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おでかけ 又八夫婦の場合

おじいさんのありがた~い おはなし。

 幸徳井邸からの帰り、又八とさくらはお杉母さんへのお土産を買うため、一行と別れ京の町に出かけた。

「かあちゃん、何が欲しいって言ってただ?」

「紙に書いてきたわ。」

「このガイドブックには、菓子、針、扇子、傘、茶、漬物、お香、……いっぱいあるだ。」 二人は三条から四条にかけての商店街を歩いていた。又八は通りの八百屋の京野菜を興味深げに眺めている。

「又八さん、変った野菜がいっぱいあるよ。」

「だな、これは有名な九条ネギだな。」

「九条ネギ?」

「ああ、ここは三条だろ、九条でとれるんだ。」

「ね、持って帰って植えてみない?」

「それじゃ、江戸ネギになっちまうだ。それよりこの丸いナス。たぶん京の土は肥えてるんだろな。ねぎは太くなるし、ナスはこんなに丸々としているだ。」

 いかにも田舎者のような二人の様子に店の主人が声をかけてきた。

「お客さん、京の人やおまへんな。これは加茂ナスゆうて、最近、流行とるんでっせ。」「加茂ナスっていうんか。どうやって食べるんだ。」

「田楽にしたり、煮ても焼いてもええよ。今が旬でっせ。」

「ふうん、うまそうだ。お土産に買っていこうかな。」

「お客さんどこから来はった?」

「江戸だ」

「江戸なら、聖護院カブ知らへんやろ。」

「しょうごいんかぶ?カブか?」

「千枚漬けがうまいでっせ。」

「千枚漬けって千枚漬けるんか。」

「薄く切ってつけるんや。」

「又八さん、お土産にしましょうよ。」

「今はまだ旬じゃないな。ばあさんが漬けたのがあるから、売ったる。」

 又八は、八百屋の主人が、小さな壺のような容器に入った千枚漬けを持ってきたので、加茂ナスと一緒に買うことにした。


「又八さん、お母さまは針を買ってこいって。」

 さくらが、メモ書きを見ながら、針屋さんを捜している。

「針って何位使うんんだ。釣りでもやるんか。」

「縫物の針よ。評判の縫い針があるんだって。」

 二人はみすや針のお店を見つけて、お杉母さんへのお土産にした。

その後、京菓子、京扇子、西陣織の袋、お香、宇治茶、京傘とガイドブックに載っていた土産物を一通り買い求めて、それらを京風呂敷に包んで、又八は持ち帰った。

「又八さん、泥棒さんみたい。」

 途中、何度も不審者だと疑われて止められつつ、二人は稲荷山に戻った。



 十兵衛が、源頼光、頼信、頼義、義家を祀っている多田神社に出かけたのは、源頼光と渡辺綱が持っていた二本の名刀を捜すためであった。十兵衛は、度重なる怪異事件に、見えないものを切る剣が必要だと思っていた。そう彼の、まだまだ中二臭残るヒーロー像には「伝説の剣」が必要だったのだ。


 ところが、この源氏累代の刀といわれる「膝丸」「髭切」は、元は二本の刀なのに現在、複数の刀が存在している。

 頼光が持っていた、「膝丸」は、「蜘蛛切」、「吼丸」、「薄緑」と名を変え、安井門跡、箱根神社、将軍家がそれぞれ所蔵するものがあり、それぞれ本物だと主張し、また他にも頼光が酒呑童子の首を切ったという「童子切」、源頼光、頼信、頼義、義家を祀っている多田神社の「鬼切丸」と、それぞれ真偽不明である。

 また 綱が持っていた「髭切」は、茨木童子の件以来「鬼切」と改名し、その後「獅子ノ子」「友切」と名を変え、また「髭切」と名を戻し源氏→新田氏→斯波氏→最上氏と伝来して、現在は「鬼切丸」と呼ばれてるが、これも真偽不明である。

 この中に怪異を切ることができた頼光と綱の持っていた本物の刀があるのかさえ、遠く時間を隔てた今となっては謎が多かったのだ。


 そういうわけで、多田神社に向かったのだが、祀られている「鬼切丸」は見せてはもらえても、手に取ることはできなかった。まして貸し出してくれるはずもない。柳生家の嫡男だと正体を明かしても、もちろん無理であった。

 がっかりして、待ち合わせ場所である伏見稲荷に向かったのであった。


 そんなところに時空の番人が現れたのだ。十兵衛は名刀がどこに行ったのかを知る機会だと金さんに相談した。

「ふん、プルートさんに頼めないかってことかい。」 

「直接見てきた方が早いって、思うんだ。時空の旅人ってなんかかっこいいし」

「まあ、おいらに任せな。」

というわけで、金さんがプルートを説得することにして、十兵衛は一旦、大和の国、柳生の里へ帰り、時空の旅への準備をすることにした。


柳生十兵衛 時空の旅人へ

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