん。いつも本当にありがとう。あたしのお店を守ってくれて。色んな手助けをしてくれて』
瑠璃「仕事やから」
店長『大好きよ』
瑠璃「うん」
店長『息子のように想ってるわ』
瑠璃「うん」
店長『新しく、黒凪 夢さんという方を先日、ヘッドハンティングしました★ とってもいいこよ! これでようやく、和装メイドさんのお店としてやっていけそうね!!』
瑠璃「あー」
店長『瑠璃ちゃんにも、袴や浴衣、褞袍、十徳……色んな和装をして貰えるようになるわ!』
瑠璃「そっか」
店長『楽しみよおおおお! それじゃあまた、お店でね! てんちょーより、愛をこ・め・て』
瑠璃「……うん」
三十分後。
たっぷり間を取る。
瑠璃「夢」
夢「はいっ! あっ。お風呂、ありがとうございました!」
瑠璃「……なぁ、九番街にも喫茶店くらいあるやろ? なんで、うちにしたん?」
夢「制服が可愛かったので!」
瑠璃「制服……?」
夢「店長さんが着ていたやつです!」
瑠璃「ああ。セーラー服な。あんなん着たいん?」
夢「ほんとに可愛かったから……」
瑠璃「他に理由ないん?」
夢「えっと。店長さんが、たまたま、私が先日まで働いていたお着物屋さんにいらっしゃって……」
瑠璃「それどこ?」
夢「六番街です」
瑠璃「うんうん。そか。で?」
夢「えっと、それで……。私がお見立てしたんですけど。……回想すると、ですね……」
回想!
店長「あああっあなた、おなまえは!?」
夢「へ。黒凪、夢、です」
店長「夢ちゃんっ!」
夢「はい?」
店長「あなたは私の天使よ! 和装エンジェルツイスターハート!」
夢「って訳でした」
瑠璃「意味わからんのやけど」
夢「……もう結構遅い時間になっちゃいましたね」(時計を見て)
瑠璃「連絡こーへんな……大家さん、死んでるんちゃうか」
夢「ええっ!?」
瑠璃「いや、んなことない思うけど」
夢「もう一回大家さんのお部屋、行きますか?」
瑠璃「んや。ええ。お前あっちのベッドで寝ぇ」
夢「え?」
瑠璃「部屋鍵ついとるから。ほれ」
夢「瑠璃さんはどこで寝るんですか!?」
瑠璃「ここ?」
夢「コタツで!?」
にゃんこたち「にゃあ~」
夢「風邪ひいちゃいます!」
瑠璃「へ~きやって。んじゃおやすみ」
夢「まままま枕取って来ますっ!」
瑠璃「いらんて。はよ寝ぇ……。ふぁ……」
にゃんこたち「にゃあああ」
夢「わ、わかりました……」
にゃんこたち「にゃああー」
夢「あっ。わっ、瑠璃さんっ。ねこさんたち、ついて来ちゃうんですけどっ」
にゃんこたち「にゃあにゃあ」
瑠璃「んん……」
夢「お、おやすみなさい……」
にゃんこたち「にゃあにゃあ……」
瑠璃「ん……?」
朝。夢が寝ている部屋から、何か物音がする。(夢役、何かを不規則に叩く)
瑠璃「なんや? ……夢? おーい」(夢が居る部屋のドアをノックして)
瑠璃「っ? あれ、開いとる……。なんや、ちゃんと鍵かけなかったんか?」
夢「すかぴー」
瑠璃「夢!? おい、ゆめ!」
扉に頭を打ち付けながら眠っている夢。
夢「鯛焼きたべたいれす……」
瑠璃「はぁ?」
夢「おきてましゅ……」
瑠璃「いやお前寝とるな!?」
夢「あい」
瑠璃「寝相悪いんか……」
夢「ねてまちた……」
瑠璃「はぁ……。まあいいか」
にゃんこたち「にゃあにゃあ~」
瑠璃「腹減ったか?」
にゃんこたち「にゃ~」
瑠璃「ん。メシつくんな」
瑠璃、夢を抱っこして。ベッドに連れて行く。
瑠璃「よっ……と」
夢「たこやこ」
瑠璃「たこやこ?」
にゃんこたち「にゃ~」
瑠璃「っ。……メシ作れたら、また起こしに来るわ」
夢「あい」
瑠璃「よしよし」
夢「もっと……ふぁ」
瑠璃「……可愛い奴」
夢の額にキスをする。
【メイド喫茶】
店長「夢ちゃ~ん」
夢「はぁ~い」
