江戸に戻ると
おじいさんのありがた~い おはなし。
マーズを戻す分の充電が終わるのを待った後、一行は江戸に帰ることにした。
しかし、また転送は行われず、アラートランプが鳴っている。
「今度はなによ。」
「重量オーバーですって」
あわてて周りを見ると、又八が唐草模様の風呂敷包みを背中に背負っている。
「それ何ですか?」
「これ、かーちゃんへの土産だ。でも嵩張るけど重くはねえだ。」
同じく一行を見ていたヴィーナスが落ち着いて
「多分、それより原因はムーンね。」
「え?私、そんなに太ってないよぉ。」
「ちがうわよ。」
「その位相変換器と充電器!」
ムーンの手には筒状の位相変換器と、いかにも重そうな充電器があった。
「でも、これ持って行かないと、問題は解決しないわ。」
「あっ、それ、月から最新型を江戸のアジトに送るって」
「マーキュリー何で黙ってたの。」
「まさか、ムーンが気を利かせて持って帰るなんて思いませんでした。」
「まあ、なんかぬけているのが、デフォルトだもんな。」
「なによ。マーズ!」
「まあ、まあ、それは置いて、戻りましょ。」
「でも、しっぽ長者の荷物、多くない?」
「多分、大丈夫です。又八さん、ここ数日の階段の上り下りで瘦せましたから。」
「そう、よくわかるね。」
「だって、又八さんのことは、私わかるんです。」
さくらの又八愛に、当てられながら、再度転送装置のスイッチを入れた。
無事転送は完了した。
江戸の稲荷アジトについた一行は、とりあえず、翌日、猫又ばあさんたちがいるお堂に集まることにして、解散することにした。
又八とさくらは、いかにもの風呂敷包みに江戸に帰っても不審者だと、お役人に何度も止められながら、お杉ばあさんの待つ家に帰った。又八が玄関の戸を開けると……。
「かあちゃん、ただいま!」
「お母さま、今帰りました!」
家の奥から、返事が返ってくる。なんだか騒がしい。
「おう、お帰り。」
「おう、良く帰ったな。」
「お帰り、お土産ちょうだい。」
「まあ、上がりなさい。」
奥から、お杉母さんが出てきた。なんだか疲れた様子であった。
「又八、やっと帰って来てくれた。」
「どうしただ?」
「あのぬらりひょんという爺さんが、仲間を連れて来てな。」
「帰んないのか?」
「今、町中、夜になると、どこもこんな感じだって」
「そんなに、こっちに来ちゃってるんですか?」
「さくらさん、何かわかったのかい。」
「ええ、多分。又八さん、しっぽもって。」
又八が、さくらのしっぽをもつと、しっぽが光った。
「ワン、ワン、ワーン!」
さくらが吠えると、慌てて妖怪たちは逃げて行った。
「母ちゃん、お土産だ。」
又八は背中の風呂敷包みをおろすと、風呂敷をほどいた。中には、京菓子、京扇子、西陣織の袋、お香、宇治茶、京傘、加茂ナス、千枚漬けが入っていた。
「こんなにたくさん。でも、私が頼んだものじゃないねぇ。」
「お母さま、それはここですよ。」
さくらは懐から、小さな紙包みを取り出した。
「おお!これじゃ。みすや針。これが欲しかったんじゃ。」
「早速これで、さくらの浴衣でも縫おうかのぉ。」
「ありがとうございます。できれば又八さんとお揃いにしてください。」
「おうおう。又八の分はお前が縫うといいぞ。教えてやるぞ。」
又八家の嫁姑仲はとても良好だった。
【ごきょうくん】
おじいさんとのやくそくだよ。
階段の上り下りはいい運動になるぞ。
ダイエットに最適じゃ。
こっちも影響出てます。少しペース落ちます。




