帰りもいろいろ
おじいさんのありがた~い おはなし。
晴明の指導を受けた友景は10枚の呪符を作って戻ってきた。
「なかなかの素質を持った方ですね。私の時代なら道満くらいにはなれたかもしれませんね。」
「あの、芦屋道満ですか?そんな御冗談を」
「いえいえ、おっと、話をすると道満が来てしまいますからこの辺で」
なんだか、晴明の周りをウロチョロするものがいるのか。晴明はキョロキョロしている。「では、晴明さん。動かないでくださいね。」
マーキュリーは位相変換器のスイッチを入れた。
「晴明さんありがとう。」
ムーンがお礼をいうと、晴明は片手をあげて消えて行った。
「おじさん、すげーな。あの安倍晴明に認められるとは思わなかったぜ。」
「いや、わしもまさかな。伝えられている技法にあんな間違いがあったとは驚いたよ。」「これで、陰陽師として出世するんじゃねえか。」
「それはないな。土御門の力には絶大だ。」
「呪術使えないんだろ。」
「今の時代、呪術の力より、政治力じゃからの。」
「いやな世の中だな。」
「ああ、そうだ。うちの護符のコピーも作っておいたぞ。」
友景は一枚の絵が描かれた護符を取り出した。
「これだと、名を呼ぶだけで、現れるそうだ。しばらく貸しておくよ。」
結界の呪符と、葛葉の護符を手にした一行は、稲荷山のアジトに戻って行った。
アジトにはプルートが戻っていた。
「時空の門は、江戸だけちょっとおかしくなってる。でも異界の門が邪悪なものを出入りさせていないので、確かに悪いものは通っていないわ。」
「と、いうことは?」
「ムーン、わかんないの?」
「マーズ、わかるの?」
「もちろんよ。つまり、妖怪さんたちが江戸の門から遊びに来ているってことよ。」
「で、江戸の門っていうのは?」
「多分、将軍様たちがしょっちゅうあちこちに移動してるんで、門が緩んでるみたい。」「じゃあ、門の修理をした方がいいのかな。」
「ムーン、どうやって見えないものを修理するのよ。」
「それは、見えるマーズがやれば……」
「待ってよ。私このままじゃ嫌だよ。戻してよ、マーキュリー。」
「今日の分、使い切ったから、充電に一日かかるわね。」
「ね。それより、早く江戸に帰りたいよ。推しに会ってないんだから。」
「ジュピターはそれでいいの。私こそ出番がなくって」
ムーンと、マーズのいつものケンカに、他の2人も加わってわいわいやっている間に
マーキュリーは本部と連絡を取っていた。このアジトから、江戸のアジトに戻れるらしい。「このアジトが、機能停止していたから、京に転送されなかったって言い訳してるわ。」「本当に大丈夫なんでしょうね。」
ムーンがウサギたちに文句を言いつつ、ふとプルートの方を見ると。
「ね。なんかあの二人、怪しくない?」
部屋の隅で金さんと二人で、何か話している。なかなかいい雰囲気のようだ。
京の町にお杉母さんへのお土産を買いに行った又八と、さくらが葛葉を連れて戻ってきた。十兵衛はそのまま大和の国に帰ったらしい。鬼切丸の捜索は少しずつ進めていくらしい。
「私は、時空の門の番に戻らなければなりませんが、江戸のアジトともパスをつないでおくので、また会いに来ますわ。」
「誰に?」
ムーンたちがジト目で見ると、プルートは顔を赤らめて
「金さん、いえいえ、みんなにですよ。」
といって、消えて行った。
残された一行は転送装置のある部屋に向かった。しかし、転送は行われず、アラートランプが鳴っている。迷子防止機能が作動したらしい。
戻るのは来た時と同じ8人のはずだが……。
「だから、私、戻っていないって!」
マーズが叫んでいた。
すんなり帰れないのがきつねさん