店長「はい。本日の賄いっ!」
夢「わあ。親子丼! いい薫りですねっ!」
店長「ユキちゃんとミキちゃんにホール任せていいから。先に瑠璃ちゃんと二人で休憩取っちゃって?」
夢「わかりました! 瑠璃さ……」
瑠璃「なん?」(いつの間にか、夢の真後ろに居て)
夢「ひゃうっ!?」
瑠璃「ぷ。人の気配くらいそろそろ感じ取れるようになり」
夢「い、いや、瑠璃さんはいつも神出鬼没なんですよ!」
瑠璃「そか?」
店長「ふふ。仲良しさんね~」
夢「えっ」
店長「いつも帰るのも一緒だものねえ~」
瑠璃「途中までは一緒やから。ほら、夢。そっち、茶持って」
夢「ははははいっ。休憩いただきますっ!」
瑠璃「……夢?」
夢「はひ?」
瑠璃「ちょお顔赤ないか?」
夢「ふぇ?」
瑠璃「体調悪いんやったら、我慢せんと言うんやで」
夢「は、はい」
瑠璃「ん。よしよし」
夢「……あっ。そうだった。今日も作って来たんですよ! デザート!」
瑠璃「ん?」
夢「じゃ~ん。今日は三色ゼリーでーす」
瑠璃「おお」
夢「食べますか?」
瑠璃「親子丼食い終わったらな」
夢「あむ……」
瑠璃「先に甘いもん食う?」
夢「別腹なのでっ!」
瑠璃「冷めるで」
夢「ふふっ。瑠璃さんも食べてくださいね。ほら。あ~ん」
瑠璃「はむ」
夢「あっあれっ?」
瑠璃「うん。ウマイ」
夢「っ! ふふっ。親子丼、いただきますっ! あむ」
瑠璃「……夢、あんさ」
夢「あむあむっ。はむっはむ!」
瑠璃「男子高校生の早弁やないんやから……」
夢「はひ?」
瑠璃「ご飯粒ついてんで」
夢「お、えっ」
瑠璃「ったく……。ほっとけへんな」
夢「あむあむあむっ。はむっ!」
数時間後。
店長「お疲れ様~」
瑠璃「お疲れさんです」
夢「お疲れ様ですっ!」
店長「じゃあね、夢ちゃん! 明日はいよいよ和装パーティね! よろしくね!」
夢「はい! 早めに出勤するようにします!」
店長「……んー。今日も一緒に帰るの?」
瑠璃&夢「えっ?」
店長「付き合ってるの?」
夢「えっ、いや、あのっ」
瑠璃「俺、職場恋愛反対派なんで」
夢「あ……」
店長「そ? あたしは別に気にならないけど。二人なら、お似合いだって思うけどね? ふふ」
夢「えっ」
店長「お疲れ様~」
瑠璃&夢「……」
夢「職場恋愛、経験済みですか?」
瑠璃「なん」
夢「ふふっ。いえ。行きましょ」
瑠璃「うん」
夢「明日ほんと、楽しみだなあ。帯、奇麗に巻けるといいな……」
瑠璃「創作和菓子も頑張って研究しとったもんな。抹茶もかなりいい感じやったし……」
夢「はいっ! お陰様でとても可愛くて美味しいのが出来ましたっ!」
瑠璃「なん、俺は買い物手伝ったりしただけや」
夢「いえいえ。生地作りとかも。色々手伝って下さったじゃないですかっ! 助かりました。ありがとうございましたっ!」
夢が笑うと、胸が軋む瑠璃。胸が高鳴る。
瑠璃「ぁ……んま……っ」
夢「えっ? あっ! あそこのショーウインドウ、ちょっと気に入ってるんです! 少し見てもいいですか?」
ショーウインドウのあるお店の前に駆けていく、夢。
瑠璃「……かわいすぎや……」(呟いて)
夢「……っ。可愛いな。やっぱり。……欲しいけどでも高いなぁ」
瑠璃「なん? 靴?」
夢「あ、はい。私、赤い靴が大好きで……」
瑠璃「買えばええやん。まあ靴ならこんなもんやろ」
夢「いえっ! 最近服とかコスメにもお金かけちゃって金欠中なので! もう今月はこれ以上贅沢出来ないんですっ!」
瑠璃「そうなん? ……履くだけ履いてみれば」
夢「えっ?」
瑠璃「中はいろ」
夢「ちょっちょっ、瑠璃さんっ!」
瑠璃「すみません、」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「はい。いらっしゃいませ!」
