願い事
「もし願いがひとつ叶うなら、どうする?」
「え?」
「よく聞く質問でしょ、きみは何をお願いするのかな、と思って」
「うーん、難しい…………私は……」
「……」
「…私は…私は…うーん…」
「そんなに悩まなくていいよ、例えばの話だし」
「そうだな、えーと、空を飛びたい、かな?」
「へえ、飛びたいの?」
「うん、飛びたい……駄目かな?」
「いや、いいと思う」
「そっか良かった」
「なあ、どうして空を飛びたいの?」
「そりゃあやっぱり自由って感じだし、空飛ぶの楽しそうだし」
「だよねえ」
「……なによ、こどもっぽいとか言わないでよね」
「言わないよ、僕も同じ事考えた」
「え、そうなの、偶然だね」
「そうだね、偶然」
「じゃあ、どうして空飛びたいのか、教えてよ」
「そりゃあやっぱり自由って感じだし、空飛ぶの楽しそうだし」
「私と一緒じゃん、からかってるの?」
「違うよ、僕もこう思ったんだ…信じられない?」
「そ、そうじゃないよ!」
「……空、いいよね」
「…よねー」