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久しぶりですので、連続投稿です。



 辺りが薄暗い。今日も曇り?


そう思った瞬間気が付く。


森の……、中?


えっ……、待って。どうして?


昨日は、アングラッドさんと話して寝たはずじゃあ、っ


「うっ、気持ち悪い」


昨日の出来事を思い出すうちに、夢のことを思い出す。夢というのは、そうそう覚えていられるものではなかったような気がするのに。


私のお葬式の夢、父の姿を見たとき言いようのない感情を抱いた。見ていられなくって……


っと、それよりもどうして私こんなところにいるの?


 確かにベットに入って寝ていたのに。服を見ても寝るときに着たニット生地のワンピースではなく、死んだときの制服姿に変わっていた。やはり、半袖では少し肌寒く不安になる。


 辺りをもっと見てみる。わたしを二メートルほどの低い木が覆っている。太陽の位置からして、もうお昼かな?


 再度、自分に問う。どうして、私はこんなところにいるの?



 アングラッドさんに捨てられた?


どうして?


そんなことをする必要性がわからない。もし、自分に不要な存在なら売るとかした方がいいんじゃないの?


それとも、アングラッドさんは、誰かを待っていて看板がその目印。そこにわたしが間違ってきちゃった?


だから、売るとかはしなくても、邪魔だから捨てた?


でも、それならそうと普通に言わないのはなぜ?場所を覚えられたくなかった?



 ぐるぐると考えながらも、昨日と同じようにまずは高地を目指す。やはり、木はどんどん低くなっていく。


 このぐらいでいいだろうと思い、振り返る。


あ、れ?


昨日と同じような景色。石造りの町の両サイドを山が陣取っていて、町の向こう側は海。ほとんど機能の景色と一致する気がする。なんというか、見ている場所もほとんど同じなしがする。


 のどが渇いてくる。


 アングラッドさんがわたしを捨てた場所は、わたしがこの世界に来た時に始めていた場所の近く?


 どうしよう、またアングラッドさんのところに行くのは危険?


どうして捨てられたのか気になる。アングラッドさんは私を売ったり、殺したりしなかった。話せばきっと、穏便に済む?


 昨日と同じくらいに混乱する。それでも、アングラッドさん方へ歩みを進める。この世界に来て最初にあった人が同じ世界の人。どうしても、あの安心感が手放せない。


 ついに、アングラッドさんの家にたどり着く。1つ小さく息を吐き、扉をノックする。



  キィ――



「あらっ、どなたかしら?あぁ、もしかしてその服、地球の人?嬉しいわ!あたし、アングラッドというの。さぁ、入ってちょうだい。あなたお名前は?」


 どういうこと?わたしを忘れている?それとも知らないふり?


「私に見覚えがあるんですか?」


「?ああ、その服の雰囲気がね。制服でしょ、それ。どこかの本で珍しいなと思っていて覚えていたのよ。セーラー服だったかしら?珍しいわよね」


 セーラー服が珍しい?外人さんだからかな。それにしても、少し話してみたけど嘘とか演技みたいな感じは全然しない。

ということはどういうこと?本当に忘れている?もしかしてアングラッドさんはフツウではない?とか。


「あぁ、それにしても嬉しいわ。今日、調度仕事が1つかたずいて休日だったのよ。明日には、この時間には町に出なきゃいけなかったし、あなたもあたしもラッキーね」


 そう言って、アングラッドさんはわたしにウィンクした。


 どうしてだろう。問題は全然片付いていないのに何となくほっとしてしまった。


 とりあえず、できることをしてみよう。


「あ、あの、わたしは雨原 小夜って言います。わたしも、会えて嬉しいです」


 そういうと、アングラッドさんはにっこりと笑い、私を家の中へと招き入れた。


 アングラッドさんは、昨日と同じ服を渡してくれた。そして、昨日はなかった甘いお茶のようなものをくれた。


「これ、おいしいです。なんていうんですか?」


「それ?うーん、なんだったかしら。……この前の仕事帰りに立ち寄った町の名産だったと思うのだけど、名前が長かったから覚えていないのよね。確かチャンディーって町だったわ」


 アングラッドさんとその後も話し続けた。やはり、昨日と同じようなことを話し続けた。でも、どこにも怪しいところがない。雨も降り始め、どんどん強くなっていく。


 そして日も完全に暮れ、わたしが眠たくなってくるとアングラッドさんは


「眠たくなってきたのね、ふふ。じゃあ、寝ましょうか。さっ、あんまりきれいな寝床じゃないけど勘弁してね。そうだ、明日は一緒に町におりましょう。必要なものは買わないとね」


 わたしは、アングラッドさんと一緒に入れるのかな?そうだといいな。アングラッドさんは、もしかして、記憶することに対して何か問題があるのかもしれない。ここは異世界だし、アングラッドさんも異世界からくる人は、なにかしら異常をきたすことがあるって言ってた。それでも、私はアングラッドさんと一緒に入れたらと思う。


 この世界のことを覚えて、アングラッドさんに恩返しがしたい。


 ベットはやっぱり硬かったけど、ニット生地のワンピースはあったかい。


わたしは、願いを込めベッドの足に星印の傷をつけた。もし、またアングラッドさんが何か理由があってわたしを忘れてしまっていた時の為に。



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