瑠璃「あそこに飾ってある赤い靴、履いてみたいんですけど。この子が」
夢「瑠璃さん、いいですって!」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「お嬢様。履くだけならタダですから。さあどうぞ」
瑠璃「ほらどうぞ」
夢「あうううううう」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「こちらにお座り下さい」
瑠璃「観念せい」
夢「うう……」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「失礼致します。……サイズは23.5ですね?」
夢「えっ? あ、はい」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「すぐにお持ちしますので少しお待ちください」
その場を離れる店員さん。
夢「見ただけでサイズがわかるなんて凄いですね!」
瑠璃「ベテランなだけやろ」
夢「もう! 誰のことも褒めないんだから!」
瑠璃「? 褒められたいん?」
夢「そ、そりゃあ……」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「お待たせいたしました。失礼致します。っ……さあ、如何ですか?」
夢「わっ。ぴったり! 可愛いです!」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「新作なんですよ」
瑠璃「……」
夢「ど、どうですか?」
瑠璃「服には合うとるな」
夢「もうっ!」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「とてもお似合いです」
夢「あ、あの、本当に可愛いんですけどすみません! また来ます!」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「左様でございますか。かしこまりました」
夢「はぁ……」
瑠璃「むっちゃ似合うとったけど」
夢「え?」
瑠璃「誰かに買われてまうかも知れんで」
夢「い、いいんです。だって本当にお金ないですし……」
瑠璃「……そか」
夢「じゃあっ。お疲れ様でしたっ」
瑠璃「夢」
夢「はい?」
瑠璃「また……泊ま……」
夢「また?」
瑠璃「……や。なんもない。じゃ」
夢「? はい」
【メイド喫茶】
店長と夢が、一緒に休憩を取っている。
店長「やだあっ!? やっやっやだあっ!? 気付かなかったーっ!」
夢「ほんと!」
瑠璃「なん? 客席まで丸聞こえなんやけど……」
夢「あっ。すみませんっ!」
店長「フフフ……フフフフッ……」
夢「店長?」
店長「夢ちゃん! 嘘よ! 本当は気付いていたのっ!」
夢「ええーっ!?」
瑠璃「なんなん? もうちょい静かにし……」
店長「夢ちゃんとアタシの誕生日が一緒ってこと!」
瑠璃「えっ?」
夢「本当に偶然ですね!」
店長「ウフフッ! ふふふふふふふふふふ……」
瑠璃「誕生日、いつなん?」
夢&店長「今日」
瑠璃「は? ……先に言えや!! なんで賄い作る前に言わんのや!」
夢「えっ?」
瑠璃「お前もお前や! 卵雑炊なんてよくも頼みおって!」
夢「私今日ちょっとお腹の調子が悪くて……」
店長「適当に作ったにしては美味しかったわよ?」
瑠璃「しばくぞ」
店長「ふふふ! あたしはちゃんと夢ちゃんに……コーレっ! ジャッジャーン! 夢ちゃんサイズの黒ビキニをプレゼントに買ってきましたあ!」
夢&瑠璃「!!??!!??」
瑠璃「なんで水着なんか……」
店長「モチロン! 今度のビーチフェスの為のメイド服よおっ!」
夢「仕事用ですか!?」
