妖怪騒動2
おじいさんのありがた~い おはなし。
その頃、お杉母さんを残して、又八とさくらは畑の様子を見にきていた。
すると畑の隅に何かの影が数体……。
「又八さん、頭にお皿載せて、お酒飲んでるよ。」
「器用なもんだな。」
「背中にもなんか背負っている。」
「ん?ありゃ河童だ。」
なんと、畑の隅ではキュウリをつまみに、河童たちが宴会をやっていた。
「おめえら、おらのキュウリ返せ!」
河童たちは、聞こえないのか相変わらず、キュウリをポリポリかじりながらお酒を飲んでいる。
「あなたたち、聞きなさいよ!」
さくらの声にも反応しない。
「もう!うーっ、わんわん!」
突然の犬の鳴き声に驚いた河童たちは逃げて行った。後には河童たちが飲んでいたお酒と、食べかけのキュウリだけが残されていた。
「ん?なんかこの酒、うまそうなにおいがするだ。」
又八は残った徳利を持って帰ることにしたそうな。
さて、畑から家に帰る道を歩いていると、あるはずの道をふさぐように壁が立っていた。
「ありゃ、道を間違えただ。」
「又八さん、こんな壁ありました?」
「あったかな?まあ、壁に沿って歩けば向こうに行けるだ。」
ところがどこまで歩いても壁が続いてる。
「又八さん、これは変よ。」
「こんな道、知らねえだ。」
「わたしたち、同じところ歩いてるみたい。」
さくらは、地面のにおいをかいで
「こっちよ。やっぱり壁の向こう。」
「こんな壁、登れないだ。」
さくらは、壁の下の方のにおいをかいでいる。
「ここ掘れ、わんわん!」
「ここか?」
又八は、さくらが指した壁の下の方を持っていた鍬で掘ろうと一撃入れた。すると、それまで行く手を阻んでいた長い壁がすーっと消えた。
「これ何だったんだ?」
「又八さん、妖怪かもしれないわ。」
「ふ~ん、母ちゃんが待ってる。早く帰るだ。」
家に帰ると、お杉母さんが、お茶を入れて待っていた。
「やあ、大変だったのう。それでどうじゃった。」
「河童が宴会やってただ。これその酒。」
「ほう、河童の酒とな。これは珍しいものが手に入ったのう。」
「有名なのか?」
「ああ、天下一うまいともいわれておるぞ。」
「ふむ。わしも一杯もらいたいものだのう。」
茶の間の机の上座から知らない男の声がする。
「かあちゃん、あいつ誰だ?とうちゃんか?」
「ふん……、いつの間に?」
「お母さま、お茶出していますわよ。」
「あれ、おらが隠していた芋ようかんだ。」
見ると変った形のはげ頭の老人が座ってお茶を飲んでいる。
「まあ、おつかれさん。遠慮なく座りなさい。」
「はあ、遠慮なく座るだ。」
「ちょっと、又八さん! ここは又八さんの家よ。」
「そうだった。おめえは誰だ。」
「ばれましたか。私はぬらりひょんと申します。またお会いしましょう。」
老人は悠然と又八の家を出て行った。
「さあ、みんな夜のおやつよ。」
マーズとマーキュリーが差し入れにもらった南部せんべいと、お茶を用意して、仲間のいる部屋に入ってきた。
「私、ピーナッツの方が好きかな。」
「ムーン、ピーナッツとゴマ一人一枚ずつよ。」
「え?ケチ!」
「ダイエット中でしょ。その一口が豚になるのよ。」
「今度は私の分もありますわよね。」
ヴィーナスはまだ昼間の件を恨んでいるらしい。
「ん?一枚足りない」
「ジュピター、また売掛が返せないの?」
「売掛じゃなくて、私のおせんべい。」
「ちゃんと5人分用意したわよ。ムーン二枚食べた?」
「私ちゃんと一枚ずつ食べたわよ。」
「私、ピーナッツしか食べてない。」
マーズが訴えると、マーキュリーはちょっと考えて
「わたしたち、5人よね。」
「もちろん、わたし達ど〇きつね戦士は5人よ。」
「ここには6人いるよ。」
妖怪騒ぎが続きます。