店長「夢ちゃんにもしっかりとファンがついてきたしねえ」
瑠璃「反対や! 絶対反対!」
店長「なんでよう。別に彼氏じゃないんでしょ~?」
瑠璃「ぐっ!」
夢「フリル可愛いですね!」
店長「でしょ~?」
瑠璃「駄目だ! ビーチフェス反対! やるなら俺は出勤せん!」
店長「ええ~っ!? そ、そんなあ~。瑠璃ちゃんにも水着買ったのにい。アタシわぁ……セクシーなハイレグよぉ~」
瑠璃「没収!」
店長「ああーっ!?」
【仕事終わり】
夢「ふふっ。あははっ」
瑠璃「笑いごとちゃうで……。まったく」
夢「でも。瑠璃さんがあんなに怒るの、珍しいですね」
瑠璃「たまにはな」
夢「ふふ……」
瑠璃「な。あそこの公園、寄ってかへん?」
夢「え? いいですよ」
瑠璃「俺ちょいトイレいてくるな」
夢「えっ。トイレなら公園にも……」
瑠璃「ブランコ座って待っとって」
夢「えっ! あ……はい。……?」
公園の中へ歩みを進め。瑠璃に言われた通り、ブランコに座る。
夢「……よいしょ」
野良にゃんこたち「にゃあにゃあ~」
夢「あっ。にゃこさん!」
野良にゃんこたち「にゃ~?」
夢「……明日も晴れるといいなぁ」
夢「……んー」
夢「明日は遅番だから……。朝ゆっくり出来るなぁ……」
夢「お洗濯しよっと……」
夢「……」(長めの鼻歌を歌って)
夢「う~ん。お腹の調子、やっぱり微妙……」
夢「すぅ、すぅ……」
眠ってしまう夢。
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「お嬢さん」
夢「すかぴー」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「お嬢さん。こんなところで眠ってしまっては風邪をひきますよ」
夢「う……?」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「こんばんは。美しいお嬢さん」
夢「あ、え、あれっ? 赤い靴の……」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「はい。先日は、ご来店頂き、ありがとうございました」
夢「えっ。あ、はいっ!」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「ご確認致します。黒凪 夢様でお間違いないでしょうか?」
夢「え、はい」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「良かった。ご購入して頂いた商品を、お届けに参りました」
夢「はい?」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「宅配サービスをやっているんです」
夢「あ、あの」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「さあ、おみ足を」
夢「えっ?」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「履き替えましょう。きっと今日のお洋服にも似合います」
夢「あ、あの、これって、もしかして、この間一緒に行った方が?」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「恥ずかしいから黙っ……あ、いえ。足長おじさんからです」
夢「買った人、どこに行きました!?」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「二番街の自宅に戻ると言って……あ、いえ。遠く、遠くだそうですよ」
夢「ありがとうございますっ!」
店長役(ブランド店の素敵な店員さん)「いってらっしゃいませ。お嬢様」
【瑠璃自宅】
店長役「ピポピポピポーン!!」
瑠璃「はい?」(玄関を開ける)
夢「っどうして何も言わずに帰るんですか!」
瑠璃「わっ!? め、メールしたやろ。いきなり腹痛く……なって!?」
夢「嘘つき!」
瑠璃「うっ」
夢「もう! こんなに高価なもの、頂けませんよ!」
瑠璃「ふ。似合うとるで」
夢「私が履いてた靴、店員さんに取られちゃったし!」
瑠璃「ええ?」
夢「かっ……可愛い、ですか?」
瑠璃「うん。むっちゃ」
夢「……ありがとう……」
瑠璃「晩めし、一緒に食わへん?」
夢「……食べます」
瑠璃「ん。どーぞ」
夢「お邪魔しますっ」
にゃんこたち「にゃあ~」
瑠璃「なんでも作れんで」
夢「お粥……が、いい、んです、けど」
瑠璃「はぁ!? お前今日誕生日やろ!?」
夢「わ~っ! だって~! お腹が~!」
瑠璃「ったく。わあった」
夢「すみませんっ」
瑠璃「今度。旨いもんぎょうさん作ったる」
夢「ありがとうございますっ」
瑠璃「好きなもん教えとき」
夢「お好み焼き!」
瑠璃「あー」
夢「あ、でも広島焼きなほうがお得感があって好きですっ」
瑠璃「主婦みたいな発言やな」
夢「瑠璃さんは?」
瑠璃「んー」
夢「お蕎麦とか好きそうですよね」
瑠璃「さん、っての、もうやめへん?」
夢「え?」
瑠璃「歳も同じやし……」
夢「さん付けなのが、イヤだったんですか?」
瑠璃「敬語も」
夢「敬語は……癖で……」
瑠璃「無理にとは、言わんけど」
夢「ううん。頑張ります。……瑠璃」
瑠璃「っ……」
夢「他に好きなものありますか?」
瑠璃「ゆめ」
夢「ん?」
瑠璃「すきなんやけど」
夢「えっ?」
瑠璃「夢のこと、俺」
夢「あ、あの……えっと……」
瑠璃「付き合いたい、思うとる」
夢「わ……私、と? ですか?」
瑠璃「うん」
夢「えっ……。職場恋愛は……」
瑠璃「無理やなぁ」
夢「っ……」
瑠璃「俺あそこ好きやし。夢にも辞められとうない。けど、……好きなんは、変わらんから」
夢「瑠璃……」
瑠璃「……なんやごめんな」
夢「ううん。嬉しいです。私も好きだから……」
瑠璃「えっ」
夢「ふふ」
瑠璃「夢……」
夢「でも。お付き合いはなし。ってことで、いいんですよねっ?」
瑠璃「え、あ、ああ」
夢「そうですよね。職場のみんなに変な気を遣わせるのもアレですし」
瑠璃「……うん」
夢「……」
瑠璃「……夢」
夢「はい」
瑠璃「今日は、一緒に……居たいな、なんて」
夢「……はい。いいですよ」
瑠璃「コタツで?」
夢「えっ!?」
瑠璃「はは。嘘。んじゃ飯食って、寝よか」
夢「はいっ。あ、私、お布団用意してきますね」
瑠璃「ん。寝室のクローゼットんとこ、布団もう一セットあるから」
夢「わかりましたっ。って……お布団あるんならこの間もちゃんと敷けば……!」
瑠璃「ああはいはいはいはい」
夢「もぉ……」
寝室へと歩いていく夢。
夢「え~と……」
にゃんこたち「にゃあ~」
夢「ごめんね、ちょっとお布団出させて下さいね」
にゃんこたち「にゃあにゃあ~」
夢「よい、しょっ!」
にゃんこたち「に゛ゃっ!!」
布団の隙間から、小さな書類が落ちてくる。
夢「ひゃっ! 何か落ちた……? えっ、これ、パスポート、かな? こんな所に置いておくなんて不用心……」
パスポートのようなものを拾い上げる夢。表紙を見つめて。
瑠璃「夢?」
夢「ふぁっ!? る、瑠璃」
瑠璃「なん? お粥、味噌と卵入れていいか聞こ思て」
夢「あっ。全然、大丈夫です……」
瑠璃「あー。適当に詰め込んどったから。色々落ちてもた?」
夢「瑠璃……。もしかして、ケテラス出身なんですか?」
瑠璃「え……。ああ……」
夢「どうして……」
瑠璃「言う必要無いやろ」
夢「……そうですよね」
瑠璃「お前のこと好きやから。言いとおなかった」
夢「え?」
瑠璃「お前らアイゼルのやつらは特に。俺ら北のリゼル民のこと、嫌いやろ」
夢「!? 私はそんな偏見ありません! 大人はみんな、昔からそう言ってたけど……でもっ」
瑠璃「ぷっ。大人って。お前も大人違うんか」
夢「えっ、あっ、あっ!」
瑠璃「くくく……」
夢「ち、違います! その、子供の時に!」
瑠璃「夢」
夢「は、はい」
瑠璃「もう一個、俺お前に黙っとったことあんねん」
夢「?」
瑠璃「……お前が、十数年前に死んだ、アイゼル城のクロム姫やってこと。俺は……」
夢「っ!」
瑠璃「ごめんな」
夢「い、いえ……。でも、どうして」
瑠璃「背中の……見てもうて」
夢「背中……?」
瑠璃「? もしかして気づいて無いんか? 背中の紋章……」
夢「紋章?」
瑠璃「見ても、ええ?」
夢「は、はいっ! あ、ち、ちょっと待って下さいっ」
瑠璃「ん。向こうむいとるから」
夢「……っ、……よいしょ……っ」
瑠璃「夢身体奇麗やから……つい触りとおなんねんな……」(聞こえないように呟く)
夢「えっ?」
瑠璃「……」
夢「っ。よっ。……瑠璃、どうぞ。見えますか?」
メイド服のシャツを脱ぎ。それを前で抱え。瑠璃に背中を向ける夢。
瑠璃「は……なんでや……」
夢「?」
瑠璃「この間はあったんに……」
そっと、夢の背中に触れる瑠璃。
夢「ひゃうっ!」
瑠璃「っ!? ご、ごめ」
夢「い、いえ! 手冷たいですねっ」
瑠璃「……っ」
夢を後ろから抱き締める。
夢「っ。る、るり?」
瑠璃「少しだけ。抱き締めさせ」
夢「……うん」
瑠璃「……ぬくい」
にゃんこたち「にゃー」
夢「あ、あの、少しって、どれくらいですか?」
瑠璃「……さんじゅっぷん」
夢「長くないですか!?」
瑠璃「短い……」
夢「っ! 瑠璃、寒いんですか?」
瑠璃「うっさいな」
夢「鍋、焦げちゃいません?」
瑠璃「!! やば!!」
キッチンに走っていく。
夢「ふふっ……」
ふとした瞬間。夢の脳内に、ジョーカーの声が響く。
ジョーカー『……クロム』
夢「っ? ……?」
【宇宙船エドガー】
目覚めるジョーカー。
ジョーカー「最悪……」
通信が入る。
ジョーカー「はい」
夢『ジョーカー?』
ジョーカー「ああ……。クロムか」
夢『その名前で呼ばないでって、何度言えばわかるんですか』
ジョーカー「うるせえな」
夢『相変わらずいつも機嫌が悪いですね……』
ジョーカー「今日は特にな」
夢『何かあったんですか?』
ジョーカー「いや。別に。……珍しいな。お前から掛けてくるなんて」
夢『ふふ。……そうですね』
ジョーカー「年に何回かだな」
夢『たまには。変な夢、見ちゃって』
ジョーカー「シャレか?」
夢『違いますよ!』
ジョーカー「フッ。ったく。他の男にいちいち触られやがって……」
夢『はい?』
ジョーカー「んでもね~よ! 俺はもう寝る」
夢『あっ。じ、ジョーカー!』
ジョーカー「あ?」
夢『……怒らないで下さい』
ジョーカー「怒ってねえよ」
夢『怒ってるじゃないですか!』
ジョーカー「うるせえな。なんだよ。何?」
夢『あ……。えっ、と』
ジョーカー「?」
夢『ジョーカー、あの……』
ジョーカー「なんだって」
夢『私のことを……妻にしたいって……。今も、本当ですか?』
ジョーカー「……当然だ」
夢『……そうですか』
ジョーカー「なんで」
夢『い、いや……ジョーカーの声が聞こえたんです』
ジョーカー「いつ?」
夢『……さっき』
ジョーカー「……クロム……」
夢『はい』
ジョーカー「……ずっと好きだ」
夢『……嘘つき』
ジョーカー「……やけにリアルな夢だったんだよな……」
夢『??』
END




